第23話 新たなる訪問者。
賢者ノモス、そしてその師匠である大賢者マリーンの謀反が発覚したことにより、無実が証明されたランゲ&ゾーネ姉妹は、クロノス王国に戻って
残念ながら手がかりすらつかめていないようだけれど。
賢者ノモスと一緒についていった番長ともそれきりだ。
とはいえ罪状には問われていない。
今は、ゾーネがマンションの窓に造った時空のはざまからクロノス王国に通勤していて、俺の家に居候をしていた
没収をされたコンスタンタンは、今はランゲ&ゾーネ姉妹の手にわたり、
そう、つまり俺は、どこにでもいる普通の高校生に逆戻りしたって訳だ。
「おはよう!
いや、どこにでもいる普通の高校生ってのは自虐がすぎるかもしれない。だって俺にはこんなにもカワイイ幼馴染がいるんだもの。
いつものように、定位置の左腕に絡みついてくる
「なあ、
「なあに?
「ランゲたちから、なにか報告とかあった?」
「ううん。なんにも。ランゲとゾーネちゃんはもちろん、国の兵士たち総出でノモスさんを捜索しているけれど、まったく足取りがつかめないみたい」
「そっか……」
「ゾーネちゃんの推測だと『精霊の儀』が執り行われる日まで、異世界に潜伏してるんじゃないかって」
「それって地球ってこと?」
「だと思うけど……ゾーネちゃんも断言出来ないって言ってた」
「そっか……」
ノモスたちの潜伏先が本当に地球なのであれば、ひょっとしたら、自分にも出来ることが……いや、ないか。
この地球上から、まったくの手がかりの無しで
「俺がプレイしていた『クロノスの聖女』では、『精霊の儀』は冬至の日に行われてたけど、クロノス王国の『精霊の儀』も、同じ日に行われるって認識で合ってるよな?」
「そうだよ。クロノス王国では極夜の日って呼ばれてるけど、その日に一瞬だけ光を受ける霊峰ヴァイスベルクで『精霊の儀』は執り行われるの。ランゲからは極夜の日に霊峰ヴァイスベルクを立ち入り禁止にして厳戒態勢をひくって聞いているわ」
なるほどな。益々もって普通の高校生にはお手上げだ。
俺は自分の無力さに打ちひしがれていた。
・
・
・
キーンコーンカーンコーン……
終礼のチャイムが鳴ると、俺は席を立って教室を出る。
「あれ?
「美術室に寄ろうと思ってさ」
「……そっか。アタシもお邪魔していい??」
「ん。別に構わないけど」
授業以外で美術室に行くのは1か月ぶりだ。
ガランとした美術室に、ずいぶんと日照時間が短くなった日差しが横から細い筋となって差し込んでいて、舞っているホコリがキラキラと光っている。
俺は、光の筋の終点を見る。そこには
「あれ?」
「どうしたの、
「
俺は、油絵に近づいて確認する。
「やっぱりだ。この絵、完成しているよ。ほらここ。右下にサインが入っている」
「
「それは無いよ!
?? 一体どういうことだ?
まさか
いやいや! 流石にそれは考えられない。
俺は、もう一度絵画を確認する。すると、
ガタッ!
突然、カンバスが震え始めた。
「きゃ、なに??」
驚いた
ガタッ! ガタッ! ガタッガタガタガタガタガタガタ!
ピカァ!!
油絵から青白い光が放たれると、いきなり人影が飛び出してきた。
全裸の男は、まばゆい黄金の羽をはばたかせて、ゆっくりと美術室の床に降り立つと、開口一番、とんでもないことを言い放った。
「我が名はヴァシュロン。かつて魔王と呼ばれた男。封印されし我が肉体を、この地へといざなってくれた
■次回予告
突然、地球に現れた全身素っ裸のマッチョ。魔王ヴァシュロンを自称するこの男と
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