第26話 退院祝いにはやっぱり森崎喫茶っしょ!!!

「「「退院〜〜おめでと〜!!!!」」」


森崎喫茶の中に少年少女の若々しい声が響く。

店の営業が終了し、退院祝いとして、森崎さんが、今日は晩御飯を振舞ってくれると言われ、俺達バイト組は夜七時、森崎喫茶の店の中でジュースをぶつけ合っていた。


「いや〜!!にしても、文化祭の準備前に退院できてよかったな!!文化祭は準備からが体育祭なんだからさ!」


「そうね〜まあ、私は別に準備終わっててもよかったけどね〜〜」


「まあ、アズりん何かとめんどくさがってあんまりやらなさそうだもんね…」


「そういやさ、俺あんま話聞いてなかったけど、うちらって何すんの?」

俺は、森崎さんが机に運んでくれた、カレーをスプーンで掬い、口の中に入れる。


カレーの味と、深い香りが口の中に広がった。


「えっとね…確かメイド喫茶と劇とかじゃなかったっけ?」


「げ、劇!?と…メイド喫茶…?ふ、2つもやるのかよ…」


「まあ…全クラスフィナーレのステージで出し物するらしいし…」


ジュースを飲み切った隆一が、

「まあ!楽しいから良いんじゃね?」と言った。


2つも出し物用意したせいで、あんな学級委員長洋大が仕事押し付けたかったのか…


「メイド喫茶…うちのクラスって意外と美女…多いのか?やっぱ」


「どうだろうね〜まあ、私は美女かもね〜」

アズリアがそう呑気に言うと、俺たちは苦笑いを浮かべる。


「まあ、うちのクラスが…と言うよりも、起眞高が美人多いんじゃないか?なんせ、成績優秀な学校だしな!!」


「ちなみに!!その中でも私はトップクラスに入るくらいの美人なんだよ!!!!」


奏音が胸を張って堂々と言った。


そういえば、最近気づいたことなのだが、奏音って…めちゃくちゃモテてるらしい…


俺は最近になって知ったことで、奏音のあの笑顔が〜とか、小林さんと喋れた〜とか廊下では聞くようになってきた。


と言うことは…奏音って彼氏とかいるのか?


まあ、そういうのを聞くのは野暮ってもんだよな。

別に興味もないし、(こいつ本当に主人公かよ)聞かなくても良いんだけどな。


「準備はもう入ってるの〜?」


「え?いや全然?」


「へ〜そうなんだね〜それじゃあ、話につけていけないってことはなさそうでよかったな〜」


「やっぱり、アズリアも楽しみなのか?」


「う〜ん…どうだろうね〜」

隆一の質問を笑いながらボカすアズリア。


「劇ってそういえば、何するんだ?」

俺が、適当に隆一に聞いてみると、隆一は、信じられないような顔を向ける。


「お、お前…カオス物語ストーリーにしようぜって言ったやん…」


「か、カオス物語ストーリー??」


な、なんでそんな名前の物を自分が忘れるのか、少しだけ気にもなったが、それよりもどう言うストーリーなのかが気になり始める俺…


「えっと…それってどういう物語…なんだ?」


「異能力×恋愛×異世界ファンタジーだ!!!!」


「ああ…なるほど?」

た、確かにカオス…だな?


「そういえば、ラストにキスシーンがあるんだけど…そこの配役どうするんだろう…」


「え?そ、そんなシーンあるのか?」

俺は、奏音の言葉に首を傾げる。


「ああ…あるんだけど…なかなかキスしてくれる女子と男子が見つからなくてな…」


まあ…でしょうね…

多分…カップルとかがやるんだろうけど…


「それなら、私と隆一くんがやれば良いんじゃない〜?」


「ゑ」


話を聞いていたアズリアが、カレーを食べながら提案した…


でもそれって要するに…


「りゅ、隆一…!?」


「え…?まあ、アズリアが良いって言うんだったら…」


俺は、隆一の肩をぽんぽんと2回叩くと、「ちょっとこっちこい」と小さな声で言う。


「え?まあ良いけど…」

隆一を誘導し、俺と隆一は外に出ると、俺は隆一に、「あのさーちょっといいか?」と前振りをしながら、暗い夜空を見る。


「なんだ?」


「オメェ…アズリアと付き合ってる?」


「うぇ…!?な、な、な、な、な、な、なんのことかな!?」


わかりやすい…

わかりやすすぎるぞ!!!!隆一よ!!!!!


「まあ…そうか…はいはい…了解で〜す」


「な、なんか酷くないか!?」


まあ、そんなことだろうとは思ったがな…

俺はそう思いながらも、店の中に戻った。


あいつらがねぇ…

まあ、なんかわかってはいたけど…

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