第27話 文化祭の準備をしよう! その①
「おはよ〜」
アズリアの声が響くと、一斉に、俺の机…いや、教室の入り口にたくさんの女子が集まってきた。
「あ、アズリアちゃーん!!!!!し、心配したよー!!!!!!」
「もう…事故に遭ったって聞いた時から…どうなるかと思ったよ…」
涙を流す者や、アズリアを抱きしめる者。
そして、そっと遠くで胸を撫で下ろす男子達の姿。
俺は、少し、その離れた場所から見守る男子達にふっ…と笑いを溢す。
「それにしても…ラングレーさん…退院できてよかったな!!!隆一!!!」
「え?あ、あ、そ、そうだな!!!!」
窓辺で男子と話していた隆一は、一人の男子に背中を叩かれながら言われた。
だが、その妙にカクカクな姿にその男子生徒は違和感を覚えたようだ。
まあ、察するだろうな…
「はいはーい。みなさん席についてくださーい」
徐々に俺たちのクラスに馴染めてきた、先生が教室の中へ入ると、クラスに声を響かせる。
クラスメイト達は、颯爽と席へと着くと、すぐさまその姿を確認した先生が、「それじゃあ、ホームルームを始めます。」と言った。
_________________
「さてと、みなさん、もう少しで文化祭ですが…まだ何も準備できてませんよね?」
先生が生徒達に問いかけるが、唐沢が、「案は決まりましたよ!!!」と反抗する。
「まあ、逆に言えば…案だけは…ですよね?そろそろ準備を始めないと…流石に間に合わなくなりますよ!?!?私の初担任のクラスは文化祭に不参加でーす…とか!!!私は絶対に嫌ですよ!?」
先生は、若干泣きそうになって言う。
まあね…初担任だからね…
そして、こんな者を見せられては、文化祭を不真面目にやっても泣かれるだけだろうな…
そんな小さな女の子が泣くように、鼻水を垂らしながら泣く先生に、女子がフォローに入りながら、俺たちはちょっとした決意が固まった。
_____________________________________________________
「それじゃあ卜部くん、あとはラングレーさんを頼みましたよ。」
俺は、アズリアを任され、「任せてくださいよぉ!」と胸を叩き、答えると、先生は教室から出て行った。
今週は文化祭準備期間として、丸一日が全て準備期間として設けられている。
ちなみに、今週の土曜。その時には待ちに待った文化祭!!!
俺らは、劇にしろ、メイド喫茶にしろ、何も準備ができていない。
さてさて…どうしたものか…
「まずは料理からだよね…」
俺らは調理室の中で、予算で買ってきた材料の前に立ち、悩んでいた。
「やっぱり、まずは料理からだよね。」
手袋、マスク、そして、工場見学でもするかのように、白い衛星用の服に着替えていた、
確かに、俺らはメイドとしての出る幕は(多分)無いので、後方支援として料理を作るわけだが…
「俺らのクラスって料理男子っているっけ?」
瑛人はオペでもするかのように両手を上げたままキープしている。
「え?いや…知らないな…」
俺がそう答えると、
「だったら!!!一回女子とかにもやらせてみたら?ほら!奏音ちゃんとかさ!!」
俺と瑛人がそんな会話をしていると、女子の学級委員長の、
「ああー奏音ねー…」
俺が呟くと、今度は瑛人が、「お!!それいいじゃん!!」と言ってきた。
「あ…それはやめたほうが…」
俺は言ってみるが、「なんでだ?」と返す。
いや…察しろ!!!!
「え…えっとなぁ…」
「え?私?良いよ!!!このシェフ!!!美味しいとしか言われたことないからね!!!」
そう言いつつ、奏音は親指をまっすぐに立てた。
終わったな…
「ああ〜奏音!!!俺とアズリアの分はいいや!!!」
「え?なんで?」
汐田と瑛人が、そう呟くが、俺とアズリアは「バイバ〜イ」と言ってその場を立ち去る。
そして、少し離れた場所で真面目に研究をする霧矢の姿。
「霧矢たちは進んでるか〜?」
霧矢と梓。この二人が、とりあえずのデザート開発チームだ。
とりあえず、2つか3つほどのデザートを開発してもらおうと、プロの二人に頼んでみた。
ちなみに、霧矢は料理が上手なので、とてもこう言う時には役に立つ人材だ。
「えっと…こう言うふうにクリームソーダを作るとか?」
そう言いながら、梓は自分のスマホに入っている森崎喫茶のクリームソーダを出す。
「あー…でも、なんかオリジナリティが欲しいよな〜」
「まあね…それはわかるんだけど…」
苦い顔をする梓。
「オリジナルのスイーツとか出すとなると、いろんな材料を使っていろんなメニュー試さないとだから…経費もねぇ…」
そういえば、少し前に梓に森崎喫茶の新メニューを考えてもらおうとしたときに同じことを言っていたな。
「じゃあ、今までにあるスイーツをデコってみたりするとか〜?」
すると、俺の後ろであくびを欠いていたアズリアが提案した。
「そうだね!!元々あるものを別の物にデコってみたりして、オリジナリティを出すとかね!!!」
意外とプロの奴らがいるせいか、俺らは結構クオリティの高い物ができそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます