第12話 番外編 1-Cのクラスメイト その1
夏休みが終わった。
ああ。夏休みが終わったよ…
ようやくだよ…
ああ!!!夏休みが終わったよ!!!!!!!
心の中で歓喜の声を挙げて、その場で舞い上がる。
俺の名前は
そこらへんにいる唯の高校生。
なぜ俺がこんなにも高校生の楽しみだった物の一つ、夏休みが終わったことに喜びを感じているかというと、それは…
「おはよ!」
「え?あ、おはよ…」
「もう、一人で登校するなんて…私…それなりに傷ついちゃうよ?」
「え…ああ…ごめん」
夏休みが終わって嬉しい理由その1。
この人の存在だ。
彼女の名前は
俺の幼馴染で、学校では上位の美人に入る部類だと思う。
「盾くんたら〜そんなにジロジロ見つめちゃって…私の顔が、そんなに可愛い?」
「え?あ、いや…そういうわけではなくて…」
「え〜違うのぉ〜?ちょっとショック〜」
と、まあ、こんな風にちょくちょく絡んでくるのが少し面倒だったりするのだ。
こんなに美人な彼女に話しかけられたりしたら、普通の男子高校生だったら、ナンパをするとか、ライン交換するとか、多分、そういうのがあるんだろうな。
でも、俺は所詮、幼馴染。
そこまで好意は無いし、ずっと一緒にいる所為でなぜか異性として見れないのが本音。
というか、異性として見ていなかったらこのラブコールに俺はとてつもない精神的ダメージ(良い方で)を負っていると思う。
ちなみに恵留に彼氏は居ない。
「ようやく夏休みが終わったね…」
「え!?よ、ようやくって言った?」
「え…?うん…言った。」
「私はまだ夏休みが続いて欲しかったな〜…だって、そうすればずっと同居できたでしょ?」
「そしたら、一生メンタルが保たないよ…」
なぜ夏休みが終わって嬉しかったのか…
それは、夏休みの間、恵留と同居していたからだ。
恵留は父親が居ない。
病気で死んだらしく、それから母親と二人暮らししているらしいのだが、夏休みに、恵留の母親がどうやら海外に旅行に行くらしく、俺の親と恵留の親が大変仲が良かったもので、俺の家で恵留を預かることとなったのだ。
ちなみに、恵留の母は旅行へ行く際に俺に言った言葉は、「家の娘をよろしくね!未来の旦那さん!」だった。
完全にやっている
何より恵留は自分の体そのものを俺に捧げるつもりなのか、夏休みの夜中、夜這いすることすらあった。
それもパジャマのポケットの中には大量の正方形の形をしたプラスチックの何かの入れ物を大量に備えて。
相手が俺じゃなかったら、恵留のダイナマイトボディに誑かされて、絶対その気になっている奴の一人くらいは居たと思う。
てか、俺の母は何故、恵留に許可を下したんだ!?
なんか、正方形の奴を渡したの、母って小耳に挟んだのだけど…
「ねぇ…盾くん!!!」
「え!?あ、何?」
「いやだから、いつになったら私たちは結婚するの!?」
「え!?いや、俺そんなつもりないんだけど!?」
「そんなことないよ!!!絶対にそうさせるからね!!!!!!」
「い、いや…そんなこと言われても…」
「うわ…あの子やば!!!胸デカすぎだろ!!!」
「うぉ…ほんとだ…隣にいる奴は彼氏か?似合ってねーなー」
まずい…人が多い…どこからか俺を貶す声がする…
何故か、俺が恵留の隣にいると、恵留の価値まで下がってしまいそうで怖かった。
だから、俺は恵留から逃れるように、急に学校へと走った。
「ごめん恵留!!!」
「あ!!!盾くん!!!!まってよ!!!!!」
恵留と並んでると、恵留の価値が下がってしまう…
いくらなんでも、恵留が貶されるのは嫌だ。
そう思い、俺は足を動かした。
学校に着くと、俺は安定の一人ぼっちに安心し、スマホを取り出す。
そして、最近俺がハマっているアプリ、「バーチャラー」を起動した。
最近話題のバーチャラーというこのアプリは、所謂、ユーチューブのように、バーチャル実況者を専門に扱う動画サイトだ。
ここには色んなバーチャル実況者が居て、俺も、そのバーチャル実況者の一人に夢中になっていた。
ええっと…昨日のアーカイブは…あ!これだ!!!
