第22話 東の報告

「ふーっ、で、次はおまえの方だか」

 ガトーショコラとアップルパイ、かつとじ定食に単品の唐揚げを2個食べ終わり少し身を乗り出して話を切り出した。凌空はうどんを完食していたがいつの間にか頼んでいたチョコパフェを食べていた。

「ん、ああ、でもお前みたいな推理はできてない…」

「?今はそれぞれ調べて共有する場だぜ?推理は俺が勝手にやったこと本来は共有して考えていこうってものを我先にやったことだからそんなこと気にしなくていいんじゃね?」

 そう言うと凌空は「、そっか」と少し安心したような声で呟いた。

「じゃあ俺も話すか、五橋からでもいいか?」

「おけ」

 凌空が調べたのは事件前にあったことだった。事件当日と前日、サッカー部は朝から日が暮れる辺りまで練習があったそうだ。うちのサッカー部は合同演習や大会といったものがないにも関わらず長時間の1日練などはあまり予定しない。凌空はこれを疑問に思い1個上の仲いい先輩から話を聞いたところ当日は午前だけで前日の26は9時から15時の1日練だったと。26はOBが3人来てくれていたそうだ。

 なるほど、それなら1日となってもおかしくはないか……ん?待てよ

「15時終わりなら歩いて公園まで行っても30分かかるかかからないくらいじゃないか?」

 もし片付けがあったとしても17時よりも前になり家路に就く者が多く目撃者がいる確率がかなり高いはず、、、

「いや、なんか片付けの後、五橋含めた部員何人かでOBの先輩たちとファミレス寄って顧問の誕プレ買いに行ったから解散は18時30分辺りだったらしい」

「ほーぉう」

 高校生ともなれば授業、部活終わりの帰りに友達とゲーセンに行ったりファミレスとかでなんか食べたり俺には縁はないが恋人とデート行ったりとか、中学のときと比べたら金銭的にもしやすくはあるから別に不思議じゃないか……

「んで解散した場所から第一公園まで歩いてみたんだけど……だい、たい40くらいぃぃ~?」

「hour !?」

「minutes だわ阿保、んでぇ」

 んでぇ

「俺が歩いたときは雨降るちょっと前で30日の夕方辺りから雨やんで水溜まりとかちっちゃくなって普通に歩ける状態だったんよ。だから事件当日の土砂降りとは全然状況が違うから本当はもっと時間がかかってたんじゃないかなとは思ってる」

「もう10分15分遅くとかだと他の人の時間とだいたい一緒になる……」

 夏手前とはいえ雨の日の夕方はけっこう暗い、それに徒歩で帰路に就く者はそんなにいない…つまり、

「……今のとこ犯人からすれば好条件で動けている」

「そうだな。」

「しっかり調べれてんなら不安になんなよw」

「ッうるせぇ、あーー、俺もそっち調べればよかったぁ、そしたら山本の方に時間費やせたのに」

 凌空は腕を上に伸ばしながら悔しがってた。

「ああ、そっちはどうだったん?」

「んー?っとねー」

 そう言って鞄から1枚の紙を机に置いた。手にとってよく見たらとある店の大人のパジャマについての広告だった。

「なんか山本って人、これを作ったらしいよ」

 やっぱ企業秘密云々で詳しく調べるのは難しかったみたいでウワサからの情報が主みたいだ。

「俺の神社に毎年通ってくれる人が山本の後輩にあたる人で少し話を聞いたんだけど、家族や友人、仕事でのトラブルとかは全然ないみたいだって。悪いウワサとかも聞いたことないってさ。」

 藤岡に似た感じの人か、

「トラブル~はなかったんだけど」

「?何かあるのか?」

「何か春からダイエットを始めたらしいぞ」

 、確かにニュースで見た顔写真はけっこうふっくらしてたな、

「うーん、それに関しては特におかしくはないんじゃ、ヤバいサプリとかやってたのか?」

「んー、ダイエットは油ものを避ける、お酒は週一から月一にして通勤退勤は家から最寄駅は雨でも徒歩で行ってるらしい」

 お酒止めろよ!確実だろうがよ!

「それなら事件の日も歩いて帰ったのか」

「まぁそうだろ。俺もそう思って電車の時間を確認したら17時から運行見合わせで18時50分発19時14分着の便まで停まってたんだ。」

「向こうからこっち?」

「層層草僧。家はどこか知るわけないけど事件の起きた公園から一番近い駅を調べた。で、駅から公園まではだいたい15分いくかいかないかくらいだったから本来は15分ちょっとすぎるくらいに着くと思う」

「ん。理解」

 山本の方はこれくらいしかできんかったとため息混じりに申し訳なさそうにこぼした。俺は短い時間でこれだけ調べれたことに感謝した。そしたら凌空は少し照れ臭そうだった。なんだコイツ

 それぞれの観点からかき集めた情報――――

 こっから導けることがでかく確かなものとなってゆく――――


 

 

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