君の拳はなんのため?
@meinari
第1話 治安の悪い街
俺はは物心ついた時からこの街に住んでいる。日本では聞きなれない言葉だと思うが、一言でこの街を表すと「スラム」。俺はこのスラムみたいな街で、母親と2人で暮らしている。学校には行ってないし、そもそも行く意味あるのかも不明。母親のあきらはずっと薬と酒漬けで、男と遊びまくっている。そんな母親だから、家にもあんまりいない。お父さんがいたら、もっと家族らしかったのに、お母さん曰く父は女を作って出ていったらしい。これ以上聞いてもお母さんは怒るだけで何も教えてくれない。友達もいない俺は孤独で、家にいてもお母さんは薬を吸って、お酒を飲んで酔って寝てるだけだから、俺は家の近くの公園で時間を潰すことが多い。家にいると薬の匂いで頭がおかしくなる。だから、最近は寝るのも外。
「あー、寒いなあ、でも、家よりマシかな」
その日も、俺は寒い冬空の下、公園のベンチで悴んだ手を温めていた。寒すぎる。俺は蹲って、膝と体の間に顔を埋めて、しばらくその体勢でいた。
「ねぇ、大丈夫?」
蹲ってどれぐらい時間が経っただろうか。肩を突かれ顔をあげると、女の人が立っていた。空がオレンジ色に染まって、朝日が見えてきていた。女の人は俺の隣に座ってきた。俺はすぐに立ち上がって、女から遠ざかった。警察だと補導されて面倒だからだ。俺は走って、公園から遠ざかろうとした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます