第21話 西の報告

「なるほどな」

 放課後、凌空の家の近くにあるファミレスで昨日までに調べたことを報告しあった。窓側の席だからか雨の音がちょっとうるさかった。

「思ったんだけど、生徒会って話長いイメージある」

 ド偏見だな。校長先生とかではないのか、

「まぁそのイメージはあながち間違いじゃないはずだぜ。」

「あ、そうなの?」

 昨日一昨日見たマガジンに「第16回 生徒会長と生徒会書記の弁論大会」というものを見つけた。なんでも、誰かが開催したわけでなく幼馴染みである2人が歴史や物語などいろんなジャンルで熱く語り合っている様子をたまたま新聞部が取り上げたことでイベントのようなものになったそうな。いつ開催されるか分からないのも人気の1つらしいが。

「2人について軽く調べたんだけど同じ生徒会、幼馴染み、学年も部活も違うくらいしかわからんかった。」

「そうなんか、ちなこれいつの?」

「5月22日だった」

「んー、」

「ちなこの2つ以外は特に何もなかった」

「じゃあ如月の方は?藤岡となんか関連することとかあったか?」

 凌空はいつの間にか頼んでいたパフェに手を伸ばしていた。いつ頼んだんだよ。まぁいいや、ガトーショコラ頼もアップルパイも

「んー、それなんだけどさぁ」

 昨日ふと思い付いた説を話してみた。

「ターゲットが違う説かぁ」

 時間があまりないのに推理の幅を広げすぎるのは得策ではないが如月樹の情報はマガジンには一切なく藤岡との関連は薄いと考えた。どちらかというと如月瑞樹の方が藤岡と似ている部分があったからもしかしたら本当は如月瑞樹が殺されるはずだったのかもしれん。

「男と女間違えることあるか?いくら一卵性の双子といえど如月樹は当日制服だったってならスカートだし如月瑞樹はズボンのはずだぜ」

「そーなんだよな」

 兄妹どころか双子だったのかよ

「まぁ、そう言われるとその説はぽく見える」

「でも考えてたらきりがないから頭の箪笥にある重箱の隅に置いといてくれん?」

「細けぇなw……」

 凌空は口元を手で覆いテーブルにあるボタンを押して店員さんを呼んだ。

「俺うどん頼むけどなんか頼む?休憩しようぜ!」

 さっきガトーショコラとアップルパイを食べたとは思えないくらい俺はお腹が減っていたことに気づいた。渡されたメニューをぐるりと見て、

「あー、、かつとじ定食食べたい」

「桶」

 俺たちは店員さんに食べたいものを頼んだ。

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