第13話 ふざけるな!!
引越しも終わり今日から此処がオレたちの新居だ。
とりあえず入籍だけは済ませないとな。
それに仕事も探さないと・・・。
あ・・・忘れてはいけない大事な家族のスマイルを。
順調に育ってヤンチャ盛りで困ったものだ。
オレはこんな事しなかったぞ?
翌朝…。
今日は日曜日だったゆっくり寝て居よう。
「幸太郎〜朝だよ~起きて!」
「んっんん~~…今日は日曜だぞ?」
「今日からランニング再開するって言ったじゃない起きて!」
毎朝の日課の再開かぁ〜…。
スマイル頑張ってくれ…オレは寝る。
ワンワン!(起きろ!)
わかったよ耳元で吠えるな…。
しかたないな…。
「なに朝から不機嫌な顔してるの?」
「別に不機嫌じゃねえよ・・・。」
ワン!
あ〜だる…行くか・・・。
「美羽、オレは一応病み上がりだからな?」
「うんうん、わかってますよ~。」
「私も久しぶりだから5キロでやめようと思ってるよ?」
それでも5キロも走る気かよ・・・。
犬だった頃は何とか走れていたが・・・走れてないか。
やっぱりキツイものはキツイ。
スマイルお前もキツイだろ?
くそ…余裕って顔してやがる・・・。
はぁ、はぁ、はぁ…。
「こら〜幸太郎〜だらしないぞぉ〜。」
「先に行ってるよ〜!」
「勝手にしろ…。」
美羽のやつ…オレは病み上がりだっつぅ〜の!
少し休んでから行こう…。
背後から人が来る気配がした。
「!?」
ザクッ!!!
激しい痛みが背中から伝わってきた…。
痛ッ!!
な、なんだ…?
『橘ぁ〜!!』
ザクッ!
『おまえがいなければ佐伯さんは!』
『おまえのせいだ!!』
『僕の人生が狂ったのもおまえが悪いんだよ!』
ぐはっ…。
「や、安井…か…。」
ドスッ!!
さらに腹部を刺された…。
あぁ…こりゃダメだな…
抵抗するチカラも出ない…。
安井が逃げようとしたところに警官たちが押さえかかった。
通行人が通報してくれたようだ…。
美羽は…?
「キミ!大丈夫か!?」
「救急車を早く!!」
いや、どう見ても大丈夫なわけが無い…でもオレはまだ死にたくない…。
これから…美羽を…美羽と…。
幸せって何なんだろな…。
手が届きそうになると逃げていく。
オレは……。
ピーポーピーポーピーポー…。
『救急車通ります道をあけてください』
あまりにも遅いと思った美羽が引き返してきた…。
人だかりができていた。
周囲の異変に気がついた美羽は問いかけた…。
「救急車…何かあったんですか…?」
「男の人が…刺されて…。」
血まみれで倒れている男性の姿が見えた。
朗らかに幸太郎のジャージだとわかった…。
血の気がいっきに引いた…。
「こ、こ、幸太郎なの…。」
「ダメ!入らないで!」
「私の…彼なんです!」
「……。」
薄れゆく意識の中美羽の声は聞こえていた…ごめん…また泣かせてしまった…。
でも…これが最後だと思うから…。
もう身体がピクリとも動かなかった…。
悔しさと申し訳なさなのか…オレも泣いていた…。
救急車の中に搬送されて2分後…オレは息絶えた…。
救急隊員が必死に蘇生処置を行なっていた…。
「もういいです…静かに寝かせてあげてください…。」
「もう…いいです…。」
うぅっ…わぁぁ〜…。
・
・
・
「幸太郎〜朝だよ~起きて!」
はっ!?
夢か…リアルな夢はもうたくさんだ…。
「今日からランニング再開するって言ったじゃない起きて!」
え?夢と同じ?
ワンワン!(起きろ!)
やはり…これは…まさか予知夢??
さすがにヤバいと思った…。
「あのさ美羽…。 オレ変な夢見てさ…。」
「え?夢?どんな?」
「安井に刺されて死ぬ夢…。」
「え!?何でそんな夢を…?」
いや…オレが聞きたいよ…。
「じゃあ、やめようか…気味悪いし…。」
「そうしてくれ…。」
「スマイルのトイレだけ済ませてくるね~…。」
トイレだけで済むわけがない…。
他の犬たちもいたら遊ぶだろうから。
「オレも行く!」
美羽を1人で行かせて何かあってもイヤだ…。
公演のドッグランで遊ばせるぶんには
他の人もいるだろから大丈夫だとは思うが…。
「ちょっと奥さん変な人が居るんだけど…何なのかしらね?」
「気味悪いわよね・・・。」
なんだ?
まさかアイツなのか?
(コタローあれって前アンタをケガさせたやつじゃ?)
ショコラも異変を察知しているようだ・・・。
(気をつけた方がいいな・・・。)
虎丸もいた。
「みんなありがとうな。」
とりあえず状況は良くないみたいだ・・・。
「美羽・・・こっちに来てくれ。」
「いまいく~。」
怪しい男が美羽に向って走って来た・・・。
「橘ぁぁぁぁぁなんでお前生きてんだよ!!!」
「あのとき撥ね飛ばされて死んだんじゃないのかよ!!」
「やっぱりボクが直接やっておけば・・・!!」
くそっ・・・あいつ完全にイカレテル・・・。
まさか本当に現れるとは・・・!
だがタダではやられない・・・夢では不意打ちだったからな!
「美羽ぁぁ!!」
オレが美羽に駆け寄ると同時に犬たちが一斉に安井に飛び掛かった
「ス、スマイルが!!」
「スマイルやめろお前じゃ・・・!!」
ワンワンワンワン!!!
キャンキャンキャンキャン!!
「やめろ!このバカ犬どもがぁぁ!!」
『早く警察を呼んでください!!』
ギャン!!!
安井がスマイルを刺そうとした瞬間ショコラが庇って刺された・・・。
な・・・!?
ショコラ!?
「ショコラちゃん!!」
安井!! オマエ・・・いい加減にしろよ?
「あぁぁ!?」
バキ!!ドゴォ!!
「ぐはぁぁ…。」
「ショ、ショコラちゃんの仇です!」
幸いショコラの怪我は大したこと無さそうだ・・・。
ショコラの飼い主が・・・!?
このオバサン…強かったのか・・・。
「この…クソばばあぁ~~。」
ショコラを早く病院へ連れて行ってください・・・。
「安井・・・お前は・・・。」
「橘・・・お前・・・あれは事故だったと思ってるんだろ?」
「なんのことだ?」
「あれはボクが頼んだんだよオマエを殺してくれってなぁ!!」
「あの野郎・・・高い金払ったのにしくじりやがったんだな…バカが!」
何を言ってるんだ・・・こいつ・・・。
オレは・・・こいつの所為で・・・?
「そうか…あれは・・・おまえの所為だったのか…。」
「ふざけるな!!お前のような奴は・・・。」
オレは落ちていたナイフを握りしめていた・・・。
幸太郎~~~~~~~~!!!!
だめ~~~~~~!!!
グサッ・・・!!
次回最終話・・・。
幸せの結末につづく・・・。
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