第17話 作者が流石にラブコメなのに恋愛しなすぎなので、心配になってきたので、無理矢理ラブコメっぽくする回

ガタン…ガタン…


電車に揺れる俺。


ギチギチに詰まってようやく座れた電車の席。

肩と肩が触れ合って、少しドキリとした。


隣には奏音。


もう少し近付けば頭と頭が触れ合える距離。


俺だって思春期の男子だ。


普通に喋る位なら、なんとも思わないが、今日は違った。


隣から香る、降水の匂い。

優しく強過ぎない香水。

それでもって、ちゃんと軸として良い匂いはある。


そして、奏音の普段見ることの無い私服。


白いワンピースの様な物の上に少しピンク色をした上着を来ている。

そして、更に香水の匂いをチラつかせてくるもんだから、本能的に可愛いと思わせられるのも仕方が無いと思っている。


「霧矢くん…ちょ、ちょっといい?」


そう言いながら、奏音は俺の方にもっと寄る。


どうやら奏音の隣に他の人が座り込んできたようだ。

「あ…いいけど…」


少し狭くなってしまったせいで、奏音の肩と俺の肩が強く触れ合う。


距離が近くなったせいで、奏音の香水の匂いが一層、強く感じてしまう。


何故こんな事になっているのか…

それは、昨日に遡る…









「お疲れ様でしたー」


「お疲れ様ー」


バイトが終わり、午後19時ほど。

辺りも暗くなり、最近は夏が去ったことこうやって改めて認識させられるな…


そして、俺と奏音の二人だけの帰り道。

特に何気ない会話が繰り返される。


「そういえば…もうちょっとで隆一の誕生日だったな…」


「隆一くんの誕生日?それっていつ?」


一定間隔で照らされる商店街の通り。

俺と奏音は、家の方向が同じなので途中までは、一緒に帰るのだ。


「たしか、9月27日だったはず。」


「そうなの?もう来週じゃん!?」


「え?ああ…もうそんなか…そういえば誕生日プレゼント…まだ、何も考えてなかったな…」


「え、そうなの?じゃあ今度誕生日プレゼント、一緒に買いに行かない?」


「え?まぁ別にいいけど…」


「じゃあ決まり!明日の8時起眞駅集合ね!」


「え?あ、了解…」


「それじゃあ!また明日ね!!」


「え?あ、おう…また明日…」


風のように過ぎ去っていた奏音。

少し理解が追いつかない俺を置いて。


そして今日に至る。


そんで思ってもいなかった。

こんなに奏音が女の子っぽい服を着てくるとは…


「それじゃあ、行こっか」

そう言いつつ電車に乗って、4つほど駅を移動した。


そして、電車から降りた俺は、奏音の笑顔と一緒になって向けられた「それじゃ!行こ!」と言う言葉にコクリとだけ頷いた。


大きなショッピングモールの連なる町。

新町に俺らは来た。


新町には、あらゆるお店があり何でもあるとされている。


「それで!霧矢くんは何買ってあげるの?」


「え?俺?うーん…」

あいつの好きなものといえば、銃とか…ヒーロー物とか…あと小説とか…


「あ、そういえば猫とか好きだし…なんか、猫関係の物とか買ってみようかな。」


「猫関係?いいねそれ!」


俺は思いながら、とりあえず、すぐ目に止まったイオンへと足を運ぶ。


あ…くそ…

何も準備しないで来てしまったせいで財布の中身は3000円。


昼飯代と帰りの電車代を含めて考えると、 多くは使えない。


「くぅ~…まぁ、気持ちだけ伝われば良いか。」


「とりあえず、どこ行く?」


俺はすぐ横にあった100均が目に入った。


そういえば、隆一が、前にコップとか欲しいなぁ〜って言ってたような…


「あぁ〜…そこの100均見ても良い?もしかしたら良いのがあるかもしれないし。」


「ここ?百均だけど良いの?」


俺は奏音から目を反らし、

「ま、まぁ…気持ちだけあれば良いだろ!」

と言う。

「世の中は金が全てじゃないからな!」


苦し紛れの言い訳。


それでも奏音は、「た、たしかに〜!」と言いつつニッコリと笑った。


着ている服と重なって、何故か俺は「うっ…」と声を漏らしてしまう。


たぶん…奏音を女として見ているクラスの男子なら今のはイチコロだろう…




100均の食器コーナーは案外色んな物が並んており、それはそれはもう、様々なバリエーションが存在していて、その多さに俺は頭を抱える。


「ああ〜…どれが良いかなぁ〜…」


