第16話 異世界からの来訪者、両親の救出計画を考える。
「私のことなど構わない。それよりも一刻も早くヒーナのご両親をお救いしなければ!! 急がないと、明日の正午に処刑されてしまう!!」
「「な、なんだってーーーー!?」」
いきなりの展開で理解がおいつかない。俺は勇者ランゲに質問する。
「どういうことだ?
「この声は……
「アタシもいるよ。ランゲ! パパとママはどうして処刑されちゃうの??」
「国王に、大賢者マリーン様が進言したらしい。昨日。大賢者マリーン様おひとりで、あらたな
なるほど、大賢者マリーンは、
「まってて! 兄様!! 今、助けるから!!」
幻術師ゾーネは時空のはざまをつくりだす。が、時空のはざまは「バチン」と音を鳴らして弾け飛んだ。
「無駄だ。牢には結界が張られている」
「わかったわ。じゃあ、アタシたちがそっちに行ってランゲとパパとママを助ければいいのね!」
そう言って、
「タメだよ、
「だからなに? アタシはランゲを救いたい! そしてランゲにパパとママを救うのを手伝ってもらいたい」
「俺様も力を貸すでやんす!!」
「ありがとう聖女さま! あとデカブツ!!」
だめだ、
「ランゲ、協力してくれるよね!!」
「協力したいのは山々だが、私は
「それなら兄様、問題いらないわ!!
「聖剣ツヴァイトベルグも預かってるし、ランゲがいたら力強いわ! お願いランゲ! パパとママを助けて!!」
ランゲはしばし熟考する。そして、俺たちではなく、なぜだか鉄格子の方へと顔を向けた。
「どうだろう? ノモス。十分に勝算のある賭けだとは思わないかい?」
勇者ランゲの呼びかけに、メガネをかけた女性が鉄格子の前に現れた。
賢者ノモス。勇者パーティメンバーで『クノロスの聖女』では、知的で冷静な彼女の助言で数々の難局を打開した。いわばパーティの頭脳ともいえる人物だ。
だが、彼女は……俺は思ったことを率直に聞いてみる。
「ノモスさん、大賢者マリーンの一番弟子のあなたがなぜここに?」
「師匠マリーンの豹変の原因を突き止める為です」
賢者ノモスは、話をつづける。
「魔王ヴァシュロンの封印後、役目を終えた私は、師匠のもとへと帰りました。しかし、クロノス王国のハズレにある研究所はもぬけの殻。私は師匠の身を案じました。
しかし……」
賢者ノモスは表情を曇らせる。
「クロノス王国に赴いてみれば、聖女様は行方不明。勇者ランゲは囚われの身、そして師匠マリーンの盟友であらせられる聖女様のご両親が処刑される……これらの指示を出したのが、他でもない師匠マリーンだと国民が噂をしているのです。
私は真実を識るべく、宮殿に囚われているランゲへの謁見を申し出たのです」
なるほどな、ちょうどそのタイミングでゾーネのカラス入ってきたから身を隠していたわけだ。
「あなたがたのお話は、先程から聞いておりました。私ならこの結界を破ることなぞ造作もありません。私もランゲと共に
「私からもお願いしたい」
賢者ノモスは、勇者ランゲとともに頭をさげる。
どうする? 大賢者マリーンは諸悪の根源。その弟子のことをそんな簡単に信じてしまって大丈夫か?
「モチロンよノモス! 協力してくれてありがとう!!」
「やったぁ! ノモスが仲間になってくれるのなら百人力ね!」
「誰かは知らないでやんすが! 恩にきりやす! 姉さんと呼ばせてくれでやんす!!」
「
「い、いやちょっと考え事を……」
「いいわよノモス。大歓迎よ!!」
「ちょ、
「いいでしょ! 相手は国王軍なんだもん。仲間はひとりでも多い方がいいにきまってるじゃない!! ノモス、ちゃっちゃっと牢の封印やぶっちゃって!!」
「かしこまりました。ヒーナ様。『封印解除』!」
賢者ノモスは牢獄の中に入ると、勇者ランゲの足枷をはずす。
「ゾーネ、時空のはざまを造ってくれ!」
「わかったわノモス!! ハッ!!」
「カーーーー!」
幻術師ゾーネと使い魔のカラスが叫ぶと、獄中の壁に時空のはざまが浮かび上がり、勇者ランゲと、賢者ノモスが飛び込んだ。
ほどなく、別練の壁に次元のはざまが浮かび上がり、勇者ランゲと賢者ノモスが現れる。
「うわーん!! 兄様ー!!」
幻術師ゾーネが、勇者ランゲに飛びつく。
「ありがとうゾーネ。聖女様も」
「お久しぶりです。聖女様」
賢者ノモスは、
「早速ですが、
「コンスタンタンなら、
「あ、ああ」
「はじめましてノモス様。
コンスタンタンは、メイド服の両裾をもち、賢者ノモスにおじぎをする。
「なるほど、あなたが聖女ヒーナ様のご両親によって造られた
賢者ノモスは、コンスタンタンを喰い入るように眺めている。
本当に彼女を信じていいんだよな。
俺は、賢者ノモスのことを今ひとつ信じきれないでいた。
■次回予告
お楽しみに!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます