第17話 異世界からの訪問者、番長を手なづける。
「なるほど、あなたが聖女ヒーナ様のご両親によって造られた
賢者ノモスは、コンスタンタンを喰い入るように眺めている。
「ノ、ノモスさん、もういいですよね?」
「こ、これは失礼。お見苦しい所をお見せしました」
賢者ノモスは、我に返ったのか、ほほを赤く染めてメガネを曇らす。
ギャップ萌えというやつだろうか。クールビューティーなおねえさんが、恥じらう姿ってなんだか可愛らしい。
そんなノモスさんをほっこりしながら見つめていると、勇者ランゲから声をかけられる。
「
「え? ああ。この人は、
俺は、ランゲに
「お美しいお嬢様。お初にお目にかかります。私はランゲ=ワン=デイマティック。以後、お見知りおきを」
ランゲはうやうやしく自己紹介をして、
「え? あ、はい……よろしくおねがいします……」
突然の出来事に、
「ランゲ、お前、アビリティを失ったんだろ? 早くコンスタンタンと契約したほうがいいんじゃないか?」
「おっと、そうだったな。可憐な姫君を前に、つい取り乱してしまったよ」
ったく、調子いいなランゲのヤツ。俺は再びコンスタンタンを取り出す。
「ご要件はなんでしょう」
「ここにいる、ランゲと契約をして欲しい」
「私と契約しますと、他の
「ああ、構わん。承知の上だ」
ランゲが即答をする。
「かしこまりました。勇者ランゲに使用権限を付与します」
コンスタンタンが、メイド服の裾を持ってお辞儀をすると、
「確認したよ。これでアビリティポイントをためればスキルを獲得できる。でも問題はアビリティポイントを貯める方法だよなぁ。番長はついさっきゾーネと模擬戦をしちゃったし……あれ?」
「どうした?
「番長と、もう一回模擬戦ができるみたいだ。何でだろう??」
「なるほど! では話は早い。カシオ殿、手合わせを願おうか!」
「よくわかんないけど、わかったでやんす!」
番長とランゲが先頭準備を始めていると、幻術師ゾーネが元気いっぱいに手をあげる。
「はいはいはい! じゃ、ゾーネが審判しちゃう!!」
「カーー!!」
「ありがとう。助かるよゾーネ」
俺は審判を幻術師ゾーネに任せると、首をひねりながら
しきりに首をひねる俺に気がついたんだろう。ノモスさんが話しかけてくる。
「番長さんはオプション扱いかもしれませんね。調べてみては?」
「なるほど、その考えはなかったです」
オプションは、パーティーメンバーをサポートするキャラクターのことで、幻術師ゾーネの使い魔であるカラスとかが該当する。
俺は
ノモスさんの言う通りだ。番長はパーティーメンバーとしてではなく、カラスと一緒にオプションとして登録されてあって「E
番長のやつ、なんでオプション扱いなんだ??
「ギャアアアアアアア!!」
「勝負あり! 兄様の勝ちー!!」
「カー!」
あ、勝負がついたみたいだ。
「む、無念……」
番長が、ボロボロになって倒れている。一体、どうやったらあんなに痛めつけることができるんだ??
「事態は急を要するのでね。カシオ殿を回復しつつ手加減で攻撃をさせてもらった。おかげで大量のアビリティポイントが手に入ったよ」
キラーン!!
ランゲは歯を光らせながら、トンデモナイ事を言い放つ。よくそんなエグいこと思いつくな!!
「もう、勝負はついたろう。番長を回復させてやってくれ」
「すまない。実はギリギリまで手加減と回復を繰り返したのでね。あいにくMP切れなのだよ」
キラーン!!
鬼かよ!! ったくしょうがないな。
俺は番長を回復しようとする。けれど番長は、いつのまにかノモスさんに膝枕をされて、とっても幸せそうな顔をしていた。
「うう……姉さん、ありがとうございます」
「番町さん。あなたの献身的な行動をきっと神も見ておいででしょう」
「ありがとうございます! ありがとうございます!! この
ピロリロリン♪
『クロノスの聖女』で聴き慣れた音楽が聞こえると、システムメッセージが脳内に響きわたった。
「オプション『番長』の装備者が、
■次回予告
真面目に会議を進める中、何故か
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