第11話 今日は夏休み最終日です。(マジ)

「だ、だり〜」


夏休み最終日。


俺たちは、俺の家で、残りの夏休みの宿題を全て片付けようと、血眼になって鉛筆を握っていた。


もちろん。バイト組で。


「にしてもねー…まさか、隆一くんとアズりんが昔ながらの幼馴染なんて…あ、アズりんそこの問3やってね。」


「俺もこの前、初めて知ったんだが…なんでそれを言わなかったんだ?」


少し前。

俺たちはみんなで海に行ったのだが、その海からの帰り道。隆一はあることを言った。


それは、隆一とアズリアが実は幼馴染だということ。


それも、9年物の。


「ん?9年?あれ?俺ってお前と出会ったのって…」


「ちょうど、9年前って俺らが出会ったのと大体同じ位?」


確か、一年の時に出会ったから…


「俺が塾に通い始めたのも、1年の時なんだ。まあ、その時にアズリアが居たってわけだ。あんま、深くは関わらなかったけどな。」


「そうなのか…」


「なんか意外ー!隆一くんならアズりんにもすぐに、話しかけそうだけどなー」


「まあ〜私たち、同じクラスじゃなかったしね〜」


「へ〜そうなのか…」


「話始めるようになったのは、大体、小3?とかのそん時だよ。」


「じゃあ逆に6年間はお互いのことを認識はしてたのか…」


「そうだな。そういうことになるか〜」


「私たち!9年物の友達だからね〜」


隆一は、アズリアのその姿を見ると、「ま、そうだな。」と言って、鉛筆を握った。




「そういえば、王様ゲームする?」

「やめておこうぜ?」


奏音がそのゲームの名前を口にすると、まるで、その言葉を言うのをわかっていたかのように、隆一がゲームを拒否する。


「え〜なんでよ〜」


「奏音は…お前はわかってないんだな…」


「私は良いんだけどな〜」


てかよくよく考えてみれば、そもそも奏音が王様ゲームをしたいと言わなければ、良いことではあったのだが…

まあ、奏音の事だ。多分、そういうの気にしてないんだろうな。


「俺はよくねぇんだっつうの!!!」


奏音は、少し肩を落とし、「じゃあ何するの〜?」と言ってきた。


「いや、俺は別にこのまま勉強続行しても良いんだけど…」


「「「それはダメ!!!!」」」


全員に停められた。


「それじゃあ何するん?」


「うーん…」


「それじゃあトランプとかしてみる〜?買った人の言うこと聞くとか〜」


「ん?」


「俺は別に良いけど…」


「私も賛成賛成!!!」


問題は隆一だよな…

でも、まあ、隆一は流石に…


「あ?いいぞ?」


「え!?良いのか!?」


俺はまさかの隆一の答えに少し驚いてしまう。


「まあ、要するに勝てば良いわけだろ?」


「え?ああ…まあ、そうだけど…お前ってさぁ…」


「ん?」





「フラグって知ってるか?」

「なんで最下位なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?!?!?!?」


アズリアの前に平伏す隆一。


アズリアは何故か俺の勉強椅子に座り、女王のように振る舞っている。


「そこ俺の…まあいいや…」


「それで?これから行うのは罰ゲームって事だよな?これって、隆一だけにやらせるの?俺らもやるの?」


「ん〜私は隆一くんだけで良いかな〜」


「お、俺だけ!?く、クソー!!!!やりやがったな!?」


隆一は、アズリアの顔を睨むと、アズリアは、ニヤリと不気味な笑みをして、隆一の事を見下すように、笑った。


「それじゃあ、どうしようかな〜何させても良いんでしょ?それじゃあ、足を舐めてもら…」


「はむ!!!!」


次の瞬間、アズリアが選択途中の最中、隆一は犬の様にアズリアの足へと噛みついた。


「ひゃ!?」


アズリアはそれに驚いたのか、甲高い声をあげて、とても顔を赤くした。


じゅぷ、じゅぷと音を立てる隆一は、なんか…うん…まあ、そう言うこともあるよな…


「なんだろ〜こんなの少し前にアニメで見た気がするな〜」


奏音、知ってんだ!?


「や、やめ…ああ…う、ああ//」


「おっと???ちょっと一旦やめようか…???」


「ちょっとしょっぱくて美味しかったぜ!!!」


バゴン!!!!!!

