第18話 PCX一人旅 秘湯・滑川温泉への道

※このエッセイは「バイク一人旅」のつづきです。実は、パソコンのトラブルで編集中に保存できなくなり、新しいページで再開した次第です。前段を読んでいない方は「カクヨム 飛鳥竜二」で検索していただき、読んでいただければと思います。 


 10月の3連休の最終日、1週間前のMotoGPでのオフィシャルの仕事の疲れがやっととれたので、久しぶりのソロツーリングに行くことにした。

 ところが、ガレージからPCXを出そうとしたところロックが外れない。どうやらマスターキーのバッテリーが弱っているようだ。これがスマートキーの弱点だ。スペアキーに換えてエンジン始動。

 気温12度、風は弱風。昨日は30度近い暑さで外に出るのもつらかった。少し涼しいが10月のツーリングはこんなものだ。夏用から春秋用のグローブに換えてスタート。

 まずはいつもの宮城蔵王高原ラインを走る。私が勝手に名前をつけている道路だが、連休でもクルマは少なく快適だ。七ケ宿に入ったところで大型バイクが猛スピードで抜いていった。そんなに飛ばすと危ないと思うのだが・・・。

 長老湖付近の連続S字カーブは神経を使うが気持ちいい。

 七ケ宿のコンビニでコーヒータイム。駐車場には数台のバイクが停まっていた。山は雲がかかっているので、峠越えはきつそうだ。

 そこから県境の二井宿峠をめざす。宮城側は気持ちのいいカーブが続く。先行車もいないのでマイペースで走れる。

 トンネルを越えると山形県に入る。途端に霧に覆われた。どうやら雲の中にはいったみたいだ。天気予報では晴れだったのだが、朝8時ではまだ水蒸気が上がり始めて雲になっているのだろう。

 高畠町にはいり、113号線から広域農道「ぶどう・松茸ライン」に入る。初めて走る道なので、慎重に走る。最初はブドウ畑が続き、後半は松茸林が続くようだ。もちろん無断で山に入ることはできない。おそらく入山料が必要だと思う。

 途中、峠道があり下りはまさに霧の中だった。視界30m。要注意だ。

 高畠から20kmほど走って国道13号線に出た。米沢スキー場や栗子国際スキー場の脇を通る。どちらも閉鎖されたスキー場で、かつて泊まったホテルは廃墟になっていた。ちょっと寂しい感じがした。

 そこから1kmほどで右折。JRの板谷駅や峠駅方面をめざす。13号線から分かれて10kmの道のりである。後半6kmの道がすごかった。クルマ1台がぎりぎりの幅しかない。ところどころに広いところがあるが、狭いところで対向車がきたら悲惨だ。その点PCXは楽々だ。細かいカーブもアクセルコントロールだけで曲がっていける。前に乗っていたG310だときついカーブだと思う。「路肩注意」や「落石注意」の看板がやたら多い。1台対向車が来たので、脇に寄って道を譲る。でも、対向車が来たということは道は通れるということだ。注意して樹木に囲まれた道を走る。豪雪地帯にありがちなでこぼこした舗装路なので、スピードはだせない。

 9時半、目的地の山形県米沢市滑川温泉に到着した。駐車場には他県ナンバーのクルマが並ぶ。バイクは1台もいない。以前から山形と福島の県境に秘湯の温泉があると聞いていたのだが、最近見たバイク雑誌でここが紹介されており、来る気になった次第である。走行距離93km。2時間半の行程である。

 さて、日帰り温泉に入湯である。600円なり。安い。フロントで「露天風呂・檜風呂・内風呂の3つに入れます」と言われ、いつものごとく露天風呂へ。ところが入口へ行ってびっくり。11時まで女性専用とのこと。そして11時からは混浴タイムだという。バイク雑誌には混浴のことは書いていなかった。来てみてびっくりである。仕方なく隣の檜風呂に入る。ここも混浴なのだが、男性しか入っていなかった。ぬるめの湯で、あがると湯冷めしそうだった。そこで、一度あがり内湯に入る。ここも混浴であるが、男性しかいない。露天風呂が女性専用だし、女性専用風呂もあるので、わざわざ混浴に入る女性はいない。2つの風呂で1時間ほどつかり、その後は宿のソファでひと眠り。11時の混浴タイムを待つ。

 5分前に目を覚まし、露天風呂へ。そこには2人の女性が入っていた。湯は硫黄分が多く、白濁している。お一人はタオルだけだが、もう一人は混浴用のバスタオルを巻いて入っている。私はなるべく女性を見ないようにして入湯。かつて、山形県北の混浴温泉で一人で入っていたら、後から妙齢のお姉さま方たちが入ってきて

「あら、男の人がいるわよ」

 と大きな声を出して湯舟に入ってきたことがあった。私は目のやり場に困り、早々に湯を出たことを思い出した。

 すると、後から後から男性がやってきて、露天風呂はほぼ満員になった。私は本日3つ目の風呂なので早々に上がる。先ほどから入っていた女性は上がるに上がれず、のぼせているようだった。その後、大丈夫だったのだろうか。

 この滑川温泉は水力発電で自家発電をしている。駐車場の近くにはその排水口から勢いよく水が流れていた。滝もすごいが人間の知恵もすごい。

 11時半、滑川温泉出発。日帰り温泉に2時間もいたというのは初めてである。帰り路はほとんど下り。ところどころに水がでているので、スリップしないように気をつけて走る。

 国道13号線を下り、福島県に入る。気温は20度に上がっている。ちょうどいい暖かさだ。飯坂温泉の看板のところで左折。ここからは何度も走った道だ。桑折町で国道4号線にでる。そこからは北上。昼食は白石の町中華屋さんで食べる。

 12時45分。お気に入りの町中華屋さん「金五郎」に到着。仙南地方ではおいしいと評判の店だ。ランチの「海鮮と野菜炒め」を食す。ここのエビはぷりぷりしていておいしい。

 13時15分「金五郎」発。バイク屋さんのサターンコスモスさんに向かう。

 13時40分村田町の「サターンコスモス」さん到着。朝、不調だったマスターキーのバッテリーを交換してもらう。やり方を教わったので、次回からは自分でできる。帰路、ガソリンを補給し、エンジンが冷えてから洗車してガレージへ。水場を結構走ったので汚れていた。これにて今日の一人旅終了。

 今回のツーリングデータ

  出発時刻  7時

  帰宅時刻 14時30分

  走行距離  175km

  消費燃料   3.5L(推定)

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