バイク一人旅パート2
飛鳥竜二
第11話 PCX一人旅 小坂峠(こさかとうげ)
※このエッセイは「バイク一人旅」のつづきです。実は、パソコンのトラブルで編集中に保存できなくなり、新しいページで再開した次第です。前段を読んでいない方は「カクヨム 飛鳥竜二」で検索していただき、読んでいただければと思います。
6月初めの平日の午前、あまりにも天気がいいので車庫からPCXを引き出した。今日はお気に入りのコスモスラインを抜けて、福島県の小坂峠をめざす。
小坂峠(標高441m)は、福島県国見町と宮城県白石市小原を結ぶ旧羽州街道の一部である。室町時代に伊達郡を支配していた伊達家が山形県(羽前)長井荘に進出したので、本領と新領を行き来するために利用した街道である。その後、新しい街道ができて小坂峠の宿場町はすたれていくことになるが、現在は福島と宮城を結ぶ隠れたワインディングロードである。
9時半に自宅を出て、コスモスラインに入る。通勤時間は過ぎたので、マイペースで走れる。いつもながら快適なアップダウンとカーブが続く。白石市で国道4号に入り南進する。片側1車線のところで前に大型トラックがいて見晴らしが悪い上に、上り坂なのでスピードがあがらない。ストレスがたまる。2車線になったところで、追い抜きペースをとりもどす。
10時過ぎ、道の駅「国見あつかしの郷」で休憩。ここは人気の道の駅だ。ここからは4号線を右折して峠をめざす。国見ICを左に見て、高速の下をくぐると峠道の始まりである。峠の入り口に「熊出没注意」の看板。ここからは熊がでてもおかしくないところだ。
今まで何度かこの小坂峠を走ったことがあるのだが、今回の目的は「いくつのカーブがあるか」を数えるということである。結果、53のカーブがあった。わずか5kmの距離でこの数ということは100mでひとつのカーブがあるということ。いかに頻繁にカーブが出現するかわかっていただけると思う。ただ、細かいカーブが多いので、低速走行を強いられ、正直言ってあまり楽しい峠道ではない。
峠を登りきると宮城県に入る。そこに閉店したドライブインがあるので、そこの駐車場から見る福島盆地の見晴らしがいい。これを見るだけでも来る価値があると思う。
宮城県に入るとすぐに萬蔵稲荷神社がある。まるで京都の伏見稲荷神社みたいに赤い鳥居が並んでいる。100以上の鳥居が並んでいる。不思議なことに、行きと帰りで数が違う。今まで2度お参りしているのだが、いずれも違う数であった。壊れかけている鳥居があり、それを入れるかどうかで変わっているらしい。縁結びの神社なので興味のある方は足を運んでみてはいかが。
宮城側の道は比較的なだらかで気持ちのいいカーブが続く。下戸沢の部落を過ぎるとT字路につきあたる。右に行けば、白石の小原温泉。左に行くと七ケ宿に行ける。今回は左折。少し行くと飛不動の看板が出てくるので、そこで左折。ここからはすれ違いが困難な細い道になる。途中、飛不動尊が鎮座している。ここは伊達政宗が建立したところで、伝説として火災の際にご本尊が自らお堂から出て逃げたという話がある。もちろん誰かが動かしたのだろうが、そんな話もおもしろい。
そこを過ぎるとダム湖沿いの長いトンネルが待っている。対向車がきたらどうしようかと思うような狭さである。まるでRALLY JAPANの伊勢神トンネルの様相である。と言っても、この道で対向車にあったことは一度もない。ほとんどのクルマがダム湖の北側の国道113号線を走る。ダム湖の南側のこの道路はダム工事のための取り付け道路だから、いわばダム湖管理のための道である。でも、ところどころに山菜取りのクルマが停まっているので、全く通行がないわけではない。対向車と熊には要注意である。
11時。道の駅「七ケ宿」にて休憩。平日なのに10台ほどのバイクが停まっている。皆、高齢者みたいだ。バイカーお気に入りの道の駅である。
そこからは蔵王町に向かう県道51号線に入る。途中、横川地区の「やまびこ吊り橋」による。ここから見る不忘山が壮大だ。お気に入りの場所だが、熊には要注意。山景色を堪能してから、またもや県道51号にもどる。前にも書いたが、ここは「宮城蔵王高原ライン」と私が勝手に呼んでいるルートだ。カーブの大きさも知り尽くしている。前にクルマがいなければ気持ちのいいルートだが、今回は前に1台。なかなか譲ってくれない。でも無理はしない。前の車は途中で右折していき、後半はマイペースと思いきや、今度は大型ダンプにふさがれる。今日は厄日だ。
12時半、遠刈田温泉着。昼食はジビエカレーだ。キーマカレー風だが、結構おいしい。観光客めあての味と値段でないところが最近のお気に入りだ。この後、日帰り温泉で汗を流そうと思う。
今回のツーリングデータ
出発時間 9時30分
到着時間 12時30分
走行距離 84km
消費燃料 2L(推定)
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