第一章:第六話
――ヴァルア大窟四層。
そこにはこれまでの『自然な洞窟』ではなく、人工的な景色が続いていた。
幅4メートル、高さは15メートルほどもある通路には、一面に象形文字のようなものが彫られており、壁面は垂直。まるで長方形に切り取ったような道だった。
「これは……」
「
洞窟に突然現れた異様な光景に思わず呟いた清彦に、ライムが応える。
「刻印か、なるほど」
(……うん、聞いた事ないっす)
「はい。元々この道は四層のヌシが現れてから作られたモノでして、これらは通路の崩壊を防ぐため施されたのだと思います」
「なるほど、そうか。刻印は便利だからな。うん」
知ったかぶりすると決めた清彦は淀みなく返事をした。
職場でたまに同僚と話すときにはいつもそれでやり過ごしてきたため、慣れっこなのである。
(しかし、この世界には魔法が無い代わりに別の技術が存在しているのだろうか? 刻印……魔法でいうところの魔法陣みたいなものなのかな。どの程度の事が出来るのかわからないが、警戒はするべきだろう)
物思いにふけりながら、清彦はライムに続いて人工的な通路を進む。
三層と違ってモンスターの気配はないが、代わりに雨の匂いをずっと濃くしたような空気が、重たい湿気をともなって浮かんでいた。
「主よ、間もなく地底湖への分岐路が見えてくるかと。道中、主のお手を煩わせるような危険は無いかと思いますが、念のため私のそばから離れないようにお願いいたします。罠が無いとも限りませんし」
「……あぁ、わかった」
「ご安心ください! 主に救われたこの命、必ずや貴方様の安全を保障して見せますので!!」
「それは……頼もしいな。本当に……頼もしいよ」
(……お手を煩わせるも何もないんだけどなぁ。俺、モンスターと戦う事なんて出来ないんだからさぁ、ライムが苦戦するような相手が来たってやれる事は無いんだよぉ)
清彦は軽い頭痛を感じて額に手を添えるが、前を歩くライムはそれに気づかない。
(ちょっと眩暈がする……。そもそも、この世界に来て何時間くらい経つんだ? 体感的に、少なくとも三時間は経っていると思うが……くそー、眠たい。頭が働いてない。地底湖とやらに着いたら、やっぱりライムに頼んでベッドになってもらうか)
考え事をしながら進んでいくと、やがて人工的な直進路に脇道が現れた。
脇道はいわゆる普通の洞窟で、象形文字みたいなもの――いわゆる刻印も施されていない。
ぽつんと、見捨てられたような印象を受ける道だ。
「……よかった、そのままだ。――主よ、こちらです!」
「……そうか、わかった」
(はー眠てー。もし死んでなかったら現実世界では午前三時超えてるくらいだから、そりゃ眠いよ。明日は八時起きでも間に合う予定だったけど、それにしたって……って、起床時間なんてもう気にする必要ないのか。くそ、異世界転移しても仕事は頭から離れてくれないんだな。来世があるなら手取り20万でもいいから9時5時で残業月20時間以内の仕事に就くぞ、忘れるな俺)
「聖域についたら、
「……あぁ、いいよ」
物思いにふけっていた清彦は、ライムの言葉を上手く聞き取れないまま適当に返事をした。
(それにしても、そろそろライムに少しずつ真実を伝えるべきなのかなぁ? せめて俺は戦えないという事を伝えないと……万が一の場合に頼られても困るし。ところで、さっきライムが何か喋ってたような……まぁいいか)
「で、では……主よ。失礼いたします」
(ん? 失礼? 失礼しますって何だ? ――あれ、なんか足元が生暖かいような……って!?)
