第15話 PCX一人旅 宮城県南シーサイド

※このエッセイは「バイク一人旅」のつづきです。実は、パソコンのトラブルで編集中に保存できなくなり、新しいページで再開した次第です。前段を読んでいない方は「カクヨム 飛鳥竜二」で検索していただき、読んでいただければと思います。 


 8月末、猛暑日が過ぎて最高気温が20度台になってきたある平日。久しぶりのPCXを車庫からだした。先月、腰を痛めて、バイクに乗れずにいたので、ほぼ1ケ月ぶりのツーリングである。バイクカバーをあけるとシートが真っ白になっていた。暑さと湿気で汗(?)をかいたようだ。即、水洗いだ。

 5時50分スタート。気温は24度。風を感じるにはちょうどいい。今回は福島県新地まで行って、そこから海沿いを北上する。

 シーサイドツーリングだが、津波被災地区なので、あれから13年どうなったかを見るツーリングだ。

 自宅からお気に入りのコスモスラインに入る。朝早いのでマイペースで走れる。でも、今回はしばらくぶりのツーリングなので攻めた走りはしない。蔵王のお山は雲がかかっている。今にも雨が降りそうだ。

 コスモスラインから白石市で国道113号線に入る。白石工業あたりから角田に入るまではいいカーブが続く。でも、途中から先行車につかまりペースダウン。抜く場所はなく、おとなしくついていくしかなかった。

 西根を過ぎて、丸森という案内板がでてきた。県道105号線に入る。曲がったとたん、道路沿いに赤い花が咲き誇っている。カンナロードという看板がでている。地元の人たちが大事に育てているのだろう。ここでもダンプの後ろについてしまい、制限速度以下のスピードを強いられる。欲求不満になる。

 途中でダンプは左折していった。直進すると阿武隈川に突き当たる。左折し、堤防沿いに丸森町内をめざし、舘矢間小のところで国道113号線にもどる。先ほどのダンプは後ろにいる。急がばまわれである。そのまま相馬方面にすすむ。

 6時50分。1回目の休憩をコンビニでする。モーニングコーヒータイムだ。このあたりは伊達政宗初陣の地として知られている。丸森は小さな町なのに戦国時代の城が3つある。伊達藩と相馬藩双方の最前線の地である。

 7時。県境を越えて福島県に入る。すぐに左折して新地にむかう道に入る。常磐道をくぐると新地駅だ。昔は小さな駅だったが、震災後、常磐線は内陸部に移り駅舎もモダンになった。そこからシーサイドロードを走る。未舗装路だが固い道なのでPCXでも走れる。復旧道路を走るのは簡単だが、退屈な直線路だ。旧道を走った方がおもしろい。埒浜(らちはま)というところで海にでた。高さ5mほどの堤防がずっと続いている。展望台にあがると、2mほどの波がおしよせている。震災の時には5m以上の波がきたのだ。ここから1車線ほどの舗装路があり、北へ向かう。すぐに宮城県に入る。福島県を走ったのは2kmほど。すぐに第1の目的地中浜小学校が見えてくる。

 7時30分。震災遺構中浜小学校に到着。ここは児童生徒や教職員他地域住民90名が助かったところである。4度の大波がきたという。最大12.2mの波である。校舎2階の天井まで水がきた跡が残っている。屋根の瓦が一部破損している。助かった人たちは屋上である3階の屋根裏部屋に隠れていた。当時の校長先生の話では

「もう1回大きな波がきたら危なかったかもしれない」

 と言っていた。長い一夜だったということだ。翌日、自衛隊のヘリに救出されたのである。学校の周辺は更地になっている。震災前は多くの住宅があったが、今は家を建てることができない。

 そこを後にして、復興道路の東側の旧道を走ると、建物が見えてきた。家を建てることができないはずなのに・・と思って近くに行くと神社と寺院であった。墓地もあった。神社の名前は八重垣神社。おそらく移築してきたのであろう。駐車場には「みんなの鎮守の森」という看板が立っている。地域の方たちの大事な場所なのだ。思わず手を合わせた。

 一度、復興道路にもどり橋を越えてからまたもや旧道をさがす。花釜避難丘公園を過ぎると未舗装路に入る。固くしまった砂利道なので、40kmほどのスピードで走れる。ただ、ところどころデコボコがあり、そこを見極めてブレーキをかける。デコボコを見逃すとバイクがはねる。潮風を感じるより、路面に集中するツーリングとなった。

 ところどころに車が停まっている。何をしているのかと思ったらサーファーだった。バイクを停めてサーファーを見ていると、結構上級者のように見えた。新潟ナンバーの車もあったので、ここはいい波なのかもしれない。

 8時30分。およそ10kmの砂利道を走り、亘理町鳥の海に着いた。「わたり温泉鳥の海」の反対側である。温泉の屋上露天風呂が見える。ここで双眼鏡をもっていたら確実に変質者だ。ここからは帰路につく。

 亘理からまず柴田町槻木をめざす。国道6号線から槻木に向かう道は適度なカーブがあっておもしろい。槻木大橋を越えて、今度は村田町小泉をめざす。やたらゆっくり走る車の後ろになってしまった。そこで、村田町に入ったところで右折し、旧道に入る。ここに面白い連続S字コーナーがある。東京ダイヤモンドの工場のところで右折。川沿いに走り、姥ケ懐に向かう。ここにもおもしろいコーナーが続く。姥ケ懐からは菅生PAをめざす。途中スポーツランドSUGOの脇を通る。ビッグレースの日は大渋滞の道だが、平日は気持ちよく走れる。

 菅生PAの外部駐車場にバイクを停め、ウォークインゲートから入場。トイレ休憩と軽食をとる。今回は下り路線だが上り路線の「牛タン丼」はコスパがいい。

 菅生PAからはいつも走り慣れた道。ただ先行車があり、ペースはあがらない。

自宅に着いたのは9時50分。バイクを軽く洗って、車庫にいれたらポツポツと雨が降ってきた。ぎりぎりセーフだった。

 今回の走行データ

 出発時刻  5時50分

 到着事項  9時50分

 走行距離  130km

 消費燃料  2.6L(推定)

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