第28話 異世界からの来訪者たち、高校生に大任をまかせる。
株式会社ノーチラスに突入した翌日、俺達は、再び株式会社ノーチラスの会議室に招待されていた。
今、会議室にいるのは10人と1匹だ。
俺と
会議テーブルには、学生が2人、社会人が4人、ファンタジックなコスチュームに身を包んだクロノス王国の住人が3人、そして羽の生えた素っ裸な雲上人と、なかなかにカオスな状況だ。
(服を着るのを極端に嫌がるヴァシュロンは、会議室限定で全裸待機が許された)
「では、本日の議題を簡単に……」
「まずは、雲上人ヴァシュロンと
そして、ランゲさんが担当している、賢者ノモスのアジトの捜索」
最初に口を開いたのはヴァシュロンだった。
「我とコンスタンタンの同化については、賢者ノモスの探索が済んでからでいいだろう」
ヴァシュロンの言葉にランゲが賛同する。
「それはありがたい。コンスタンタンが居なくなると、今まで習得したスキルが使えなくなる。戦力ダウンは避けられない。最悪の場合、賢者ノモスが使用する、
ふたりの言葉を受け、
「なるほど。では次の議題。賢者ノモスのアジトについてですが、ランゲさん、進捗はいかがですか?」
「進捗があれば、いの一番に報告する。
「うーん……そうですかぁ。システムにバグが残っているのかな?」
ランゲの渋い報告を聞いた父さんが、苦笑いをしながら頭をかく。
「あの、俺も発言をしていいですか?」
俺が口を挟む。
「モチロン構わないよ。遠慮せず、どんどん意見を言ってくれないかい?」
「
「どういうことだ?」
ランゲの質問に俺が答える。
「賢者ノモスの側には、時空の狭間を操れる占術師ベルアンドと、使い魔フクロウのロスがいるからです。実は俺達がここを訪れたのも、賢者ノモスが、この場所に潜伏していると疑ったからです」
「なるほど。ウチの会社が黒幕と考えたわけか」
「はい。だってさすがに怪しいじゃないですか。異世界がそのまんまゲームの世界になってるだなんて」
「確かにな。ただ、たったそれだけの理由でここに来たわけでは無いだろう?」
そう言って、
? なんだろう。心を見透かされてしまったようでちょっと気味が悪い。
まあいいや。俺は説明を続ける。
「実はヴァシュロンには、時空のはざまを探知する能力があるんです。俺たちはその能力で、株式会社ノーチラスに時空のはざまが有ることをつきとめたんです」
「やはりそうか。つまり
「はい。その通りです」
「ヴァシュロン、時空のはざまは、どれくらいの距離まで探査出来るんだ?」
「服を着なければ半径50キロほどの探知が可能だ。ただし服を着てしまうと能力は半減する」
「そうなんだ……でも、それでも半径25キロ! 飛行機で移動すればこの星のかなりの場所を網羅できるよね?」
俺の言葉に、俺の父さんが膝を打つ。
「ほうほう。それならこっちの世界でも賢者ノモスの捜索できるんじゃないかい?」
「うん。ただ、今のヴァシュロンは、戦闘能力の殆どをコンスタンタンに譲渡しています。もし、潜伏中の賢者ノモスや、番長……
でも解決策はある。俺はクロノス王の方を見る。
「うむ。ヴァシュロン様の護衛として、腕よりの王宮騎士を遣わそう」
クロノス王の言葉に、ランゲが進言をする。
「しからばクロノス王よ、私はジャガーとルクルトを推薦する。彼女たちの能力は、お前もよおく知っているだろう?
「え? うん……まあ」
ジャガーとルクルトは双子の王宮騎士だ。ゲーム『クロノスの聖女』の中盤からパーティに加入する。
「決まりだな。こちらの世界での賢者ノモスの捜索は、
……は?
「うむ、我も異論はない」
「アタシも
ヴァシュロンは胸を張り、
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺、学校有るんだけど!!」
「もう!
そんなこと言ったって……俺は父さんを見る。
「大丈夫、大丈夫。母さんには僕から話しをつけておくから」
ちょ! 父さん、相変わらずめっちゃ軽いな!
「では、方針も決まったことだし、今日の会議はお開きってことで」
■次回予告
学校を休学して、
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