第7話

「あぁ〜……、私の黒歴史がまた増えちゃったよ〜……。もう絶対に下着を忘れないようにしなくちゃ……」


「まあまあ、元気出してください茉莉亜さん。下着を両方忘れるなんて滅多にないことですから、ここはポジティブに捉えていきましょう」


「むぅ~……、な〜んか全然励ましているようには聞こえないんだけど……」


「あれ? バレちゃいましたか。実のところを言うと、ちょっと面白かったのでせっかくだから茉莉亜さんをからかってみました」


「なっ!? もう奏翔くん最低!! 信じらんない!」


「いや〜、ごめんごめん」


「それ絶対に心から込めて言ってないでしょ……。ハァ〜……、まあ別に良いけど……」


 私が下着を着け忘れたことに奏翔くんはあろうことかそれを面白がってからかいに来て、そのことに頭に来た私は激おこぷんぷん丸だったの。


 うぅ〜……、やっぱり私お嫁に行けないかも……。


「むぅ~!」


「……」


(しかしそれにしても、茉莉亜さんがノーブラノーパン……。ということは今の茉莉亜さんの服の中は何もガードされていない解放感に満ち溢れた純粋な身体が今そこに……。想像するだけでかなり刺激的ですね……)


「ん? どうしたの奏翔くん。私のことそんなにジロジロと見て」


「えっ!? いっ、いや、何でもないです……!」


 しばらく拗ねていると、奏翔くんがなぜか私のことをジロジロと見ていたので気になって聞いてみることにしたの。


「え〜、絶対嘘だ〜♪ すぐに目を逸らして誤魔化しちゃってる所が怪しい〜♪」


「ぐっ……! そっ……、そんなことは別に……」


「動揺して否定しちゃってる所がますます怪しいわね♪ あっ♪ もしかして、私が下着を着けていないと知ってヌードの姿を想像してドキドキしちゃったりして♪ もぅ〜、奏翔くんったらやらしい〜♪」


「ギクッ……! 全然違いますけど……」


「ふふっ♪ どうやら図星みたいだね♪」


「ハァ〜……、やっぱりバレちゃいますよね……」


 私が気になって聞いても奏翔くんはどこか惚けて誤魔化そうとしていたので、ここはカマをかけて私のヌード姿を想像していたと問いかけてみると、奏翔くんも流石にここは観念して素直に認めていたの♪


 さっきはマウントを取られちゃったから、ここはこっちもマウントを取って釣り合わせないとね♪


「それでどうだった? 私のヌード姿を想像して。やっぱりドキッとしちゃった?」


「えっ……!? そっ……、そりゃドキッとしますよ。僕も男ですし、異性の裸がどんなのかつい想像してしまいます……」


「へぇ〜、そうなんだ♪ やっぱりドキッとしちゃったんだね♪」


「まあそういうことになりますね……」


「ふ〜ん……、エッチ♡。ニヒッ♪」


「なっ!? かっ、からかわないで下さいよ!」


「ニヒヒッ♪ さっきの仕返しだよ♪」


「ぐぬぬ……、そう言われると何も言い返せない……」


 奏翔くんが私のヌード姿を想像していたことを分かると、私はここぞとばかりにとびっきり可愛い笑顔で奏翔くんにからかってみせたの♪


「でも、そっかそっか♪ 奏翔くんは私のヌード姿を想像してドキッとしちゃったんだね♪ ふふっ、何だかとっても幸せ♪」


「随分とやけに嬉しそうですね」


「え〜、べっつに〜♪ そんなことより早く仕事の続きを始めよう♪ ねっ♪」


「そうですね。僕も賛成です」


 そして私は奏翔くんが私のヌード姿を想像してくれたと知って顔を少し赤らめながらとても嬉しい気持ちになり、そのままの勢いで仕事を再開させたの♪


 今は不思議とやる気マンマンです☆!


 実のところを言うと、私は奏翔くんのことが気になって仕方なかったの♪ そしてそれは恋だということも知っている。キャッ、言っちゃった♡。


 奏翔くんのことを好きになった理由としては、そりゃもちろん同期や同僚っていうのもあるんだけど、一緒にいたりすると何だかとっても楽しいし、お互いの趣味も合うのもあって話が弾んで盛り上がったりして凄く親近感もあるんだよね♪ あと、他のみんなから見たらそうじゃないみたいだけど、私から見たら顔もタイプだったりしちゃうの♪ キャッ♪


 だから奏翔くんが私のヌード姿を想像してくれたことが私にとっては凄く嬉しかったの♪ 当然恥ずかしさもあるんだけど、それ以上に嬉しさの方が大きかったんだよね♪ そういう意味では下着を着け忘れて本当に良かったかも♪ テヘッ♪



「それじゃもうお昼ですし、この後一緒にご飯でも食べていきましょう」


「うん、いいね♪ 賛成♪」


 仕事をかなり進ませていると、いつの間にか時間はもうお昼になっており、私と奏翔くんは仕事を一旦止めて一緒にランチを取りに行くことにしたの♪


 これはもう食事デートってやつよね♪


「では早速行きましょう」


「うん♪ あっ……、あれ……? あれれ!?」


「ん? 茉莉亜さん、どうしたんですか?」


「うぅ〜……、どうやら財布も忘れちゃったみたい……」


「マジですか……」


 奏翔くんと一緒にランチをすることが決まり、私はカバンの中から財布を取り出そうとしたんだけど中々見つからず、どうやら財布まで忘れてしまっていたことが判明しちゃったの……。


 あぁ〜……、またやらかしちゃったよ〜……。しくしく……、ぴえん……。ちなみに財布なしでも電車に乗れたのは、定期券やスマホに入れているICチップ付きの乗車券とかがあったからなの♪


「ハァ〜……、まさかこんなすぐに私の黒歴史が増えるなんて思わなかったよ〜……。確かに朝は物凄く慌てていたから下着と同時にきっと財布も忘れちゃったんだよね……。うぅ〜……、やっぱりお嫁に行けないかも……」


「やっぱりシャイニーズに私生活を翻弄されていますね……」


「うぅ〜……、それは本当に言わないで〜……」


 下着だけじゃなく財布まで忘れてしまったことに、私はとても嘆き心の中は土砂降りの状態だったの……。


 それぐらいシャイニーズが負けたショックはとても大きいのです……。


「ハァ〜……、仕方ないですね……。今回は僕が奢ることにしますよ」


「本当!? 奏翔くん、ありがとう♪」


「いえいえ。その代わり必ず返して下さいね」


「うっ……! はっ……、は~い……」


 私が財布を忘れたことに終始呆れながらも奏翔くんが私の分も奢ってくれることになり、その後は一緒にランチをとても楽しんだの♪


 次からは下着だけじゃなく財布も忘れないように以後気を付けなくちゃね♪

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