第28話 文化祭の準備をしよう! その②
翌日…
昨日の内に料理もなんとなく纏まった。
結局、意見としてはまず普通の主食の料理が、オムライス。
まあ、定番だな。
ちなみに、昨日奏音が作った料理はオムライスだったらしいのだが、なぜか紫色をしていたこと、そしてその後、一口だけオムライスを食った汐田と、瑛人が早退したことから、奏音は絶対に料理を運び、愛を注入する係として決定
した。
そして、カレー。
これは森崎喫茶の緊急時の料理人として採用されている霧矢の監修の下、そして森崎さんに許可をもらった下、実現した、森崎喫茶カレー。
めちゃくちゃ美味しいが、今回は女子達の愛も注がれ、さらに美味しくなったらしい。
まあ、俺はよくわからんけどね。
「そんで?今日は何をするんだ?」
俺は、紙と睨みっこをする学級委員長に聞く。
「今日はな。これをするんだ。」
すると、出したのは、衣類のデザインが描かれた紙。
みたところ、白と黒の服が描かれているところから、これがメイド服だろうと言うのはなんとなく、わかる。
「これを作ってもらおうかなと。」
「これを作る!?」
「そう。1から…いや…0から!!!」
「ま…まじかよ…」
俺はアニメとか見るんだ…と思いながら呟いた。
てか、こういうのって、事前に材料が用意されてるもんじゃないのかよ…
俺は、そう思いつつも、そのデザインの描かれた紙を両手で受け取る。
「ざ、材料は…?」
「そのために、着ない衣服集めたのだろう!!」
「そ、そう言うことか…」
俺は確かに、黒いTシャツを持ってきたが…
まさか…リサイクルして衣服を作るとは…
なんて優しい世界…やさいせいかつ…
「それで…うちって家庭科部とかの連中いたっけ…?」
「え?それならこいつに…」
「とうとう我の出番か!!!!!!」
はい。もうみなさん誰だか分かりましたね。
このうるさい我呼び。
こんな強烈なキャラ、内の中でもなかなか少ないですよ?
「あ、茜…」
厨二病、黒髪(関係無い)、左腕に包帯、右目に眼帯。
この厨二病のオンパレードみたいな存在、そいつが黒田茜と言う女だ。
「はーっは!!!!我が力を頼ろうとは!!!愚かな人間だ!!!!!ハーッハハハハハ!!!!!」
「私なんかが…こんなこんな大事な仕事を任せられるなんて…絶対無理だ絶対無理だ…」
そして、黒田の陰でひっそりと、小言を呟く少女…
「え…っと…この人は…?」
「こいつは、
え?この二人でやるん?なんか、すごい重症の厨二病とすごい重症のインキャ女子しかいなくね?
成り立つんかな…?
俺はそう思いながらも、料理室に向かう委員長を見届ける…
「ま、まあいいか…それじゃあ、二人とも!仕事をしようじゃんか!」
「いいだろう!!!!それでは、我についてくるがよい!!!!!」
「わ、わ、わわわわわわわわわわわ私にな、なななななななな何ができるのでしょうか!?!?!?」
ちょっと騒がしいなと思いながらも、俺はその二人を家庭科室へと誘導した。
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「ほらよっと!!!」
俺はオムライスを極めるべく、森崎喫茶の長房に立っていた。
次々と頼まれる。
メニューの数々を捌き倒しながら、俺は料理を作っていく。
「大丈夫?大変だったら変わるよ?」
俺の汗ばんだ姿に気にしているのか、森崎さんは俺のことを少し心配しながらも、ガラスのコップに入れたメロンソーダに自家製のアイスを乗せる。
「いや、大丈夫です!!!これくらいの試練を超えなければ!!!!今度の文化祭は一番先に俺が死んでしまう!!!!」
「な、なんか主人公みてぇだな…」
空になった皿を運ぶ隆一が、呟く。
「まあな…」
いや、主人公だし。
俺は作ったオムライスを、皿に盛り付け、隆一に渡す。
「がんばれ!!!がんばれ!!!」
奏音の、応援コール。
多分こう言う感じのがメイド喫茶では活躍するんだろうな…
一番稼ぎが多いのはやっぱりアズリアか、奏音だろうか…
「がんばれ!!がんばれ!!!」
奏音に乗っかって、隆一も、ポンポンを持っているかのように応援する。
「お前ら二人仕事!!!!」
俺は、あらかじめ煮込んでおいたカレーの火をとめ、白米の上に盛り付ける。
そして、踊っていた奏音に渡す。
「がんばれ!!」
「いや仕事ぉ!!!!!」
俺は奏音のがんばれのコールで少しだけ休憩を挟んでいることを悟り、俺はマッハで長房を動きながらツッコむ。
「てへぺろ」
最近、奏音がメイド喫茶の練習をしているのか、ちょっとお茶目な姿を見せている。
いや、元からこんなだったか。
俺はそんなことを思うと、カウンターの上に少しデコレーションした森崎カレーならぬ、霧矢カレーを並べる。
すると、カウンターに座っていたお客から「うぉ〜!」と声が上がる。
「なかなか霧矢くんも頑張ってるね〜」
そういうカウンター席に座る一人の老人は、葉月さんと言うちょっと老けたシワの刻まれた面構えの人だった。
「はい!!!そろそろ文化祭なので!!!!僕クラスの料理長やることになってて…!!」
葉月さんは、コーヒーを一杯啜ると、そうなんだね〜と頷く。
「実はさ、うちの子供…っていうか息子がさ、起眞高の2年生だから、なんかお化け屋敷するみたいなんだよね〜」
お化け屋敷…というと、ユミーさんがお化け屋敷をやるって言ってたな…
妙に胸張って、「任セロリ!」とか言ってたけど…
高校生を驚かすには程々のリアリティが必要なんじゃ…と思ってはいるが、それを超えてくるのが、先輩ってもんだろと思って俺は今少し期待しております…
「そうなんですね!!!今度知り合いに聞いてみようかな〜」
「ああ。してみると、良いよ。」
俺はカレーを盛り付け、そして、カウンターに並べると、本気モードのアズリアが全て一瞬で運んでいく。
そして、次にオムライス。
オムライスも、生産性を上げるために、火力を上げる。
こんなの少し時間を間違えただけでも大惨事だが、俺はその0.1秒単位で見逃さない。
「よし!!!!」
俺は一気にオムライスを取り出すと、すぐさまストックとして事前に作っておいた溶き卵を入れる。
材料を合わせ、ご飯を盛り付け、コンマ単位で、オムライスの卵の膜をご飯に覆わせる。
そして、ケチャップをいい塩梅にかけると、「いっちょあがり!!!!」と言って、いくつものオムライスを錬成した。
さすがプロ!!!!さすが俺!!!!
と思いながら、スマホを取り出し、5並んだオムライスを一斉に撮る。
ええなぁ…
俺はそう思いながらグループラインに乗せると、スマホを仕舞い、次のメニューが頼まれるのを待った。
まさに調理無双…
何言ってんだ俺。
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