第9話 広げた地図に

「俺がドラマでたまに観た方法なんだけどさ…」

 握っていた青ペンで計4つの星マークを書いた。その場所はどれも公園やその付近……

「事件現場、か?」

「層総草僧…んで…あ、コレコレ」

 青ペンを机に置いて次に手に取ったのはコンパス、ゑコンパス?ゑ、何?マーク繋いで五芒星作って「次の犯行現場はここだぁ!」なんて言う気がしたけど、違った……。

 不思議に思う俺をよそに凌空は星マークを中心に黒ペンで小さな円を赤ペンで黒い円よりふた回りくらい大きな円を描いた。

「でけた」

「ほう?」

 ペンのキャップを閉めながら凌空は口を開いた。

「さっきアキが言ったようにこの星マークは事件現場になった場所なんよ」

「うん」

「んでマークを中心にちっさい円と大きめの円を書く」

「これどんくらいの範囲?」

「ちっさい円は300メートルで大きめの円は1キロでとった」

それぞれの円はだいたい同じ大きさだろう。刑事ドラマじゃないけど似たものは観たことがあった。

「………しっかし、」

 この辺りは公園が多すぎる気がする…なんて言ったらいけんか。まぁ、公園といっても校庭くらい大きなものから遊具も砂場もなく自動車1台分程の狭い空き地のようなものまでいろいろある。公園っぽくはないのはわかるけど「第一公園」とか名称がついてるから公園になるんよ。

「この辺り公園多すぎる」

 言っちゃったよコイツ…めっちゃわかるんだけど…

「ここから高校まで15分くらいだけど最短距離でも2つは公園あるし、」

「、俺もそんな感じ」

 地図をぼんやり見つめながら呟くように返した。ひとつひとつ星を追っていく…ナル……いや詩的だけど意味を知ったら詩のように穏やかなものではない

 ………………

「ねぇ」

「ん?」

「コレって順番わかるか?事件が起きた」

「ああ、たしか…」

 凌空は星マークの近くに1~5の数字をふった。

「こーだった、はず」

「1」と書かれた場所は俺らが通っている高校と隣の高校のちょうど真ん中辺りにある高校、「2」に位置する公園は最初の事件現場と隣の高校の中間を北にずらした辺りの公園だった。「3」の場所はうちの高校との中間地点を南の方角に位置した公園だった。「4」の場所は「2」と隣の高校の中間地点を「3」の公園よりも南に位置する公園だった。

「……、あなるほど……」

 数字を順に目で追っていたらポソリと呟いた声が耳に届いた。こっから何かわかることなんてあるか……?…………ん?あ、コレ

 バッと顔を上げたら凌空と目が合った。その目もそれに写った俺の目も同じものだった。

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