第4話 10年ぶりに再会した幼馴染から、アイテムを受け取る。
「カシオ! 無事だったのね!? てっきり時空のはざまに巻き込まれて、そのまま死んでしまったかと……良かった……本当に良かった……」
「ヒーナ! お前の方こそどうして……まさか、時空のすきまに巻き込まれたのか!?」
「ううん。
「そうだったのか……」
まさか、番長も『クロノスの魔女』をやりこんでいただなんて。
まあ、番長は魔王ヴァシュロンが倒されたことを知らないっぽいから、まだクリアはしていないみたいだけど……。
「カシオ、魔王ヴァシュロンを倒せたのは、
「そんな……あの時は、ただ夢中だっただけで。ヒーナ、よく、無事でいられたな」
ん?
「ああ!!」
俺は、思わず声をあげる。
確かにあった! ゲーム開始早々のイベント!!
聖女ヒーナは、魔王軍から逃れるため、聖女であることを隠して、山深い
そして、魔王軍の襲撃に遭った時、聖女ヒーナを助けたのは、
あのイベント、ムービーも、ボイスも入ってなかったから気が付かなかった。そういや、カシオの身長は2メートルって、設定資料集に書いてあったな……。
「俺様とヒーナは、7歳の時からずっと一緒だった幼馴染だ! 貴様みたいなポッと出が彼氏だなんて、俺は断じて認めん!!」
俺は反論する。
「お、俺だって、生まれた時から7歳までずっと一緒にいた幼馴染だよ!!」
「な、なんだって!? ということはヒーナ、まさか君は本当に……」
「
「なんてこった。俺様以外の幼馴染がいたなんて」
「カシオ、アタシは優しいあなたのことがとっても大好き。でも結婚はできないわ。なぜならクロノス王国に召喚される前、この、
「そんな……」
番長は、そのまま頭を抱えて地面に突っ伏す。
そういや、『クロノスの聖女』のカシオって、ことあるごとに、ヒーナに「結婚してくれ!」ってプロポーズしていたもんな。
「そういうわけで、再会できたのは嬉しいけれど、あなたとの結婚は無理。ゴメンね、カシオ」
「ううう、わかったよヒーナ。だが……あの男が本当にヒーナのフィアンセにふさわしいか確かめる必要がある!
「そうね、そうしましょう!!」
「ちょっ、ちょっとまってくれ!!」
冗談じゃない!! 2メートル越えの大男と勝負だなんて、命がいくつあっても足りないよ。
「俺様はいつでも戦えるぞ!」
番長は、学ランを脱ぎ去り、両腕をボキリボキリと鳴らしている。
「ちょっと待って、
そう言うと
「な、なあ、
情けないがしょうがない。俺、格闘技はおろか、ケンカだってしたことが無いのに。
「頼む。
俺は、両手を合わせて懇願をする。すると
え? ええ? どういうこと??
「え? それってもしかして、
「
俺は言われるがまま、震える手で
カリカリカリ……カリカリカリ……カリカリカリ。
「初めましてご主人様。わたしは、
「え、えっと、これから決闘しなきゃいけないんだけど、手伝ってくれるかい?」
「かしこまりました」
コンスタンタンは、スカートのすそを持って、うやうやしくお礼をすると、
「随分と待たせてくれたなぁ! 覚悟はできたか?」
「あ、ああ」
「そうか、では死ね!!
とっくに痺れをきらしていたのだろう。番長が猛スピードで俺に突進をしてくる。
すると、首から下げた
「な、なんだってー!!」
「な、なんだってー!!」
あまりの出来事に、俺と番長の声がハモる。
コンスタンタンは、そのまま、番長に向かって強烈な肘打ちをくらわせる。
「ぐはっ!」
たまらずよろける番長に、コンスタンタンは、流れるように肩と背中を使って突進技を食らわせる。
「ぎゃああああああ……」
ドッカーン!!
攻撃をもろに喰らった番長は、派手に吹っ飛んで校舎の壁に打ちつけられた。
め、めちゃくちゃな強さだ……。
ピロリロリン♪
「アビリティポイントを獲得しました。習得するスキルを選択してください」
『クロノスの聖女』で聴き慣れた音楽とメッセージが脳内に流れ出す。俺は迷うことなく、習得するアビリティを選択した。
「『回復』を習得! 番長の傷を癒さないと!!」
■次回予告
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