第15話 異世界からの来訪者、番長を無双する。
「ゾーネのスキルが完全にリセットされちゃってる」
「「ええー!!」」
「どういうことだ? コンスタンタン」
「私との契約が締結しましたので、他の
盲点だった。でも、そりゃそうだ。スマホだってデータを引き継がないと写真とか持ってこれないしな。アプリゲームなんてわざわざ再ダウンロードと認証が必要なくらいだし。
ファンタジー世界のマジックアイテムも、セキュリティ対策は万全ってことだ。
って、納得とかしてないで早く幻術師ゾーネのアビリティポイントを貯めないと。
「なあ、番長。ゾーネと模擬戦をしてくれないか?」
「わかりやした!!」
模擬戦は『クロノスの聖女』にもあるシステムだ。パーティーメンバー同士を戦わせることで、大量のアビリティポイントを獲得できる。(1日1回までの制限付き)
勇者ランゲのスキル『手加減』とおんなじで、途中参加メンバーを強化させるための救済策だ。
「なに? あのデカブツと戦えばいいの?」
幻術師ゾーネは不敵に微笑む。
「笑っていられるのも今のうちでヤンス! 俺様の
「
「あ、ああ……」
俺はコンスタンタンに依頼して、ロイヤルオークを幻術師ゾーネに手渡す。
「ロイヤルオークがあれば、鬼に金棒よ! 幻術師ゾーネ様の実力をみせてあげるんだから!!」
俺達は、別練の校舎裏へと移動する。
「カシオもゾーネちゃんも頑張ってー!!」
「頑張ってー!!」
呑気に応援してる
「そんじゃ、
俺は、幻術師ゾーネに言われるがまま、ふたりの間にたつと。
「デュエルスタンバイ! レディ! コ゚ー!!」
と、号令をかける。
「俺様は、女子供にも手加減しねぇでやんす! くらえ! 必殺!!
番長はいきなり必殺技を繰り出すも、
スカッ!
番長の
「な、なにぃ!?!?」
ガラリ!!
美術室の窓が勢いよく開かれる。そこには幻術師ゾーネがいた。
「んふ♪ 引っかかったわね!! そいつは『分身』よ! みんなが美術室をでるとき、こっそり入れ替わったの!!」
「な!? そんなの反則でやんす!!」
「うっさい! 兄様を助けるためなんだもん! アンタは大人しく殺られてなさい!! 喰らえ! ロイヤルオーーーーーーーーーーーーーク!!」
幻術師ゾーネがロイヤルオークを振り上げると、小さな竜巻が発生する。
「きゃあ!!」
「きゃあ!!」
竜巻はくねくねと蛇行して、
「そんなパンチラさせることしかできないそよ風で、俺様を倒そうなど片腹痛いでやんす!!」
「あ、番長! それはマズイって!!」
番長は俺の言葉をガン無視して、ガッツポーズをして竜巻を受け止める。すると、
ザシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ!!
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
竜巻が、番長の身体を切り刻んだ。竜巻がやんで番長が倒れると、周囲にカラスの羽がバラバラと散らばっていく。幻術師ゾーネの圧勝だ。
「コンスタンタン! すぐに番長を『回復』してくれ! 急いで!!」
「んふ♪ ゾーネの鴉羽手裏剣の威力いかがかしらん♪ これでも手加減したんだからね!」
鴉羽手裏剣。ロイヤルオークで発生した竜巻に、使い魔のカラスの羽を仕込んで対象の敵を切り裂く攻撃技だ。
他にも、ポーションとか、眠り薬とか、様々なアイテムを竜巻に仕込んで、バフ・デバフを自在に操る。ゾーネは、幻術師の名にふさわしい撹乱とサポート能力のスペシャリストなんだ。
「どう?
「ああ。習得可能だ。コンスタンタン、幻術師ゾーネに『通神』のスキルを付与してくれ」
「かしこまりました」
コンスタンタンはメイド服の裾を持ち上げて礼をする。すると、幻術師ゾーネの身体が青白く光る。
「よし! さっそく『通神』を使うわよ!!」
幻術師ゾーネは、膝立ちになり目を閉じて祈りを捧げる。すると、
「兄様が囚われてる牢獄に侵入するわ」
壁に移された映像にクロノス王国の宮殿が映し出される。宮殿は瞬く間にズームアップされていき、そのまま鉄格子の有る窓をすり抜けた。牢獄には足かせをつけられた勇者ランゲが冷たい石床に横たわっている。
「兄様!!」
「カラス? ゾーネか!?」
「兄様!! 今たすけに行くからね!!」
「私のことなど構わない。それよりも一刻も早くヒーナのご両親をお救いしなければ!! 急がないと、明日の正午に処刑されてしまう!!」
「「な、なんだってーーーー!?」」
■次回予告
お楽しみに!!
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