第16話 PCX一人旅 定義山へ
※このエッセイは「バイク一人旅」のつづきです。実は、パソコンのトラブルで編集中に保存できなくなり、新しいページで再開した次第です。前段を読んでいない方は「カクヨム 飛鳥竜二」で検索していただき、読んでいただければと思います。
9月のある土曜日、天気予報でくもり、最高気温30℃未満という絶好のツーリング日和なので、車庫からPCXを駆り出した。
朝7時半出発。気温23℃、走り出すと気持ちいい。蔵王町から川崎町へ抜けるすずらん峠を行く。いつもは帰路で使うルートだが、今回は往路で使用。蔵王町分は広くて走りやすいが、川崎町分はセンターラインのない下りの道になる。上りはおもしろいが、下りは神経を使う。ましてや対向車がどばしてくるのでラインを守らないと危ない。あまり使いたくないルートだ。
川崎町の中央部から国道457号線に入る。平坦のS字カーブが続く。先行車がいないのでマイペースで走れる。途中、SORAというカフェがある。こんな田舎にカフェがあるのかというところにポツンとある。営業時間内ならば寄るのだが、朝8時ではまだ営業前。また機会があったら来てみたいと思っている。コーヒーとカレーがおいしい店だ。
バイクツーリングとは関係ないが、退職前はこういうカフェをやってみたいと思っていた。子どもと遊べるカフェというやつで、プラレールやレゴブロックをおき、外ではパターゴルフができるというカフェである。都会ではなく広い敷地のある田舎で候補地も見つけていたが、妻の強硬な反対にあい計画は消滅した。まぁ、黒字になる見込みはないからしなくて正解だったかもしれない。
川崎町本砂金地区に入る。ここには廃校になった学校がヘルシーレストランになっている。一度入ってみたいと思っているが、これまた営業時間内に通ることがほとんどない。細い道が続くので要注意だ。
そこを抜けると、仙台市に入る。石神地区というところだ。ここには芸術家が集まっていて、おもしろい店が並んでいる。ただ、以前のような活気は感じられない。道はおもしろいカーブが続くので、走りは楽しい。
しばらく走ると仙山線の高架をくぐり、国道48号線にぶちあたる。そこを左折し、熊ケ根橋を越えると定義山への入り口だ。途中、大倉ダムの脇を通る。狭い道だが対向車は少ない。ダム湖を過ぎると大きな道に出る。ここまで来ると走りやすいが、定義山はすぐだ。
8時55分。定義とうふ店の駐車場にPCXを停める。ここまで60kmを走ってきた。開店5分前に到着。予定どおりだ。開店前だというのに行列ができている。さすがの人気店だ。漫才のサンドウィッチマンがいろいろなところで宣伝しているし、民謡歌手の庄司恵子さんの実家ということは多くの宮城県人が知っている。
三角あぶらあげを2枚(300円)を買って、イートインスペースで食す。箸でぶすぶすと穴をあけ、醤油と七味をかけて食す。できたての味で醤油との相性がいい。2枚をペロッと食べることができた。
ところで定義山(じょうぎさん)というのが正式名称なのだが、在の人たちに聞くと(じょうげさん)に聞こえる。なまっているんだと思うのだが、(ぎ)と(げ)の発音の区別が在の人には難しいみたいだ。一度、銘菓「萩の月」を(はげのつき)と言った人がいて、思わず笑ってしまったことがある。
定義山は平安時代の源平合戦の際に、平家の落人が隠れ棲んだところだ。その武将の名は平貞能(たいらのさだよし)という。定義という名は貞能の名からきているという。お寺の山門は歴史を感じる立派なものだ。
そこから私は十里平というところをめざした。クルマ1台が通れる道をゆっくり走る。実は学生時代に僻地教育に興味があって、ここの十里平分校を見たことがあった。定義山も雪深いところだが、ここはそれ以上に雪深い。1m以上の雪が積もるのである。定義山から3kmほど細い道を走ると、開けたところにでる。一直線の道がのびている。開拓地だが、今ではだれも住んでいないと思ったが、わかるだけでも5軒の家があった。それも新築の家もある。冬をここで越すのは並大抵ではないはずだ。以前は田畑があったが、道路の左右は荒れ地が続く。だが、よく見ると牧草地になっている。道路の左側にJRAの施設があった。どうやらJRAの厩舎用の牧草を育てているみたいだ。その隣に分校の建物があった。ずいぶん前に廃校になっているが、建物は活用されているようだ。どうやらJRA職員の寝泊まりの場所になっているらしい。
直線の道は2kmほど続く。そこで通行止め。Uターンして定義山にもどる。ダム湖の東側の道を走る。途中、閉校になった大倉小学校脇を通り、大倉ダムの上を走る。ある意味、今回のハイライトだ。この大倉ダムはダブルアーチ式という珍しい造りだ。ダムの途中で停まることができる。仙台市の大事な水源である。
48号線にもどり、今度は秋保ヴィレッジをめざす。秋保地区に新しくできた施設で、先日サンドウィッチマンがTVで紹介していた。そこに茶の湯を使った「茶っぽりん」という足湯がある。つかろうと思ったが、暑くなってきたのであきらめた。施設内には産直市場やフードコートがあって、奥さん連れだったら喜ぶと思う。
昼食の時間がせまってきたので、秋保から坪沼を抜け、菅生の手前から樽水ダム脇を通り、岩沼市に入り、なじみのラーメン屋さん「Coil」さんに行く。ここの「塩バジルラーメン」にはまっている。「スパイスラーメン」という変わったラーメンもいける。それに、ご亭主はバイク好きなので話があう。バイク好きが集まるラーメン屋でもある。
帰りは、岩沼・姥ケ懐線を通り、途中で右折しSUGOの脇を通り、自宅へもどる。
家へ着いて温度計を見たら31℃まであがっていた。天気予報ははずれた。
今回のツーリングデータ
出発時刻 7時30分
帰宅時刻 12時30分
走行距離 157km
消費燃料 3L(推定)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます