第23話 篠津く雨の帰り道

「……」「……」

 暫し静寂が流れた。先に口を開いたのは凌空だった。

「これさ…」

「うん」

「思ったより犯行時間絞れるか」

「そうだな、だいたい19時過ぎだな」

 昨夜の夜はだいたい18時から22時を指すものとすると事前に話を話し合っていた。

「何時に集合する?」

「雨になる気がするし早めがいいんじゃない?」

「18時辺りとかは?」

「全然行ける。場所はどうする?」

「あーー、先に軽く食べたいから公園近くのファミレスかコンビニがいい」

「それならファミレスの方がいい。座りたい」

「おk桶」 

 俺らは手元のジュースを空にして会計に向かった。



「じゃあまた明日」

 ファミレスの駐車場でそれぞれの帰路に足を踏み入れ振り返った。

「ん、またな」

 お互い軽く手を振り向き直った。5分くらい歩いたところで雨が降り始めた。俺は鞄から折り畳み傘を取り出した。去年の誕生日に凌空から貰った落ち着いた藍色の傘。頑丈で日傘にもなっててけっこう気に入ってる。雨粒を跳ね返しパラパラと軽やかな音を奏でた。

「今日の収穫はでかいな、」

 パシャッと水溜まりに足を入れてしまった。昨日までの雨で溜まってたものだろう。ちょっとしみて気持ち悪い。雨も強くなってきて頭上ではバラバラと音が激しくなった。

「早く帰ろ」

 俺は少し早歩きで家に向かった。


 そろそろ準備もしていかなきゃ 

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