「な、何してんだ!? ライム」
清彦が足元を見ると、下半身を覆うようによじ登ってくるライムの姿が見えた。
「た、大変失礼ながら! 失礼ながら……お股へ失礼いたします!!」
「え!? な、なんで!? なんでそうなるんだ!?」
「水精霊の力は処女性を基に成り立ちます! ですから、姿が似ている種族の男性器はお隠ししなければならないのです!! 差し当たっては私の身体で!!」
「……は!? いや……は!? いやいや……は!?」
「ご安心ください! コアで包み込みますから! ウンディーネと居る間の辛抱ですから!」
「ご安心ってお前……」
(どっちかというとご乱心だろ、とか言ってる場合じゃない! だ、大丈夫なのか? 溶けたりしないよな!?)
清彦の頭の中では、『ほんまに何してんねん』という嘲笑とも呆れとも取れない魔力の声が響く。
お前魔法使う時しか喋らないんじゃないのかよ、と思う清彦をよそに、ライムはあっという間に下半身を包み込んだ。
――平均より小柄な成人男性が、高さ90cm、直径1m強の水まんじゅうに下半身を包まれたと想像すればよい。
清彦の足は少し浮いているので、移動はライム主導だ。
ガンタンクみたいなフォルムである。
(な、なまあったけぇ……進むたびに微振動してる……アリが下半身を隙間なく這いまわってるみたいな感覚だ……かなりきしょい……)
「申し訳ありません。主が性器をお出しになっていらっしゃったのも何か深い理由があっての事かと存じますが、なにとぞご無礼をお許しください」
「……うん」
もちろん深い理由なんて持ち合わせていない清彦は、落ち込みながら頷く事しか出来ない。
(……股間をコアが包み込んでる。これって、俺のケツから出た血で染まってるんだよな。大腸菌とかで感染症起こさないかな?)
すると、徐々に森の
さきほど倒したチョウチンアンコウもどきの光に似たそれは、生物発光特有の神秘性を以て半人半スライムを迎え入れる。
「うぉ……っ」
通路を抜けた先にある広場に着くと、清彦は思わず感嘆の声を漏らした。
――あまりに美しすぎる女性が居たからである。
広場は全長50メートル弱のドーム状になっており、清彦から見て手前側に、『Ω』を上下反転させたような形で幅1メートル程度の狭い陸地が広がっている。
中央には青白い光をぼんやりと放つ地底湖が広がり、水路は奥側の通路に続いていた。
地底湖の大部分は腰が
――そして、その湖の中に立ち、浮かび上がる光に照らされた、青い長髪で純白のワンピースを着た女性が一人。
(何だ、アレ……)
綺麗という言葉さえ浮かばない。
誰がどう見たって綺麗なんだから、そもそも思いつかないのである。
人間を見て、「あ、人間だ」と思う人が居ないのと同じ事だ。
青い髪はふわりと広がり、
しかしワンピースはなぜか
最初、清彦は湖水の比重がおかしいのかと思ったが、眺めているうちに、それは違うと感じる。なぜなら、服も、髪も、彼女自身も水に濡れていなかったからだ。
ただ、彼女は水と、異質なほど溶け込んでいるだけなのである。
――
「……あら、お客さん」
ウンディーネは湖面に視線を落とし、物憂げにも見える微笑を湛えていたが、やがて小さく呟くと、ゆっくりと視線を寄越して――。
「――良き友と、そして強き御方。あなたは…………は?」
固まった。
「あえ? ……は? えっと……あ……え? は?」
先ほどまでの神秘的な雰囲気はいずこへ、すっかり狼狽して清彦の股間を凝視している。
「え? は? 何? 何してんですかあなたは!?」
「……いや、何って」
(そうなりますよねー。俺だってそう思うもんねー)
清彦がげんなりしながら言葉に詰まっていると、ライムが少し不機嫌そうな声を上げた。
「ウンディーネ、こちらの御方は我が主です。古き友の間柄とは言え、主に対しての不敬な言葉遣いは無きようお願いします」
「……えぇ? いや……えと、ライムさん。ど、
「精霊である貴女に配慮し、恐縮ながら私が主のお身体を隠させていただいております」
「あー。……
「ウンディーネ、言葉を慎んでください。主には深きお考えがあっての事。詮索はなきようお願いします」
「……へー」
ウンディーネは敵意のあるジト目で清彦を見つめる。
(うわー、誤解されてるー。無垢なスライムに汚い欲望を押し付ける大人だって思われてるー。わかるー。すげぇわかるけど違うんだよなー。むしろ俺が押し付けられてると思うんだよなー)
