第4話 馬鹿じゃねぇの?

カラスの言った美羽の願いってなんだ?

イヤな予感がしてきた・・・。

あの背中の爪痕つめあとになにか関係してるんじゃ・・・?

カラスの足の爪って3本だったか?

ドックン・・・ドックン・・・。


「まだ決めてません。」

【そうか・・・願いはあと1つだよ?】

「はい!」

バサッバサバサ・・・。

なんだ急に眠気が・・・。


チュンチュン・・・。

ん?朝か?夢だったのか?

グゥ・・・。

腹減ったなぁ…って、昨日晩御飯もらってないぞぉぉぉぉ!!


「コタローおはよう。」

「あ、おはよ…。」

「なになに?テンション低いよ~?」

「美羽?昨日オレの飯忘れただろ?」

「えーあんなに美味しそうに」

「食ってないぞ、悪いがボケてもいない。」

「ごめーん・・・。」

というか、おまえキャラ変わってないか?

妙に明るくしてる気もするんだけど・・・。

気のせいか…?


いつものように美羽のランニングに付き合わされる

この生活も慣れて来ると・・・いやキツイ・・・。

なにを好きこのんで朝から10キロも走るんだかな・・・。

「ちょ、ちょっと待て・・・体力馬鹿かお前は!」

「ちょっと、体力馬鹿はひどくない?」

はぁはぁはぁ・・・。

5キロ走ったところで休憩・・・ここの公園ドッグラン?

なんだ?ドッグランって・・・。

「まったく~コタロー体力なさ過ぎじゃない?」

「仕方ないだろオレは冬がすきなんだ!」

夏は犬にとって地獄の季節なんだぞ?

可愛らしいプニプニの肉球も熱くなったアスファルトで

灼熱地獄しゃくねつじごく・・・。ほら見てくれよ焼けて真っ黒だ。

「・・・もとからじゃないの?」

「あ・・・。」

「だらしないなぁ~。」

「じゃあ、美羽おまえ裸足でアスファルトに立ってみろよ!」

「あ、ここの公園ドッグランあるんだね。」

話しそらしやがった・・・。


「オレも気になってたんだけどドッグランってなんだ?」

「え?ドッグランしらないの?」

「知らん!」

「ドッグランっていうのはね犬たちの公園で自由に遊べるところなんだよ?」

「ほうほう・・・。」

「リードも着けなくて良いから首も絞まらない!」

おおお~それ重要だな!


「今度のお休みに来てみようか?」

「そうだな!久しぶりにデートだな?」

「楽しみだね!」


土曜日・・・。

「おとうさん早く~~」

「美玖~コタローのリード離さないでよ?」

「大丈夫だってお母さんコタローは頭いいから」

で…?

デートじゃなかったのかよ?

ただの家族でピクニックじゃないか。

ワンワン!キャンキャン!!バウバウ!

「さ、コタロー行っておいで~!」


犬だらけだな…。

ドッグランだからあたりまえか・・・。


『あ~ら、コタローさん』

『あ?おまえはショコラティエ!』

『だれよそれ!私はショコラだけど?』

『あ、そうだった』

『まあいいわ・・・みんな~コタローくんが来たわよ~!』

『え?みんな・・・?』

ワンワン!!

『お前がコタロー?ボクはレオ!』

レオ・・・あ、これ知ってる柴犬だな。

『はじめましてコタローさん・・・私はモカです。』

モカ・・・なんだろトイプードル?

『こんにちはオレはリュウ』

んと・・・犬種は・・・わからん…。

『よろしくコタロー、俺は虎丸・・四国犬だ!』

四国犬?日本犬だっけか

『よろしく、ココはじめてなんで・・・。』

『えーまじかよ?思いっきり走れていいぞ?』

走るのは毎朝10キロ走ってますけど・・・?


『あれ?今日はアイリスのやつが来てないな?』

『まだいるんだ?どんなやつ?』

『お前と同じハスキーだよ?可愛い子だぞ?』


ほほう・・・まあ美羽より可愛い奴はオレは知らないけどな。


「コタローのところにみんな集まってきてるね」

「犬の中ではイケメン君だと思うから。」

「かあさん・・・ビール。」

「・・・・・・。」


なんだかんだで2時間ちょいか・・・。

犬同士の交流も時には大事なのかも知れないな…。

虎丸のやつとは仲良くできそうだな。

アイリスってのが少し気になるけど

いないなら仕方がない・・・。

というか、そろそろ飽きたなぁ…。


美玖が珍しくオレを呼んだ・・・。

「コタローそろそろ帰るよ~~!」

お?帰る帰る~。

ん?なんだアイツ美羽と話してるな…。

あれは・・・安井じゃないか…。

ここにいるってことは誰かの飼い主なのか?

安井の奴…オレがいないのを良いことに美羽にちょっかいを?

