君の拳はなんのため?

@meinari

第1話 治安の悪い街

俺はは物心ついた時からこの街に住んでいる。日本では聞きなれない言葉だと思うが、一言でこの街を表すと「スラム」。俺はこのスラムみたいな街で、母親と2人で暮らしている。学校には行ってないし、そもそも行く意味あるのかも不明。母親のあきらはずっと薬と酒漬けで、男と遊びまくっている。そんな母親だから、家にもあんまりいない。お父さんがいたら、もっと家族らしかったのに、お母さん曰く父は女を作って出ていったらしい。これ以上聞いてもお母さんは怒るだけで何も教えてくれない。友達もいない俺は孤独で、家にいてもお母さんは薬を吸って、お酒を飲んで酔って寝てるだけだから、俺は家の近くの公園で時間を潰すことが多い。家にいると薬の匂いで頭がおかしくなる。だから、最近は寝るのも外。

「あー、寒いなあ、でも、家よりマシかな」

その日も、俺は寒い冬空の下、公園のベンチで悴んだ手を温めていた。寒すぎる。俺は蹲って、膝と体の間に顔を埋めて、しばらくその体勢でいた。

「ねぇ、大丈夫?」

蹲ってどれぐらい時間が経っただろうか。肩を突かれ顔をあげると、女の人が立っていた。空がオレンジ色に染まって、朝日が見えてきていた。女の人は俺の隣に座ってきた。俺はすぐに立ち上がって、女から遠ざかった。警察だと補導されて面倒だからだ。俺は走って、公園から遠ざかろうとした。

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