「ごほん。あー、ライム。早速だが、用事を済まさないか? 急かすわけじゃないんだけど……そう! 君も力が抜けたままじゃ辛いんじゃないかと思ってな」
そもそもここへ来たのはライムのパワーアップの為なのだ。たぶん、スライムというのは聖水が十分に摂取できないと力を保てないのだろう。
清彦からの水魔法(聖水らしい)を求めない理由は――まだ不明だが、ウンディーネの棲む聖域には特有の力が有るのかもしれない。
「そうですね、かしこまりました。では、ウンディーネ。ここに来た理由はもちろん分かっていると思いますが……私はあの火竜に敗れ、ついに九層を追われてしまったのです」
真剣な面持ちのウンディーネが、重々しく相槌を打つ。
火竜という存在は共通認識であるようだった。
「例の大穴――
(飛翔の間? もしかして、三層と四層を繋いでいた大穴の事か? 確か、移動中にライムが「ここは竜の通り道だ」って話していたような気がする)
「――しかし!
(あ、ライムの中でまたキラキラしたラメみたいなのが出てきてる。こそばゆいな、これ)
「……いや、ライムさん。それって、そちらの男性っていうより……」
ウンディーネは再び清彦に怪訝な目を向ける。不思議に思った清彦だったが、疑問を口にするより早く、頭の中に
『黙っとけ、小娘』
魔力の声である。驚いた事にウンディーネは、その声に反応するかのように、恐縮した様子で視線を落として口をつぐんだのだ。
(えぇ? まさかこれって、俺以外にも聞こえていたのか? いや、しかしライムは反応をする素振りをみせないな)
『……あほ、基本的にはアンタにしか聞こえへんわ。さっきはアイツに
(は? て、テレパシー?)
『せや。まぁ、似たもん同士やからな、アレとは』
(似たもん同士って……ていうか、お前なんなんだよ! 魔法使う時しか喋らないんじゃないのか!?)
『あほか、なんやねんその不思議な存在は。我は……せやな、精霊や』
(えー、じゃあなんでずっと黙ってたんだよ、それ)
『いや、我だって最初は名乗ろうとしたんやで? でもなぁ……』
(なんだよ)
『我も混乱しとったんや。誰かに呼ばれた気がして
魔力の声色がふいに険悪な空気を孕む。
清彦は嫌な予感がして、頬を冷や汗が伝うのを感じた。
『アンタ、クソ漏らしたかと思えば、なんや我の力でケツ
(……いやぁ、うん……まぁそれは、ごめんな)
『ごめんもろくめんもあるかい、舐めよってホンマ。どういう神経してんねんな』
(お、怒らないでくれよ。水魔法だと思ってたのがおま、いや、君の力だったなんて、俺も知らなかったんだから)
『はぁ? アンタも知らんかったんかいな。なんやとぼけた事ばっか考えるヤツやとは思てたけど、いったいどうなっとるんや?』
(こっちが聞きたいよ)
『てっきり、アンタが刻印で我を使役したんかとも思たんやが……まぁそんなわけ……』
「――とにかく、私は聖水を受け、偉大なる祖霊ムドの力を取り戻したいのです」
内なる声との会話に集中しており清彦は気づかなかったが、いつのまにかライムとウンディーネの会話が進んでいるようだった。
「――【
そこまで言って、ウンディーネは複雑そうな表情を清彦に向ける。
『元々そのつもりや、我も力を貸すで』
今回はテレパシーだったらしく、魔力(精霊?)の声にウンディーネが恐縮そうに小さく頷く。
何か勘違いしているらしいライムも、恐る恐る声をあげた。
「……まさか、ウンディーネ。主のお力を借りると? お慈悲を賜るというならともかく、こちらから願い求めるなど……」
「しかしライムさん、あの力があればアナタは更に強くなれるでしょう。それに、アナタは一度 火竜に敗れた身。――
ライムは悩む様子でしばらく黙っていたが、やがて重々しく声を上げる。
「主よ。……よろしいでしょうか? 再び、そのお力を頂いても」
「……あ、あぁ。まぁ、うん。いいんじゃないか?」
「なんと……感激いたしました! 私、そのお慈悲に報いる働きを必ずやお見せすると誓います!」
「……そっか」
(俺の力じゃないんだけどなぁ。魔力(?)とまともに会話した事もあって、今そういう事を言われると嘘つきみたいで罪悪感がやばい……)
『落ち込むのは勝手やけど、今はもう少し演技しとったってな。出来ればこのスライムとは上手くやっていきたいんや』
(ライムと?)
