第19話 異世界からの来訪者、クロノス王国に急襲をかける。
作戦会議の翌日の午後6時、俺達は
リビングに次元のはざまを造ってクロノス王国に急襲を仕掛けることになったためだ。(外に次元のはざまをつくったら目立ちすぎるから)
メンバーは、俺、ランゲ&ゾーネ兄妹、ノモスさんとそのオプション番長、そして
「おっじゃましまーす!!」
「カーーー!」
「あ、待って!!
靴を脱ごうとするゾーネに、声をかける。
「今日は靴をはいたまま入ってくれ」
「靴を履いたまま? なるほど、こちらの世界も、上流階級は靴を履いたまま部屋で過ごすのだな」
「違うって! 靴を脱いだままクロノス王国に行くつもりか?」
この兄妹って本当にトラブルメーカーだよな。
「ただいまー!!」
「おじゃま致します」
「でやんす!」
「おじゃまします」
「おじゃまします」
ランゲ&ゾーネ兄妹につづいて、
「なんだか、ガランとしてるね」
「あはは~。急いでクロノス王国から逃げてきて、その後すぐに
「そっか……
気まずそうに頬をかく
やっぱり
「それじゃあ、コードとの『通神』を始めるね」
ゾーネが、ひざまづいて目を閉じる。
コード?
ああ、使い魔のカラスのことか。
ゾーネが『通神』を始めると、
カラスのコードは木に止まっているのだろう。足元に沢山の群衆が見える。
「まさかこんな日がくるなんてな」
「ああ、ヒーナ様のご両親が処刑されるだなんて」
「それだけじゃない。あのお二方は、大賢者マリーン様と肩をならべる三賢人。クロノス王国の損失は計り知れない」
「だけどなんだって、聖女様を匿われたのか……精霊となって永遠の命をさずかる最高の栄誉を反故にするなんて」
「いいなぁ永遠の命。俺が変わってほしいくらいだよ」
どうやらクロノス王国の人たちも「精霊の儀」の真実は知らないらしい。ま、そうだよな。クロノス王国のごく一部の人間しか知らないトップシークレットなんだろう。
「お、来たみたいだぞ!!」
途端に周囲が騒がしくなる。
ザッザッザッザッザッザッ!
クロノス王国の旗を先頭に、全身を鎧に包んだ兵士たちが、一糸乱れぬ動きで行進をしていく。そして行進の中央には、豪華な飾りに彩られた馬車が並走する。
「あの中に、ヒーナのご両親がいるのだな?」
「はい。敵将であれば馬上にて引き回しとなるところでしょうが」
ランゲの質問に、ノモスさんがうなづく。
「ううう……」
「今でも信じられないわ」
「どうしてこんな愚かなことを……」
民衆からの支持も厚かったのだろう。ほうぼうから、悲嘆にくれるすすり泣きが聞こえてくる。
馬車は湖のほとりに到着をすると、馬車から後ろ手に縛られた中年の男女ふたりが降りる。
「パパ! ママ!!」
感極まった
「大丈夫。
「もちろんだ!!」
俺は力強く答える。けど、正直言ってしまうとめっちゃこわい。ゲームでしか味わった事のない、剣と魔法の世界に踏み出すんだもの。
「武者震いか?
「え?」
俺は手のひらを見る。手のひらは無意識にふるえている。
「心配するな。穢れ仕事は私がする。きみはヒーナの心のケアだけを考えてくれたまえ」
キラーン!
ランゲは俺の肩に手を乗せて、真っ白な歯を輝かせる。
「わ、わかった」
さすが、世界を救う勇者だけのことはある。俺なんかとは桁違いの胆力だ。
処刑人サントスは『クロノスの聖女』の中ボスとして登場する。大鉈を回転させる全体攻撃がめっちゃ強力なんだよな。
「民衆からは十分距離がとれましたね。ゾーネ殿そろそろ!」
ノモスさんがゾーネに声がけをする。
「うん!! コード!!」
「カーーーーーーー!!」
マンションのガラスに写っている画面から鳥の羽ばたきが聞こえ、噴水がどんどんと近づいてくる。
「今です!!」
「コード!! 時空のはざまを発動させて!!」
「カーーーーーーーーーーーーーー!!」
俺達はマンションの窓に現れた時空のはざまに飛び込んだ!!
■次回予告
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