第3話 おまえの犬として・・・。

昨日はやってしまった…。

話せることは内緒にしてなければいけなかった。

それが思わず喋ってしまった・・・。

美羽は受け入れてくれたからまだいいがこれからは

気をつけなければ・・・。

もし喋る犬なんて世間にしれたら・・・。

ワイドショーに出ちゃったりして人気もでて

いろんなメディアにでて有名アイドルにも会えたり?

「ふ~ん・・・有名になりたいんだ?」

「え?おれ今喋ってた?」

「うん、思いっきりね。」

美羽はにっこりとほほ笑んでいたが…これは怒ってるな

匂いで解かる・・・。

「さ、コタローいつもの日課いくよー。」

「え~マジかよ?今日は日曜だぞ?」

「コタロー?あんた犬なのよ?毎日散歩いかないとダ~メ!」

「病気になっちゃうじゃない」

「もうすこし、犬としての自覚をもってくれないと・・・。」

「はい、はい・・・。」

「わかれば宜しい、いくよ~。」


そんなこんなで・・・いつものコースを行くことになったのだが

いつもは見かけない奴がこっちに向かって歩いてくる。

おばさんに毛むくじゃら…?

オレは歩くのをやめた途端に・・・。

ぎゅぅ~~~首が絞まる。

「美羽ストーップ・・・死ぬ!!」

「え?あ、ごめん!」

ルートを変えよう・・・あのおばさんの犬・・・やばい」

オレよりひと回り以上でかい・・・。

「なに?怖いの?ゴールデンじゃん・・・。」

なんだ?ゴールデンって・・・。

あいにくとオレは犬には詳しくないどちらかと言えば

猫派だったからな!

「ゴールデンリトリバーってとても賢いのよ!」

「大丈夫よ・・・いこ!」

へー・・・賢くなくてわるぅござんした…。

仕方ない・・・渋々向かう。

「おはようございます。」

「あ~ら、おはよう。」

おばさん特有の「あ~ら。」

あ~らってなんだ?

「オタクのわんちゃん?ハスキーかしら?」


だれがオタクだよオレは普通の犬だって!

オタク呼ばわりすんな!

というかオタクのわんちゃんってどんな犬だよキモイだろ!


「はい、まだ1歳になったばかりで」

え?オレ1歳になったのか?いつのまに・・・。

ん?殺気・・・?

『あんた見ない顔ね?』

あ?なんだ?

『最近の若僧は挨拶も出来ないのかしら?』

ムカつく飼い主がこうだと犬もこうなのか?

『ども…コタローっていいます宜しく・・・。』

『コタロー?古風な名前ね・・・。』

なんだと~このやろう~・・・。

ウウゥゥゥ・・・。

「こ、こらコタローダメだってば!」

「あら、機嫌悪いのかしらね~?」

「普段はおとなしいんですけど…。」

『アンタ威勢だけはいいね~。』

『あんたも名前くらい名乗れよ!』

『私?私はショコラよ?』

『ぷっ!ぎゃははははは・・・』

『なによ失礼ね!』

ガブッ!

いててて・・・!

「ちょっと!」

マジ噛みしやがった・・・こいつ!

「これこれ、ショコラちゃんだめでしょ?」

『なんだよ噛むことないだろ!』

『あんたが失礼だからでしょ!』

『名前がミスマッチなんだよ!ショコラって小さい犬だろ普通!!』

『そんなの知らないわよ!そう付けられたんだから!』

『だいたい名前の事で先に喧嘩ふっかけたのはアンタだからな?』

『あ~ら、そうだったかしら?』

ムカつく!


「じゃ、失礼します。」

「コタローいくよ~。」

あのやろう・・・オレがまだ小さいからってバカにしやがって・・・。

今度会ったら覚えてろよ~…。

負けた奴のセリフだなこれ…。

美羽はなにくわぬ顔で走り出した。

少し離れたところで立ち止まる。


「なによ、あのおばさん!ムカつく!!」

お?美羽もムカついてたのか?

