第6話
「ハァ〜……、私もうお嫁に行けないよ〜……」
「見たところ相当ショックを受けていますね……。しかしまさか、茉莉亜さんがノーブ――」
「だからそれ以上はもう言わないで……!」
「すいません……、調子に乗りました……」
下着を上下共に着け忘れていたことが発覚し、私がそのことでしばらく嘆いていると、奏翔くんが調子に乗ってまたあの言葉を言おうとしてきたので、私はジト目で奏翔くんを見ながらドスの利いた声でもうこれ以上言わないようにと釘を刺しておいたの。
だってそんな恥ずかしいこともうこれ以上絶対に晒されたくないんだもん!
「大体、そもそもどうして下着を着け忘れてしまったのですか? しかも両方も」
「うっ……! やっ……、やっぱり気になっちゃうよね……」
「当然です」
「でっ……、ですよね〜……。あはは……」
そもそもどうして私が下着を両方着け忘れることになったのか、奏翔くんは気になって仕方がなかったみたいなの。
まあこんなの滅多に起こらないから気になってしまうのは当然のことだよね……。でもだからって、乙女のプライバシーを探ろうとするなんてデリカシーの欠片もないじゃない! 奏翔くんのバカ……。
「う~ん……。でもどうしてこうなったのか、実は私もよく分かってないんだよね……。あはは……」
「そうですか……。でしたら昨日からの行動を振り返ってみるのはどうでしょう?」
「なるほど☆! 奏翔くん、ナイスアイデアだね♪」
「いえ、それほどでも」
そして奏翔くんの提案により、私は昨日からの行動を振り返ってみることにしたの。
「えっと〜……、昨日はいつものように仕事を終えてからそのまま家に帰って、その後は部屋着に着替えてしばらくベッドの上でのんびりと過ごしていたんだよね」
「ふむふむ……」
「で、それからはシャイニーズの試合結果を見ていたんだけど、負けたことが分かってそのショックでとても落ち込んじゃって、それが影響して何も手に付かなくなってそのまま寝落ちしちゃったの……」
「そのまま寝落ちって……。どんだけシャイニーズで私生活に支障を来たすのですか……。茉莉亜さん、やっぱりとても重症ですね……」
「うっ……、五月蝿いわね〜……。自分でもどうにかしなくちゃって思ってるんだから……」
私が昨日からの行動の経緯を少し振り返っていると、奏翔くんからジト目を向けられて半ば呆れられていたの。
まあ、これに関しては私の落ち度なんで仕方ないんだけども、やっぱり何だかとても辛いかも……。ぴえん……。
「まあ何となく原因の察しは付きましたけど、一応続きを聞かせてもらいましょう」
「うぅ〜……。わっ……、分かったわよ……。で、起きたときには気付いたらもう朝になっちゃってて、更に時間を見てみるともうかなりヤバかったから慌てて急いで会社に行く準備を始めていたの」
「なるほど……。そういえば、目覚ましのアラームをセットしていたのですか?」
「ううん……。寝落ちしていたから目覚ましのこともすっぱり忘れちゃってて……。あはは……」
「本当何やってるんですか……」
「しっ、仕方ないでしょ!? それぐらいシャイニーズが負けてとても辛かったんだからぁ〜!! むぅ~!」
引き続き昨日からの行動を振り返っていると、奏翔くんから再度ジト目を向けられて呆れられてしまい、私はそのことに少し不満を持ちながら下手な言い訳をしてプク顔で怒ったの。
「それでそこからは、寝落ちしてた影響で当然お風呂にも入っていなかったわけだからすぐさま浴室に入ってシャワーを浴びたり身体を洗ったりして何とか事なきを得た後、着替えをすぐに済ませて朝食を大急ぎで食べて家を飛び出し今に至るってわけなの♪ それと朝食に関してだけど、時間が全然なかったから当然まともな物を食べられなかったわけで、ここは代わりに冷蔵庫にあったエネルギーゼリーを飲んで再び何とか事なきを得たというわけなの♪」
「はいはい。しかしなるほど……、そういうことでしたか……。まあ何となくというか、案の定予想通りですね……。恐らく原因はシャワーを浴び終わった後、時間がなくて慌てて着替えをした時にうっかり下着を着け忘れたということになりますね……。といってもこれはあくまで僕の推測ではありますが、可能性としてはそこしか考えられないでしょう……」
「うっ……! 正直奏翔くんの言う通りだと思う……。確かに下着を着けたの全く覚えがないし……」
「どうやら間違いなさそうですね」
「うぅ〜……、何だか情けない……」
私が昨日からの経緯を振り返終わると、奏翔くんは私が下着を着け忘れた原因を推察し、私は図星を突かれた感じがしてライフポイントが大幅に減ってしまったの……。
うぅ〜……、奏翔くんの推理によってメンタルがかなりのダメージを受けて今にも倒れそうな気持ちだよ〜……。
「ハッ……! そういえば……、電車に乗ってた時なぜか胸元がスースーとしていたんだよね……。あの時は何でか分からなかったけど、今やっと理由が分かったわ……。あはは……」
「いやその時点で気付くべきでしょ……。どうして気付かなかったのですか?」
「だってだって、まさか下着を着けてないなんて思わんじゃん!」
「まあ確かにそうですね」
「むぅ~!」
それから私は、電車に乗ってた時に胸元がスースーと感じていたのにその時はまだ下着を着けていないことに気付かなかったことを話したの。
すると奏翔くんからまた呆れられてしまい、私は恥ずかしさからついプク顔をしてしまったの。
何よ奏翔くんのバカ! ちょっとぐらいは私を慰めてやってもいいじゃない! 奏翔くんなんかもう知らない! ふ〜んだ!
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