俺は一度、隆一を無理矢理足から引き剥がすと、一度隆一に殴りを入れる。


「この物語は純粋でやってるつもりだから良くないな???」


全く…作者が私情を挟んで来てるな…


「おい!!アズリア!!ん?アズリア??」


足を閉じて、天井を見上げ、今までに見たことないレベルの赤面と笑顔をしているアズリアはどう考えても、完全に逝っちゃている。


「おーいアズリア!!!戻ってこーい!!!!」


俺は、アズリアの肩を揺らすと、アズリアは「ふへへ〜何ぃ〜?」と酒で酔ったようにくらくらとしている。


「アズリア!!!しっかりしろ!!!いいな!!!!」


「わ、わかったよ〜」


「作戦成功だな。」


「何が!?てか、奏音!!!おい!!!奏音!!!!!」


奏音は俺の隣で、なぜか真っ白になっている。


まるで気絶しているかのような…


今になって、なんでもっと早くに止めておかなかったのだと後悔した。





「仕切り直して、第二回目〜」


奏音さん?


「しゃ!!!今度は勝ってやるぜ!!!!」


「私もう、何しなくても、良いかも〜」


ほぼ放心状態のアズリアとなぜか気を入れ替えている奏音。

そして、無駄に元気な隆一と、まだやるの?と心の中で思っている俺。


この4人でまたトランプをするらしい。


もう良いだろ!?と言うのが本音。

まあ、皆さんわかってると思いますけどね。


「それじゃあ、ゲームスタートぉ!!!」


さてと。ここからが本編なわけですけど…


誰が一体ババを持っているんだ…?


とりあえず、手元には、ババは無いな。

一体誰が持ってるんだろうか…


と、俺が考察を回らしていると、今度は俺が引く番となった。


「さてと…俺が引くのは隆一なわけだが…どうなんだ?お前…ババ持って…」

「いや全っ然!!!!バババババババババ、バ、ババなんて持ってねぇぜ!?」


わかりやすぅ…


わかりやすすぎる…

隆一が負けた理由がなんとなく合間見えた瞬間だった。


とりあえず、一枚…


「うぉ?それとって良いのか?いや!別に良いんだけどな!?俺はさ〜別に良いんだよ〜全然な!!はは〜!!!」


あ、これ絶対ババだ…


一枚横に手をずらす…


「ファ!?お、お前なんでこれを!?こ、ここ、これはババだぜ?引くのはおすすめしないな!!!」


「えい!」


「だアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」


見事!!スペードのA!!

俺は1組のトランプを捨てて、トランプの枚数を減らすことに成功した。


「隆一くんって意外と、ババとか弱かったりするんだね…あはは…」


これ…隆一から引けば勝てるじゃん。


その後、順調に試合は進み…


「あ、一位通過だ。」


見事に俺は一番乗りで、上がった。


そして最下位は…


「ま、まだダァ!!!!」


「いや〜まだって言っても、もう2枚しかないじゃん〜」


「いや!!!アズリア!!!お前はこの2枚の内、正解だけを、引かなければならない!!!!!お前にそれができるかな!?!?!?!?」


隆一はめちゃくちゃ右のカードをガン見しているが、俺はあえて伏せておく。


そして、アズリアは、その、例の右のカードに手を添えると…


「お?それがババかもしれないぞ?良いんだな?良いんだな?」

と超ニッコリ笑顔で言ってくる。


バレバレだぁ…


アズリアは、「じゃあ、これで私が勝ったら、隆一くんのこと好きなようにして良い?」と交渉を問いかける。


「ま、まあ良いだろう!!!!さあ!!引け!!!!!!このカードを!!!!!!」


すると、アズリアは、右側のカードを引く…と思いきや!!!左側のカードを引き、見事!!!ハートのクイーンを引きあて、3位で上がった。


「んなにぃィィィィィィィィィ!?!?!?!?!?」


ジョジョかって…


「なぜ…なぜ俺が…」


「そんじゃ、また今度の機会にしておくよ〜」


「今度の機会って…?」


「私の好きなタイミングで何かして欲しいことをやってもらうことにするよ〜」


「なんか、それこわいな…」


隆一の特性1

約束事は死んでも守る主義。


「それじゃあさ!!一位の人の要望はなんなの!!?」

奏音は目を輝かせる。


「そうだな…んまあ、お前らと、これからもずっと一緒にいてくれ…とか?」


「……」


しばらく沈黙が流れると、俺は耐えられず、「な、なんだよ…」と言ってしまう。

それに、少し隆一が笑みを溢した。


「いや、霧矢も言うな〜ってさ。思っただけ。」


「そうだね〜あんまり、霧矢くんからはそう言うこと、聞かないからね〜」


「これからもよろしくね!!霧矢くん!!」


俺は、こいつらの少し笑った顔を見て、俺も少しにやけて、「ああ。よろしく!」と返した。


まだまだ、この物語は始まったばかりだ。



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