第12話 PCX一人旅 福島・浪江を走る
※このエッセイは「バイク一人旅」のつづきです。実は、パソコンのトラブルで編集中に保存できなくなり、新しいページで再開した次第です。前段を読んでいない方は「カクヨム 飛鳥竜二」で検索していただき、読んでいただければと思います。
4時半自宅発
今日の目的地は福島県・浪江町にある「道の駅なみえ」と某所である。国道114号線を福島から浪江に向かって走る。実はこのルートはバイカーにとって、鬼門だった。2年前(2022年)に自動車で走った時には、「二輪車・歩行者通行禁止」の看板が立っていたからである。東日本大震災の際の原発事故で放射能がこの方面に流されてきて、長い間帰宅困難地域となっていたのだ。2年前は、(どうして自動車がよくて、二輪車がだめなのか? 窓を開けてはだめだということか?)という素朴な疑問をもったことがある。
まずはともあれ、夏用のライディングジャケットに袖を通し、走りだす。この夏用ジャケットを着るのは久しぶりだ。メッシュ素材で涼しいのだが、パットが入っており、転倒時に体をサポートしてくれる優れものだ。
朝早くにコスモスラインに入る。交通量は皆無だ。自分のペースで走ることができる。途中に下りの右90度カーブがあるのだが、今日はラインが決まった。まるでSUGOの馬の背コーナーみたいだ。
白石ICから高速道路に入る。前回は4号線を行き、大型トラックの後ろを走らされたので、今回は高速利用である。ETCをつけているので、スムーズだ。
国見SA前で、胸ポケットのスマホが鳴りだす。すぐに止まるかと思いきや、ずっと鳴っていて振動が激しくなってくる。そこで早めの休憩をとることにした。
5時 国見SA着。
胸ポケットのスマホを取り出すと目覚ましが鳴っていた。先週の土日にMOTEGIで仕事があり、その時の目覚ましをそのままにしておいたのを思い出した。うっかりミスである。
またもや高速で伊達桑折ICをめざす。下りの高速なので快適だ。制限速度は100kmだが、PCXの快適速度は90km。ペースをたもって走るが、途中3台追い抜いた。
伊達桑折ICからは国道4号線を走る。信号にやたらつかまる。もう少し流れがよくなる信号の間隔にならないものだろうか。
福島市役所のところで左折し、国道114号線に入る。やっと走りやすい道に入った。登りのカーブが気持ちいい。途中、有名な花見山が左に見える。春には渋滞するところだ。それとしばらく走るとUFOふれあい館の看板が見えてくる。開館時間内ならば寄ってもいいと思うが、通る時間帯はいつも閉館時間だ。
5時30分 道の駅かわまた着。
トイレ休憩。この先に「二輪車・歩行者通行禁止」の看板があった。用心して走り出す。
6時00分 浪江町入り。
通行禁止の看板はない。放射能測定装置も作動していない。もう放射能の心配はなくなったのだろうか、と思っていたら、「帰還困難地区通行止め」の看板がでてきて、脇道にバリケードが設置されている。2年前と同じ光景だ。国道から100m先に民家が見えるが、その前には頑丈なバリケードがある。国道はよくても、100m脇道に入ったらダメということか、原発事故から13年も経っているというのに、ここではまだ解決していないのだ。怒りさえ感じる。以前は道路脇に黒い袋に入った汚染処理土が積まれていた。今回、それは見当たらなかった。だが、請戸川沿いの河原に100以上の黒い袋が積まれてあった。自動車からは見にくいが、バイクからは見やすい。渓谷にあるので、大雨が降って川の水があふれたらどうなってしまうのだろうか。すごく心配になった。途中、ハーレーの一団とすれ違った。これから114号を走るのだろう。バイカーが増えるのはいいことだ。
6時30分 道の駅なみえ着
常磐道をくぐると、景色は一変する。山道から町に変化するのだ。それも新しい家が多い。帰還困難地域が解除されたところは新築ラッシュである。すぐに道の駅「なみえ」に着いた。以前来た時は、浪江焼きそばを食した。それなりにおいしかった。今年、「焼きそばラーメン」が話題だそうだ。太麺好きの人はいいかもしれない。(私は細麺好き)ここまでの距離120km。ここからは帰り路となる。
6時45分 給油
国道6号線を北上する。ガソリンの残量がぎりぎりなので、ここで給油をする。1L167円。宮城よりちょっと高い。しばらく津波浸水区域を走る。民家は少ないが、ゼロというわけではない。移転させられなかったのだろうか?
7時 朝食
南相馬の町は他の町と変わらない。震災のつめの跡はどこにあるかわからない。ロードサイドにある牛丼チェーン店に入る。ホタテ汁がおいしかった。
バイクも自分自身も栄養補給したので、高速に入る。南相馬ICの進入路は100RほどのほどよいカーブがS字になっている。バイクを倒しながらいけるのはおもしろい。常磐道は制限速度70kmでPCXでもついていける。でも、追い越し車線がでてくると、後ろのクルマに抜かれる。皆さん、制限速度は守りましょう。
8時30分 相馬玉野IC通過
国道115号線に降りる。今日の最終目的地はこの道路沿いにある。
8時45分 まきばのジャージー着
霊山(りょうぜん)の麓に、ポツンとソフトクリーム&アイスクリーム屋さんが現れる。以前走った時は営業時間外だった。今回は8時半の営業開始に合わせてやってきた。NHK番組の72時間でも紹介された店である。駐車場は広い。土曜日の朝だというのに、1台出ると1台入ってくるというペースでやってくる。店の中に入ると種類が多すぎて迷ってしまう。おすすめを聞くと
「アイスクリームの上にソフトをのせるのがおすすめです」
と言われ、ラムレーズンにミルクソフトをのっけた。ジャージー牛乳のなめらかさを感じるおいしいアイスとソフトだった。人気になるのは無理もない。すぐ近くを高速道路が通っているが、この店にくるために一般道を来て正解だと思った。
9時30分霊山IC通過
ICまでの115号線は楽しかった。くだりのカーブ道が続く。バイクで走るのは初めてなので、慎重に走ったが、走り慣れてカーブを知ればおもしろい道だと思う。また走ってみたい道のひとつとなった。
10時 国見IC通過
無料区間の東北中央道から東北縦貫道路に入り、国見ICで降りる。前回走った小坂峠をめざす。今回は前走車がいて、のんびりだった。下戸沢部落を過ぎてからのT字路では右に行く。前回と反対方向だ。
10時30分スパッシュランド休憩
小原温泉にある公園で休憩。ここは春にシバザクラが咲き誇る。今は花の季節ではないが、子どもたちがのんびり遊べる遊具もある。この後、鎌先温泉に抜ける道をとる。秋に来た時は、熊目撃情報が地元の方から教えられ、Uターンしたルートだ。中央線もない田舎道で対向車には要注意だが、交通量は少ない。今回は郵便車とすれ違っただけだ。
鎌先温泉への看板は1ケ所しかない。これを見逃すと、とんでもない道に行ってしまう。Uターンも厳しいところなので、看板に注意である。鎌先温泉への下りカーブもおもしろい。6月はアジサイが咲き誇り、気持ちのいい道だった。
11時 コスモスライン
白石市八宮からコスモスラインに入る。前走車がいたが、直線で道を譲ってくれた。感謝である。バイクとすれ違う時に左手を挙げると向こうも返してくれた。今日は気持ちのいいツーリングとなった。
11時30分 自宅着
今回のツーリングデータ
出発時間 4時30分
到着時間 11時30分
走行距離 270km
消費燃料 6L(推定)
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