第5話

「実のところを言うとね……、過去の私もちょっとヤバかったんだよね……」


「えっ……? 過去もヤバかったんですか……?」


「うん……。過去といっても大学時代の話になるんだけど、その時の私はベ○トナインやゴール○ングラブ賞、そしてM○Pや新○王の投票結果を見て楽しんでたりしたんだよね……。あはは……」


「うわぁ〜……」


「ちょっと!? マジでドン引きしないでよ!! むぅ~!」


 大学時代の私も野球に関してちょっとヤバかったことを奏翔くんに話すと、奏翔くんからドン引きされてしまい、私はショックの怒りでプク顔を作っていたの。


「大体、そんなの見て一体何が楽しいんですか?」


「うっ……! そっ、そんなこと言わないでよ! まあ確かに、大学時代の友人からも『あんたそれ、マジでヤバいよ……』とは言われていたんだけどね……。あはは……」


「やっぱり言われているじゃないですか……」


「うぅ〜……、ごもっともです……」


 大学時代の友人からも「ヤバい」と引き気味で言われたことを話すと、奏翔くんからジト目を向けられ半ば呆れられていたの。


 まあ……、やっぱりそうなっちゃいますよね……。ハァ〜……、しょんぼり……。


「だってだって、意外な選手に票が入っていたりして凄くびっくりしちゃうもん! だから……、投票の内訳がどうなっているのかとっても気になっちゃうのは自然の流れだと思うの……」


「まあ確かに、投票の内訳がどうなっているのかは気になっても仕方ないですね。だとしてもかなりの末期だとは思います」


「うっ……、ぐうの音も出ません……」


 私が大学時代に野球の特別賞の投票結果を楽しんだことについて少しだけ弁明すると、奏翔くんからそのことに納得はされつつも正式に論破されてしまい、私にはもはや為す術もなかったの……。


 結局の所、過去の私も今の私も黒歴史を作ってしまっているということなんだよね……。うぅ〜……、そう思うと何だか急に恥ずかしくなってきたかも……。ぴえん……。



「そういえばここの事務室、クーラーがあまり機能していなくて何だかちょっと暑いわね……」


「言われてみれば確かに少し暑いですね。そういえばここのクーラー故障していて、明日作業員の方が修理に来られるそうですよ」


「えぇ〜、マジ? てことは今日一日ずっとこの暑さを我慢しなくちゃいけないの? やだやだ、そんなの絶対に耐えられない!!」


「そんなこと僕に言われましても……。まあ気持ちは分かりますけど……」


 それからしばらくして、事務室が暑いことに気付いた私は奏翔くんから事情を聞かれ、そのまさかの事実に感情を爆発させていたの。


 暑い中パソコンを打ち続けないといけないなんて考えられないんだけど!?


「ハァ〜……、仕方ない……。ここは服をパタパタさせて涼むことにし〜ようっと♪」


「茉莉亜さん……、いくらなんでもはしたないと思いますよ……」


「えぇ〜、良いじゃん♪ クーラーが故障している以上、涼む方法がこれぐらいしかないんだからさぁ♪」


「まあ確かにそうですけど……」


「それとも何? もしかしてエッチなこと考えちゃった? 奏翔くんったらやらしい〜♪」


「なっ!? 別にそんなこと考えていませんよ!」


「ふふっ♪ ごめんごめん冗談だよ♪」


「冗談ですか……。ハァ〜……、僕をあんまりからかわないで下さいよ……。それと別に服で仰いで涼んでも大丈夫ですよ……。この状況ですから仕方ないと思いますし……」


「本当!? やった〜、奏翔くんありがとう♪」


 部屋の中が暑いということもあって、私は服をパタパタとさせて涼むことにしたんだけど、奏翔くんからはしたないと指摘されたので、私はせっかくだから奏翔くんをからかうことにして、何とか許しを貰ったの♪


 あと奏翔くんが慌てふためく姿、何だかとっても可愛いかも♪


「それじゃ、遠慮なく服をパタパタとさせて涼むことにするね♪」


「どうぞご勝手に……」


「ふふっ、ありがとう♪」


 パタパタ……。


「ハァ〜、とっても涼しい♪ 何だか生き返った気分かも♪」


「それは良かったですね」


「ふふっ♪」


 パタパタ……。


「ん……?」


 それからしばらく服をパタパタとさせて涼んでいた私は、そこでふとを抱いたの。


「まっ……、まさか……」


 チラッ……。


「ハッ……!」


 違和感を感じた私は恐る恐るその正体を探ってみると、まさかの事実に愕然としてしまったの……。


「もっ……、もしかして……」


 タン……、タン……。サラッ……。


「あっ……、あっ……、やってしまったああああぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!!」


「まっ、茉莉亜さん!?」


 そしてもしやと思い、今度は別の方を確認してみると、こちらも同じ結果だったことが判明してしまい、私はショックで大声を出して叫び、そのまま頭を抱えてしまったの……。


 まさか……、こんな恐ろしい事実が隠されていたなんて……。今の今まで全然気付かなかったんだけど……。あぁ〜……、恥ずかしすぎて死にたい……。


「どうしたんですか? そんなに大声出して」


「え〜っと〜……。そっ……、その……、非常に恥ずかしくて言いにくいことなんだけど……、実は私……、どうやら下着を着けるの忘れてたみたいなの……。それも上と下両方ね……」


「えっ……? ということはつまり、今の茉莉亜さんはもしかしてノーブ――」


「ダメ〜! それ以上はもう言わないで!」


 それから私はまさかの事実を奏翔くんに話すと、奏翔くんは再びドン引きして唖然とした表情となり、一方の私もあまりの恥ずかしさに頭の中がオーバーヒートしてしまったの……。


 そう……。私が抱いた違和感の正体……、それは下着を上下共に着け忘れていたことだったの……。


 うぅ〜……、まさかまた私の黒歴史に新たな1ページが刻まれることになるなんて……。もう色んな意味でとても辛すぎるよ〜……。しくしく……、ぴえん……。

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