俺は動画の内の一つをタップする。
『宵の月に照らされる影一つ…皆の衆!!!良くぞ来た!!!!!我が名は
青い服を身に纏ったイラストのライバー。
この人こそが、俺の推し、鳥羽青竜だ。
もちろん、男だ。
だが、それでも良い。
何故ならこの人は…
『テメェ!!!!やめやがれええええええええ!!!"!!だアアアアアアアアアアア!!!!!!!』
絶叫系。
まあ、面白い。
それが人気の理由の一つ。
まあ、今この発狂だけで理解できる人は上級者だと思っている。
とまあ、俺は日々のストレス(90%恵留)をここで発散させている。
それにしても、おもしれー
「あれ?盾くん何見てんの〜?」
「あ…恵留…」
俺はサッとスマホを隠す。
「なんでもないよ…べ、別に…」
「そう?なら良いんだけど…」
「みなさん席に座ってください!ホームルームを始めますよ!」
家に帰ると、俺は早速スマホを開く。
「あ、青竜が配信してる。」
俺はその配信を開く。
『うわああああああああ!!!!!!』
いきなり響く大声。
絶叫系ライバーの名はやっぱり伊達じゃないな…
『まったく…チビっちまうかと思ったぜ…』
青竜が人気の理由は面白いに留まらない。
人気その1。
特上のイケボ。
青竜はどこかの声優かと思われるくらいにイケメンボイスを持っている。
このイケボで今は、バーチャラー1のイケメン選手権を決める時、このイケボだけで、名前が上がるほどだ。
『え?イケボ欲しい?しょうがないな〜。ゴホン!愛してるぜ…おめぇら…』
人気その2
そのイケボを使った特上のサービス精神。
このイケボを聞いたら男でも心を撃ち抜かれてしまうとか。
てな感じで人気を博しているのがこの青竜という男。
でも、俺が好きな理由はやはりこのトーク力と絶叫力(?)
それが、俺を虜にさせていると思う。
ほんと、青竜で笑えば現実のことを全て忘れられる気がした。
「『うわああああああああああああ!!!!!!!』」
ってうっさ!!!!
「てか今の声って…」
確かに窓の外で鳴り響いた声。
ど、どういうことだろうか…
心なしか青竜の声に似ていたような?
てか、青竜が配信で叫ぶタイミングと同じだったような…
「『あぶねー!!!!てかこの婆さん耳良すぎね!?』」
また外から聞こえてきた気がする…
「まさかここの近くに!?」
「やっば!!バレた逃げろ!!!!」
確かに青竜の声!!!!
もしかしたらこの周囲で実況してるのか!?
ならば一眼見るしか…
「だあああああああああ!!!!!!死んだああああああ!!!!!」
と、大きな声が外に響いた。
2階の自室にいた俺は、窓の外…ある部屋の一角に耳を澄ます。
「ったあぁ…せっかくあそこまで行ったのに…」
ま、まさか…そんなこと…
俺は外に出て、隣の家の玄関に向かった。
玄関のインターホンを鳴らすと、そこには恵留の母が立っていた。
「あら!盾くんじゃない!この前はありがとね〜」
「そのー恵留さんに今日は用事があって来たんですけど…」
「あら恵留に?そう!恵留なら多分、自分の部屋にいると思うわ!行ってみると良いわ!!さ!上がって上がって!!」
「お、お邪魔しまーす…」
俺は大島家の家の階段を登り、幼い頃に遊び場となっていた、恵留の部屋へと向かう。
「うあああああああ!!!!!また死んだあああああ!!!!!!!」
まさか…
いや…まさかな…
ガチャ…
「だああああああ!!!!!また死んだああああああ……………」
「……………」
俺が恵留の部屋に入り込むと、恵留はパソコンを3台並べ、一台目にはコメントのようなものが流れ、二台目にはゲーム画面。そして3台目に配信画面のようなものが映し出されていた。
そして、俺は恵留と目が合う。
数秒間、沈黙が続いた後、俺は恵留の部屋の扉を閉じた。
「み、見なかったことにしよう…」
配信画面を見てみる。
『や、やばい…友達に身バレしたかも…』
ほぼ確定だろう…
思っても見なかった…
まさか、幼馴染の女子がイケメン系配信者だったとは…
〜〜あとがき〜〜〜〜〜〜〜〜
番外編その1でした。
番外編その2を書くときが果たして来るのかはわかりませんが、この話が意外と好評だった暁には番外編その2を書きたいと思います。
若干適当に書いてしまったので、少し理解しにくい場所があるかと思いますが、頑張ってください!!!!(投げやり)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます