第2話 女の名前

公園から走り始めた俺だったが、すぐに女に腕を掴まれた。俺は足を止めて、腕を振り払おうとした。

「お前、警察だろ、俺を補導する気だろ、余計なお世話だ!俺には迎えにきてくれるやつなんていないから無駄だぞ」

俺は、掴まれてない方の腕を振り上げた。

「ふふっ、面白いねぇ、きみ。私のことおまわりさんだと思ってるの?」

女は笑った。女は俺の腕を離した。

「寒いでしょ、あったかい飲み物買ってあげるからさ、うちきなよ。腕が氷みたいに冷たいよ?」

女は俺の目を見て、自動販売機を指差した。俺は女の体を隅々までチェックして、警察ではないことを確認して、家に着いて行くことにした。飲み物買ってくれるなんてラッキー!女は俺にホットココアを買ってくれて、一緒に歩いて女の住む場所まで歩いた。

「ねぇ、君の名前は?なんで君はあそこにいたの?」

女は俺に聞いてきた。俺は女にもらったココアを開けて答えた。

「俺の名前はちあき。俺があそこにいるのは、、家に居たくないから。」

俺は、女に全てを話した。昔から正直な俺は何でもすぐに話してしまう。女は何も口を挟まず、俺の家庭環境の話をずっと聞いてくれた。

「そうなんだ、だから公園にずっと居たのね、寒いのに。よかったらさ、私の家、来てもいいよ、公園にいるよりずっとあったかいし、」

女は俺が話し終わった後、すぐにその提案をしてきた。俺はびっくりした。今までこんな小汚い少年に声をかけてくれる人すらいなかったのに、家に来てもいいよなんていい人すぎる。

「いいのかよ!女!」

俺が叫ぶと女は笑った。

「もちろん!そして、私の名前はみさ!よろしくね!」

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