『せや。まぁ、ちと役に立ってくれそうなんでな……たぶん』
(まぁ俺としてもライムとは上手くやっていきたいんだが……演技する必要はあるのか? 君としては、俺を
『それを言うなら
「――決まりですね。では、ライムさん。こちらへ」
ウンディーネの言葉に従い、半人半スライムが地底湖へ身体を
湖水に触れると少しずつライムの身体が膨張し、清彦が感じる肌触りも滑らかになっていった。
ウンディーネのすぐそばにたどり着くころには、ライムの中に居ても、水中に居るのと同じような感触になったと清彦は思う。
(……なんか、改めて精霊のそばに来ると、下半身の無防備さが気になって仕方ない。俺は今、色つきのスライムコア越しに露出しているようなものなんだよな……ひえぇ)
『気持ちの悪いことばっか考えなや。ええからさっさと始めんで』
(………………)
『………………』
(………………)
『………………なにしてんねん』
(え?)
『詠唱せんかい』
(え、やっぱ意味あるのか?)
『別に無くてもやれるけど、そのスライムの前ではアンタが出す感じにせなあかんのんとちゃうんか』
(そ、そうか。なら……)
「――我が眷属に応えよ!」
なるべくカッコつけた声色で清彦が詠唱すると、ライムのコアへ向けた指先から、ウォシュレット(強)程度の水流が迸る。
ちなみに下半身を覆うライムは聖水を含んで大きくなっており、すでにへその上辺りまで清彦を包んでいるので、恰好としてはコアを狙いやすいように
――かなり間抜けである。
(くそぅ、自分の力じゃないのに詠唱しなきゃいけないなんて、どんな羞恥プレイだよ……!)
『いや、他に気にするトコないんか』
(……わかってるよ、頼むから何も言わないでくれ)
「……す、凄い! なんて高純度の聖水! 先ほどは瀕死で十分に感じられませんでしたが、これが主のお力なのですね!」
「……本当、ですね。こんな神秘的な力、私などでは見た事もありません。口伝により耳にしておりましたが……やはり
(……アッチはすげぇ盛り上がってるし。それにしても、君の力って凄いんだな)
『せやなぁ。ま、
(遠出? そういえば君ってどこから――)
『さて、ほなちょっとええとこ見せたろか』
(――え?)
清彦の疑問に気づかなかったか、あるいはライム達の言葉に気をよくしてなのか。
清彦の頭の中で、会話を断ち切るように上機嫌な声が上がる。
そして、反応するまでもなく聖水の勢いが消防車の放水並みに強くなった。
「うごああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ゛ぁ゛…………ぁ゛ぁ゛ッッッ!!!!」
(玉がコア越しにブルブルするっ! 痛すぎてわけわからん!!)
「な、なんという……身体の構成物質が全て生まれ変わるかのようです! 主よ! 凄すぎます! 聖力に溺れそうです!!」
「これが……これが本物……!
