高1秋
第13話 起眞市立高等学校の体育祭!
「晴天の中、ピストルの音が大空の中に鳴り響き、起眞高の校舎に観客の声がどっと溢れる!!!!!!現在の気温は30度!!!!9月という灼熱地獄の中、開催されたのはーーーーーーーー!!!!!!!!!
太陽の陽が照らされ、白線の引かれたグラウンドに姉貴の声が響き渡った。
「マジであいつ何してんねん…」
独り言を呟いた俺は、秋なのに夏の暑さに照らされ、とてもじゃないが、早々にバテ始めている。
「どうしたの?霧矢くん?」
「ああ…奏音…いや…なんでもない…」
「あそう?めちゃくちゃ体調悪そうだけど…大丈夫?」
「無理は良くねぇぞ?」
「そうだよ〜バテちゃったら元も子もないんだから〜」
白い屋根だけついたテントの影の中、俺は一度、自分の水筒を掴み取り、それを喉の中に一気に注ぎ込む。
今日のためにお母さんに2Lの水筒を買ってきてもらって本当運が良かった。
これがなければ、競技が始まる前に、すでにバテていただろうな…
「ぷはぁ!!いや、大丈夫。それより、なんか、緊張してきたな…」
「まあ、そりゃあ、体育祭だもな。緊張するさ。」
そう。今日は起眞高の体育、青闘祭だ。
観客の中には時々顔馴染みの人が居たりする。
例えば…
「あ!ねえねえ!みんな見て!森崎さん来てるよ!!!おーい!!」
奏音が手を振った先、そこには、いつもの顔なじみの人物、森崎さんが腕を組んで立っている。
「お、ほんとだ!おーい!!!」
やっぱりこいつら楽しみにしてたんだな…
「さーて!!!!まず最初の競技はァー!!!!!!!玉入れえええええええ!!!!!!!」
妙に変なテンションになっている2つ年上の姉、最上沙由香の声と共に、告げられる全学年女子対象の競技、玉入れ。
「あ!私たちの番だ!!行こうアズりん!!!」
「おっけ〜〜」
そういうと奏音とアズリアは自分の席を立ち、炎天下のグラウンドへと足を踏み入れた。
「うわ〜…えぐぅ…良く行けるな…」
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ジャリジャリと砂を踏みしめる音。太陽が肌を焼く地面の上。
一つのボール入れの周りには自軍の色…白色のボールが転がっている。
「こんにちわ。」
私が、立ち位置に立つと、後ろにはV先輩の姿があった。
隣に居たのは、緑軍のV先輩だった。
「V先輩!!!」
「どうやら敵同士…見たいですね。負けませんよ…?」
そう言い残すと、V先輩は自分の立ち位置に戻り、緑軍のボールをしっかりと目で捉え始めた。
私だって絶対に負けないんだから!!!!!!
「それでは行きまーす!!!!!よーい…スタァァァァァァァァト!!!!!」
パァン!!!!!!!
ピストルの音と共に、一斉に全軍の女子たちが自軍のボールを次々にカゴへと向かって入れる。
「おら!!!おら!!!!!!」
私も次々にボールを拾っては投げて、拾っては投げてを繰り返し、ボールカゴの中に向かって投げ入れ用とするが、なかなか入らない…
「奏音ちゃん〜これ」
そう言うと、服をカゴがわりにしてそこら辺にあったボールを一気にまとめていたようだ。
「ありがとう!!!アズりん!」
私はそのボールを掴み取り、次々に投げていく。
それこそ、入ったボールは多くはなかったが、一個ずつ。
着実に入れていった。
「よし!!!行ける!!!!!!!」
これなら!!!!!!
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俺らが、なんとなく、雑談をしていると(応援しろ)アズリアと奏音が帰ってきた。
「お!おかえり!!!で?どうだった…?」
少しげんなりしている奏音とアズリアを見て、俺たちはもしかしたら…と心の中で思った。が、
次の瞬間、ニコッと笑顔に戻ると、「1位…取りました!!!!!!!!」と言った。
「おおおおおおお!!!!!!!!!!やったじゃん!!!!!!」
俺は両手を差し出し二人とハイタッチをした。
ついでになぜか隆一もついて来たことは、少し謎に思ったが、まあ良いとしよう。
「それじゃあ、今度は俺らの番か!!!!」
えっと…次の種目は…
「次の種目はァァァァァァァ!!!!!!!!!騎馬戦んんんんんんん!!!!!!」
「これって…」
「たしか、1年男子のクラス対抗戦じゃない?」
そう。この競技、俺と隆一の出番なのである。
何故か俺と隆一、そして早川という男子と、奥村という男子と唐沢という男子で挑む事になった。
「しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!いってやるぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
このテンションの可笑しい奴が唐沢。
「ぼ、僕に出来るかなぁ…」
この不安そうな声をしているのが、奥村。
「まぁ、俺なら行けるっしょ。」
この冷静な奴が早川。
そして。
「一匹残らず…駆逐してやる…!!!!!」
この頭が更に可笑しいのが隆一。
「なんで俺が一番、上なん?」
そして、何故か大将となっているのが俺。
正直、俺が騎馬戦で他の奴らの帽子を取るなんて夢のまた夢の話だと思っている。
「そりゃあ、お前が非力すぎて誰も持てなかっただからだろ。」
「そうだった…」
「そして」ぇぇぇぇぇぇ!!!!白軍代表!!!そして!!!!!私の実の弟!!!!!最上霧矢ァァァァァァァ!!!!!」
家帰ったら、ぜってえ文句言ってやる。
「それではァ______スタァァァァァァァァト!!!!!!!」
バアンとピストルの甲高い爆発音が鳴り響くと、一斉に7つの軍の騎馬が走り始める。
ルールは簡単、相手の騎馬の王将の帽子を取れば良いだけ。
「うらああああああああああああ!!!!!!!!!!」
唐沢がなんの躊躇いもなく、全力で前に一歩、足を踏み出すと、それに釣られて他の奴らも前へ前進。
俺らの騎馬が大きな足音を立てながら前へと進んでいく。
「まずはどうするの!?」
「とりま最初、黒いかね?」
「おっけ!!行こうぜ!!!!」
大将の俺が一言も口を出さないまま話が進む。
「らしいぜ。そんじゃ、いくとしようか!」
「勝手に決めるなよ…」
俺は大将席で揺られながら、グラウンドを駆け回る。
帽子が落ちないように、帽子を被り直しながら。
赤、青、黄、紫、緑、白、黒の7色の色。
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