「やだぁ安井君ったら…。」

「あはははは。」

なんだ?楽しそうだな…。

オレは聞き耳をたてた犬の聴力なめんなよ!

「あんなやつのことわすれさせてやるよ」

「ちょっと…親もいるんだから・・・。」

「・・・・・・!」

「・・・!」

オレは耳をふさいだ・・・。

ていうか・・・馬鹿じゃねぇの?

オレは犬だぞ・・・いくら幸太郎の記憶があっても

所詮は犬だ・・・美羽と一緒になれるわけがない。

なにを勘違いしてるんだオレは・・・。

夢見てんじゃねえよ・・・。


その夜・・・。

「ねえコタロー?」

美羽が話しかけてきた・・・。

何だよ…。

「今日ドッグランで安井君に会っちゃった。」

知ってるよ見てたからな…。

「会わないって言ってたのにね。」

それは、オレがいたからだろ?

人の彼女にちょっかい出すやつなんて最低だしな。

「ねえ?なんでなにも言ってくれないの?」

なにを言えって言うんだよ?

あんな楽しそうな笑顔の美羽をみたら何も言えない。

「安井君ね・・・私と付き合いたいんだって・・・。」

「・・・・・・!」

オレはチラッっと美羽の顔を見た・・・。

やっぱりな・・・泣いてると思った。

「たく…オレになにを言って欲しいんだよ?」

「私どうしたら良いと思う?」

「どうしたらって・・・あんま聞きたくないけど・・・。」

「好きなのかよ?」

「ううん・・・ぜんぜん!」

ガクッ・・・。

「私、学生の頃から安井君嫌いだったし。」

「なんだよそれ思わせぶりに言うんじゃねえよ。」

美羽はオレをギュッと抱きしめて・・・。

「私はコタローが居れくれるだけで幸せだから。」

美羽・・・。

「でもよ…オレ犬なんだぞ?」

「良いのかよ…おまえを抱きしめたりなぐさめてやることできないんだぞ?」

「コタローはコタローでしょ?」

「まあ、そうなんだけど…。」

とても複雑な気分だドッグランでのあの会話と笑顔

普段あまり見ない美羽の顔だった。

オレに気を使って?

まさか…な。


【キミは人になりたくないかい?】

【気が変わったら言ってくれ・・・。】


なんであいつの言葉を思い出すんだよ!

オレは美羽の犬で良いって決めたんだ。


「コタロー?」

「ん?」

「あんた臭いよ?」

「な・・・!?」

「お風呂入ってないでしょ?」

「何言ってるんだよ?いま、良いシーンだったのに!」

「あんたこそ何言ってるのよ?」

「お風呂いくよ!」

「おい!ちょっと待てって・・・おい~~~!」

ズルズルズル・・・。


「先に入っててスグいくから」

先に入ってて言われてもさ・・・この丸いお手てでどうすれと?

蛇口も回せやしない・・・。

あ、レバーならワンチャン?

グッ・・・

シャアァァァァ・・・。

やったね!でもなんか冷たくなってきたような?

でも、まあいいか頭冷やすのにちょうどいい。

「コタローはいるよ~・・・。」

お、おう・・・。

美羽と風呂なんていつ以来だ?

ドキドキ・・・。

ガラガラ・・・。

Tシャツに短パンかい!!

「あ~何か期待してた?」

なにもしてねえし…。

「やだこれ水じゃない!!もお~。」


ガシガシガシ・・・。

ブルブルブルブル・・・!

「あ!ちょっとやだ!!」

変な期待させた罰だ・・・。

「えー。コタロー水にぬれると貧相ね・・・。」

貧相いうな!

スマートなだけだ。


さて、風呂も入ったし・・・。

今日は疲れたな…寝るか・・・。

もう臭くないか?

美羽はまだ風呂から出てきてないか…。

先に部屋行ってようかな。


階段をあがって部屋の前に・・・しまったドアあいてない。

ドアの前で待ってるか・・・。

ピクッ

ヒタヒタと階段を上がって来る音が聞こえて来た。

美羽の足音じゃない??

美玖のでもない・・・。

誰だ?

ウゥゥゥゥ・・・。


階段の上り口のところで足音が止まった。

ゴク・・・。


「ばぁぁぁ~~~!!」

うおぉぉ~~!!

キャイン!!

驚きのあまり飛び上がってしまった。

「あははは・・・!!」

「コタロー可笑しい~。」

涙を流して笑っているそうとうツボにはまったのだろう。

美羽・・・おまえなぁ・・・。

また死んだらどうする。

「ごめんね~。」

ぎゅぅ~~~・・・。

ま、まあ許してやるか。

さて、明日も早い寝るか・・・。

♪♪~~~。

そのとき、美羽のスマホに着信があった・・・。



第5話につづく・・・。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る