第15話 時は霧

「本題に入るか」

 ストローから手を離しグラスに手を添えて俺の目を見た。

 正直、この課題はこの事件の難題の1つと言っても過言ではないだろう。連続殺人はある程度の規則性がある想定で考えても事件時間をピンポイントで当てるなんてのはドラマやアニメとかの物語じゃない限り容易なもんじゃァない。まぁそんなバチ当てをするつもりはないけど……それに俺らが張り込む時間も考える必要もあった。偏見あるけどお巡りさんはもし通報されてもすぐ解放されるけど俺らの場合だと家出だとか不良少年だとか疑われるし親も呼ばれて後で怒られるのは全然ある。せいぜい1時間が上限だろう。

「……」

 1人で深く考えても意味がないな…

「一旦犯行時刻から考えてみるか」

 俺は何も言わずに頷いた。

「といっても夜ってことしか分からんな」

「今のとこ情報源がニュースと新聞だけだから、…あ、夕方の線はゼロか?」

「ゼロではないと思うけど、なんで?」

 山本は記憶に間違いがなければ昨夜、つまり夜の可能性が高い、藤岡と五橋と如月は下校中や部活帰りつまり夕方辺り考えていいだろう。

「なるほどな、全員夜で固定したら殺されて放置した線も考えれるのか」

「うーん、いや放置はない、のか?」

「なんでぇ?」

「え、いやコレどの公園も通学路とかじじばばの散歩コースだったりするとこじゃん」

「え、あ、そーなん!?」

「え前「1年前」地学で藤岡がやられた公園近くの地層見に行ったとき通学路にいるおじさんが持つ黄色い旗あったじゃん」

「知らんかったぁ」

「お前がその話してたぞ」

「ほー」

「まぁ夕方とは言っても下校時間より遅めなんじゃないか?部活帰りは帰宅部より帰りは遅くなるはず」

「そっちの方が考えやすいか」

 コースターに空になったグラスを置いた。氷は溶けていたけどまだグラスは冷たく大粒の水滴が重力にしたがっているのが目に映った。

「――――――.今日はこんな感じか?」

「そうだな、ふぅ」

 いろいろ話し合った…話し合ったけど細かなことははっきりしなかった。……何回か脱線しかけたのがいけなかったか…でも成果は無ではなかった。

「お互い、やることは分かったな?」

 俺は口角を上げて答えた。

「当たり前だよなぁ」

「とりあえず、3日はどうだ?」

「俺らなら余裕だな」


 ―霧を晴らそう―

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