第5話 誰だお前?

俺はみさが救急車に乗った後、警察に言って事情を話した。みさは二発もの銃弾から俺を守って意識不明になっている、と事情聴取の後に警察から聞いた。俺は、不甲斐なく感じた。男のくせに、目の前にいる女の子を助けられず、助けられる側になるなんて。

「はぁあ、俺はなんてやつなんだ、みさに合わせる顔もねぇよ」

警察の事情聴取の後、俺はみさと出会った公園に行って、ベンチで独り言を言っていた。その時、咄嗟に俺の心に何かが走った。俺はすぐに立ち上がって、みさがやっていたみたいに突きの練習をしてみた。

「あや?俺は何してるんだろう」

何回か突いて俺は我に返った。でも、なぜだかやめるつもりはなくて、それからも何回か突いた。

「それ、肩が前に出てるよ。腕だけ出すんだよ」

俺が練習をしていると、俺が座っていたベンチに男が座っていて、俺に話しかけてきた。

「ウルセェ、俺は別にそんなこと気にしてねぇし、空手やってる訳でもねぇんだよ!」

俺は無視した。そこから立ち去ればいいものを、俺はなぜかそのまま続けた。それからも、男は俺に口出しし続けた。

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