第5話 なにやってんだよ

夜中の着信・・・。

誰だ?

「誰だろう?非通知?」

ばか、非通知拒否設定してないのかよ!

出るなよ?出るなよ?


ピッ。

「もしもし?」

『・・・。』

出やがった・・・。

コントのベタなフリじゃないんだから・・・。

警戒心のかけらも無いのかよ・・・。

「あの?誰ですか?」

『ガチャ・・・。』

「あれ…切れちゃった。」


「というか非通知はろくな電話じゃないから出るな!」

「そうだね・・・。」

♪~・・・。

また?

「あ・・・安井君だ・・・。」

何だ…安井か・ならまだいいか・・・。

って!!よくない!!

ピッ・・・。

(ただいま電話に出ることが出来ません・・・。)


あれ?出ないのか・・・いや出なくていいんだけど。

思わず聞いてしまった。

「出なくて良かったのかよ?」

「うん・・・だって話したくないし。」

そういうとオレの顔をマジマジと見ていた。

「なんだよ?」

「えーだってコタローは安井君嫌いだったじゃん?」

たしかにアイツとは馬が合わなかった・・・。

何をするんでも口論してたな。

「オレは理論派はキライだからな。」

「へー・・・私もそのタイプじゃない?」

どの口が言う・・・。

おまえは考えなしに行動するやつだろうが・・・。

だから放っておけなかったんだから。

高校3年のときだったか・・・。


「幸太郎・・・私、安井君に告られちゃった。」

「あ?オレと美羽が付き合ってるの知ってるだろアイツ。」

「だよね?」

あのやろう何考えてやがる・・・。

美羽はオレに隠し事はするやつじゃなかった。

なんでも相談してきた。

「で?なんて答えたんだよ?」

「え?ちゃんと言ったよ?幸太郎と付き合ってるんだけど?って」

やつのはその時こう言ったらしい。

『あいつは佐伯さいきさんにふさわしくない!』

『いろんな女の子に愛想振りまいて佐伯さんの事は遊びだって言ったんだぞ?』

だけど美羽は笑顔でこう言った・・・。

「私、幸太郎のこと信じてるし安井君は幸太郎の何を知ってるの?」

翌日、オレは安井の友人Aに呼び出された・・・。

昔なんかのドラマで見た校舎裏への呼び出し。

おおかた安井の友人Bもいるんだろうな。

「橘!よく逃げなかったな?」

「は?」

なんだその昭和的な決闘するぞみたいな言い方・・・。

「安井?おまえ何がしたいんだ?あることない事を

美羽に言ってんじゃねえぞ?」

「オレはさっさと帰りたんだが?」

「おまえ佐伯さいきさんと別れろよ!」

「なんでお前にそんなこと言われなきゃならねえんだか。」

佐伯さいきさんも別れたがってたぞ?」

「ばかじゃないのか?」

『おい橘ちょーしこいてんじゃねえぞ!』

はいはい友人Aのお出ましね・・・。

ブン!

「力づくでもってか?いいね・・・オレそういうの好きだぜ?」

てめえ~~!!

バキ!ドカ!『・・・。』

「で?まだ何か用あるの?」

「す、すまん・・・許してくれ橘・・・。」

「美羽にちょっかいかけんなよ?」

と・・・昭和をしたんだかが・・・その後がな・・・。

「おい橘!職員室に来い!」

ザワザワザワ・・・。

なんかやらかしたのかあいつ・・・。

昨日のあれじゃない?ほらSNSの・・・。

マジか・・・やられた・・・。

一連の流れを動画で撮影していたらしい。

ご丁寧に加工編集して・・・。

おかげで停学だ…就職活動に影響するんだろうな・・・。

        ◆

        ◆

あぁ~~思い出すだけでもムカついてきた!!

「それで結局安井君が謝罪にきたんだけ?」

「そういえばそうだったな。」

それにしてもさっきの電話なんだったんだ?

「コタローもう寝るよ~。」

もう0時か・・・。

寝るか。

カチッ・・・。


深夜2時を回ったころ・・・。

またスマホが鳴った。

ブーブーブー・・・バイブにしてたのか。

オレは画面を確認した・・・。

安井だった。

イヤな予感しかしない・・・。

「う~ん・・・コタローだめだよ~・・・。」

やべ起こしたか?

「そんなの食べちゃ・・・お腹壊すよ~…Zzz・・・。」

寝言かよ・・・。

夜中に電話してくるなんて大丈夫かコイツ。


翌朝・・・。

「あれ…夜中にも着信あったんだ?」

「着信拒否した方がいいんじゃないか?」

「そうだね。」

さて、日課のランニングでもいくか・・・。

「よし準備オッケーいくよ~幸太郎!」

お?コタローじゃなく幸太郎?

まあいいか。

いつものコースをいつものように…軽快に!

走れるわけがない!!

「ちょ…。」

言いかけて言葉を止めた・・・。

美羽が立ち止まった。

やつだ・・・待ち伏せていた・・・。

「佐伯さん・・・。」

不気味に近寄って来る。

ウゥゥゥゥ・・・。

オレは威嚇する・・・マジでキレた!

「安井君・・・どうしたの?」

「佐伯さん・・・どうして電話に出てくれないんだ・・・。」

「・・・。」

「まだ死んだ奴の事思ってるとかキモイんだよ!!」

いや、オマエの方がキモイぞ・・・。

「安井・・・君?」

美羽も異常さに気負いしたようだ。

「オレの事好きだっていってくれたじゃないかぁ~~。」

なんだって!?

「あ、あれは・・・そういう意味じゃ・・・。」

「橘といい佐伯さんといい・・・おれをバカにしやがって~」

やばいぞこれ!

オレは美羽の袖を噛んで引っ張った・・・逃げるぞ!

「もういい・・・死んでくれよ!!」

ポケットからナイフを出して来て襲って来た。

「きゃぁぁぁぁ!!」

「美羽~~~~!!」

ガブッ!!ウゥゥ!!

オレは安井の腕に噛みついた!

てめ~・・・なにやってんだよ!!

「うわぁぁ離せよ!!このバカ犬!!」

ドカッ!ぐっ・・・腹を蹴られた・・・でも離すものか!!

するとナイフを離すどころか逆の手に持ち替えて

オレを刺して来た・・・。

ザクッ!!ザクッ!!

ぐっ・・・ドラマじゃ警察犬が噛んだら武器離すんじゃ・・・?

これは反則だろ・・・。

「幸太郎~~~~!!!」

美羽・・・来るな!!

「安井・・・てめぇ~・・・!!」

痛みと怒りに我を忘れた・・・。

うわぁぁぁ・・・ガブッッ!!

気がつくとオレは安井の喉笛を噛んでいた・・・。

ビクン‥ビクン‥。

「ヒュ~~…ヒュ~・・・。」

安井は息がまともに出来ないようだ・・・。

オレも・・・これはダメだな…きっと。

バタッ・・・。

「いや…幸太郎!幸太郎!!いやぁぁぁ~~~!!」

騒ぎを聞きつけて人も集まってきた野・・・次馬どもが・・・。

ピーポーピーポー・・・

その中の人が通報して警察と救急車がきた・・・。



第6話につづく・・・。












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