第2話 10年ぶりに再会した幼馴染が自己紹介をした。
俺は登校しながら、さっきからずっと話している
「魔王ヴァシュロンとの戦いは熾烈を極めたわ。でも、パパとママが共同発明した
「ん、大丈夫だよ」
大丈夫だ、問題ない。俺には、クロノス王国のことが完全に理解できていた。
なにせついさっきまで、徹夜で遊んでいたテレビゲーム『クロノスの聖女』の設定と完全一致なんだもの。
アビリティポイントを集めて、機械仕掛けの魔道士を成長させるゲームシステムがシンプルにもかかわらず極めると奥が深くてめっちゃ面白い。
その他にも、クロノス王国の辺境伯が率いる
うーん。
なんとかしないと。せっかくカワイイのに、このままでは厨二病認定されて、クラスで浮きまくってしまうだろう。そんなの、いくらなんでも可哀想すぎる。
「なぁ、
「なぁに、
「キミが異世界……クロノス王国帰りってのは、ふたりだけの秘密にしておかないか?」
「え? どうして??」
キョトンとする
「いいか
「なにか問題があるの??」
「おおアリだよ! 取材取材の毎日で、君はほとんど自由が効かなくなってしまう。SPだってつくだろうし、俺なんかとは、ほとんど会えなくなってしまうはずだ」
「そんなぁ。そんなの絶対イヤだよ! アタシ、やっと
「俺だって嫌だよ! だからさ
「うん! えへへ、ふたりっきりの秘密だなんて、ドキドキしちゃうね♪」
ったく、こっちは、さっきからずっとドキドキしてるっつーの!
キーンコーンカーンコーン
「しまった! 予鈴だ!! 急ぐぞ
「あん。
俺は、からみついた
・
・
・
「起立! 礼! 着席!!」
ガタガタガタガタ!
クラス委員の号令に併せて、生徒たちがそうぞうしく着席をする。
担任の真理子先生は、全員が着席したのを見計らうとしゃべりはじめた。
「転校生を紹介するわ」
ガヤガヤガヤガヤ!
季節外れの転校生に、クラスの生徒たちはざわめき立つ。
「
ガラリ。
その瞬間、ざわついていた教室が「シン……」と静まり返った。転校生のあまりのカワイさに言葉を失ったからだ。
「はじめまして。
うおおおおおおーーー!!
クラスは大騒ぎだ。
「
「スキな食べ物は!?」
「休日は何をして過ごしていますか!?」
「好きな芸能人は?」
「彼氏はいますか?」
男子たちの怒涛の質問が、
「静かに!! そんなに一気に聞かれたら、
「はい!」
「それじゃ改めて……
よかった。確かに、異世界は他の国だもんな。
「スキな食べ物はチーズケーキで、趣味はパン作りとお菓子作りです。なかでもドライフルーツを使ったパンと、いちごのチーズタルトが得意です。休日も、お菓子を焼いている事が多いかな? 芸能人のことは……ごめんなさい。ちょっと詳しくないです」
「最後に彼氏なんですけど……フィアンセがいます!! そこにいる
……ざわ……ざわ……。
な!? 何言ってるんだ
いきなりの爆弾発言に、クラスメイトの視線が一斉に俺に向けられる。
その視線は一様に「なんでこんなヤツが?」という、困惑と嫉妬とねたみとそねみとうらみとやっかみが渾然一体となっている。
しまった!! 告白されたことも口止めをすべきだった……。
絶世の美女とつきあう凡人男。その噂はあっという間に学校中に広まった。
俺は、今までの、おだやかに流され続ける生活が、濁流に飲み込まれていくのをひしひしと感じていた。
■次回予告
美少女転校生と、その彼氏の噂はあれよあれよと学校中に広まって、ヤバい奴に目をつけられることに!? お楽しみに!
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