「コタロー大丈夫だった?」

「あぁ…ちょっと痛かったけどな」

「急に噛むことないのにね!飼い犬が噛んだのに謝らないし」

まあ、常識がないんだろうな?

「あ、いつもより遅れてる~ダッシュだよ?コタロー」

「え~~~。」

「え~って言わない!」

わ、わん!


家に着くとまた知らない匂いがした。

だれか来てるのか?

「ただいまー」

ん?見慣れない靴だな?

美羽に脚をふきふきされて家にあがると・・・。

「おお美羽、おかえり」

「おとうさん!いつ帰ったの?」

お父さん…ああ…フェリーの船長だったか確か。

海外のルートだったよな…。

「ついさっきだ!」

「ちょっと見ない間に美人になったな~。」

「あ、お父さん・・・もうお見合いの話しは無しね!」

「おいおい・・・まだ引きずってるのか?」

「はやく忘れて次の人生に・・・。」

「・・・・・・。」

おい、オッサン…。

「とにかく、お見合いはしないから!」

そういうと美羽は自分の部屋にあがっていった。

いつもならバスルームに行くのに。


「お?おまえがうわさのコタローだな?」

むぎゅう!

顔をつかまれた。

いきなりなにすんだオッサン!

しかも酒臭い帰って来て早々に飲むかふつう!!

「美羽が少し明るくなったのはお前のおかげか?ん?」

オレのおかげなのか?

落ち込ませたのもオレの所為せいなんだけどな…。

ドン!

「まあ、一杯飲めコタロー!」

あ、はい頂きます・・・ってオレは犬だぞ!!

「ちょっと、おとうさん?美羽の犬に変なことしないでくださいね!」

「ちぇっ・・・。」

子供か!


美羽のやつ降りてこないな…。

まさかまた泣いてるのか?

気になるなちょっと行ってみるか。

タタタタ・・・。

お?いいね、この素早く階段上がれる感じ!

ドアは閉まってるか・・・。

ガリガリガリ

「コタロー?」

ワン!

ガチャ・・・。

「なんだまだ着替えてないのか・・・。」

「うん…ちょっと考え事してた。」

「考え事?」

幸太郎こうたろうがいなくなったとき私も死んじゃおうって思ったのよ」

「おいおい・・・。」

「でもね…そんなことしちゃダメだって言われた気がして・・・。」

「考え直したんだけど・・・ずっと寂しくてね」

まあそりゃそうだろうな…。

オレも逆の立場だったらきっとそうなってただろうな。

「ある都市伝説の本を見てね・・・やってみたの!」

おいおい…おまえ昔から好きだったよな~そういうの。

こっくりさんだのなんだの・・・。


「そしてその神社に幸太郎をどんな形でも生き返らせてくださいって

お願いしたら美玖みくがハスキー犬飼ったよって言うから叶った~って。」

「ほお~・・・偶然じゃねえの?」

「そうなのかな~?」

「いや、仮にそうだとしてもオレがそれだったかはわからんだろ・・・。」

「まあ偶然が偶然を呼んで、オレをここに来させたのかもな。」

「もぉ~夢がないなぁ幸太郎は・・・。」

美羽は、ちょっとふてくさった。


「あ、へんなこと聞いて良いか?」

「え?なに?」

「あのさ、おまえ背中に3本爪の傷なんてあったか?」

「あ・・・これ?びっくりだよね~。」

「知らないうちに出来ててさ。」

おいおい・・・他人事じゃないんだから・・・。

「痛くも痒くもないのか?」

「うん、全然。」

「というかコタローいつ見たの?えっち!」

「何言ってんだよお前が勝手に脱いだんだろうが!」

「ふ~ん・・・そういうことにしとく。」


バサバサバサ・・・コツコツ。


ん?なんだ?

「白いカラスだ~珍しいね?」

あ、このまえのカラスか。


【美羽、最後の願いはなんだい?】

え…?何のことだ…?



第4話につづく・・・。






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