『ふははははーー! どやっ!!』
「ア゛ァ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ゛ぁ゛――!! や、やめ……!!」
(――い、いかん! このままじゃ俺の玉がやられる!! ……しかし、ここで俺が自ら止めるのも変じゃないか!? くそ、いつまで続けなきゃいけないんだ!! 早く終われ!!)
清彦は耐えがたい痛みに雄叫びを上げながらも、指先は何とかコアに向け続けているが、限界を迎えつつある。
せめて現実から逃れるように目を逸らし、上半身をよじっていると、後方に見慣れない人影がある事に気づいた。
(ん?)
「も、もっと近くで見せて頂いてもよろしいですか? も、もちろん勉強の一環として!」
「ふふん、ウンディーネ。ようやくアナタも気づいたのですね、主の素晴らしさに! もしアナタが望むなら、私の中に入って、共に主を感じてもいいのですよ!?」
「くうぅ……しかし……っ!!」
ライムとウンディーネは初めて見る強大な力に見入ってしまい、広場の入口に居る人物に気づいていない。
(お、おい……君……何て呼べばいいのか……た、確かウンディーネがマーレと言っていたか?)
『あぁん? あー、マーレね……ええけど別に。ほんで?』
(じゃあ、マーレ……後ろに、すげぇ顔でこっち見てる金髪のヤツが居るんだが……?)
『おぉ、おるなぁ。なんや色ボケくさいやっちゃろ? アンタがでっかい雄叫びあげとる時からずっとやけどな』
(はぁ!? 早く教えてくれよ……くそっ! なんつう目で見てやがるんだあの金髪野郎は! 待ち望んだ人間との接触が、まさかこんな場面になるなんて!!)
――かちゃん、と金属音。入り口付近にいる者が剣を落としたのだ。
わなわなと身体を震わせている金髪戦士に、ウンディーネも目を向ける。
ライムも目の代わりにコアを向けた。
もちろん隠していた清彦の恥部は露出される形だが、マーレを除き誰もそれには気づかなかった。
「なに? まさか、ヴァルア大窟四層に
ライムがこれまで見せたことがない剣幕で声を上げる。
思わず清彦もびくりとするほどだったが、相手はまるで気づいた様子すらなく、放心した表情を浮かべて踏み出してきた。
(――よくわからないが、せっかく人間と会えたんだ。ダンジョンの外に連れ出してもらうためにも、なんとか友好的な関係を……くそっ! この状況からどうやって友好関係を築くんだ! まずは、たぶん確実にされているであろう誤解を解かなければ! 俺はスライムとウォシュレットでオ〇ニーしていたわけじゃないと!)
『ええやんけ別に。変態なんは間違ってへんやろ。人の聖水でケツ洗いよって』
(違う! 今後もケツは洗うけどそれとこれは違う!!)
『――なにがじゃぼけぇ! おんどれいてまうど!!』
(あぁおぅ……っ! 水圧あげんなバカ!! つーかさっきより痛ぇと思ったらコアからチ〇コ出てるし!! あー、くそ! 近づいてきてる! 不審者扱いで殴り掛かってこないよな!?)
『その前にタマぁ取ったらぁ!!』
「ぼ、ボクの……ボクの初めてをもらってくれませんか!?」
(……ん?)
時間が止まったように感じられた。戦士の唐突な発言によってフリーズしたのである。水魔法も少しづつ勢いを無くし、ちょろちょろとなりやがて止まった。
「ん?」
清彦が親指で背後――つまりウンディーネ――を指す。
戦士は否定するように首を左右に振った。
「ん?」
清彦が親指で自分を指す。
戦士は――その中性的な美形に全く似合わない――ニタリとした笑みを浮かべ、激しく頷いた。
「…………」
(――……しまった。こいつホモだ!!)
激しすぎるストレスと未だ股間に残る痛みで若干意識が遠のくのを感じながら、清彦は新しい出会いを呪うのであった。
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