猫とかがあいつは好きだから、猫のコップとかが良いだろうけど…


棚に並んだ猫のコップ。

そこには、6つのコップが並んでいた。


うーん…悩む…


「霧矢くんはこの中から選ぶの?」


「え?ああ。そうしようかなと思っているけど…どれにしようかなぁ…」


すると奏音がその6つの中にあるコップの一つを掴み取り、そして、そのコップを眺める。


「うーん…これとか良いんじゃない?」


奏音の持ったそのコップには、黒猫のデザインが施されており、とても愛嬌のあるデザインだった。


俺は奏音から、そのコップを受け取ると、そのコップをじっくりと見てみる。


「あ〜…これ良いな…よし!これに決めた!!!隆一にあげるプレゼントはこれだ!!!」


「お〜!!」


俺は、そのコップを手に持ち、奏音の方向を向く。

「ありがとう奏音。そういえば、奏音は何を買ってあげるんだ?」


「え?私?うーん…それじゃあ、このハンドクリームでも買ってあげようかな!」

そう言いながら手に取るハンドクリームには、黒猫の模様が刻まれており、こちらも愛嬌のある可愛らしいデザインとなっていた。


「とりあえず、これで隆一の誕生日プレゼントは全部買い終えたな。で、この後童する?もう少しで昼ごはんの時間だし、何か食べる?」


「うーん…そうだね!とりあえず、何か食べよっか!私、イタリアンな物が食べたいな〜」


イタリアンなものか…そんなのイオンにあるだろうk…

俺が後ろを振り向くと、そこにはサイゼリアの姿があった。


「あーね…」

要するにここでご飯を食べたいと言っているようだな…


「それじゃあ…お昼にするか…」





店の中に入ると、俺たちは4人用のカウンター席に案内される。

座り心地はまだ森崎喫茶には届かないかな…


俺たちは一通り、自分の食べたいものを注文すると、奏音が窓の外を見ながら、「そういえばさ!この後予定ってある?」と聞いてきた。


「え?俺は別に無いしな…ってか、あったら来てないし。」


「だよね〜。私ね!服とか買いたいと思ってるんだけど、ちょっと選ぶの、手伝ってくれるない?」


「服?俺的には、今の服でも十分可愛いと思うけどな…」


「いや〜…それがさぁ…今度学校の女子たちで出かけよう!って話になっちゃって…私この服、いつも来てるせいで、他の服も買ってみたらどう?って言われて…」


なるほど…遠回しにその服もう飽きたと言われているわけか…

女子って大変だな…


「だから、もう一着くらい可愛い服、選んでおきたいなーって思ってさ!手伝ってくれる?」


上目遣いでこちらを見る奏音。

俺は、それに、「ああ、いいよ。」と答えると、満面の笑みで、「ありがとう!」と答えた。


「そういえば、最近の女子とかは何を着てたりするんだ?」


「え?うーん…最近話題によくY2Kとか?」


「わいつーけー??」


聞いたことのない名前だ…

最近はそんな銃の名前みたいなファッションが流行ってるのか…?


「あ、えーっとね…こんな感じ!」


そう言いつつ奏音は、自身のスマホに何かしらの女子の写真を映し出す。

画面の中にいたのは、お腹あたりの肌を少し見せ、長いズボンを履き、胸元をインナーで隠している女子の姿。

そして、ルーズソックスを履いている所が一昔前の雰囲気を漂わせている。


「こんな感じ!!確か1990年から2000年くらいのいわゆる、ギャルファッションのことをYEAR2000の略らしいよ!!」


「へー…まあ、確かに可愛いけど…」


うーん…正直言って…奏音に似合う気がしない…

奏音は派手なのも良いかも知れないが…肌を隠してこそ魅力があるような…


って…人の意見を押し付けちゃダメだよな…

奏音だったら、まあ、いろんなファッションを使いこなせるだろうし…

別に大丈夫か…


「おまたせいたしましたー!」


そう言いながら、頼んだメニューを運んでくる定員さん。

俺たちは、店員さんに会釈をして、頼んだメニューを受け取ると、奏音が、「それじゃあ、この後もよろしくね!」とウインクをしながら俺に言った。


「はいよ。」

奏音にそう返して俺は頼んだメニューのドリアに食らいつく。

奏音が目を輝かせながらドリアを見たいたもんなので、俺は少し分けてあげた。









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