第2話 まさかの少女漫画の世界??

「いったぁい‥」

目が覚めて寝返りを打とうとすると、頭に鋭い痛みが走った。

うわー頭ガンガンする、二日酔いだ‥。えっ、てか今何時?仕事!!

壁にかけてある時計を確認しようとして、異変に気がついた。

「私の部屋じゃない‥?」

ゆっくりと身体を起こし、部屋を見渡す。

ピンクのカーテンに、白い勉強机。枕元にくまのぬいぐるみ。

待って裕美。一旦落ち着くのよ。たしか、昨日2軒目で飲みすぎて、それから‥?

えっと‥。シルバースーツの男にタコ殴りに‥?

「思い出した!あの野郎〜!裕美様の美しい顔をあんなタコ殴りにするなんて!」

思い出したら死ぬほど腹立つ‥いや待って!私の顔、どうなってる!?

慌ててベッドから降りる。

「鏡は‥?」

部屋の隅に、全身鏡を見つけた。

「顔の形が変わってたらどうしよう‥」

鏡に近づき、恐る恐る覗き込む。

「え!?待って、なにこれ!」

古びた西洋風の全身鏡に映っているのは、白い髪のベリーショートの少女。

すっぴんで、少し傷んだ髪の毛。痣だらけの脚。

「どういうこと!?意味分かんない!!」

鏡の前で一周回る。

「何かの仕掛け‥?だって、あり得ないでしょ‥」

ピースをして、ジャンプをして、裕美様お得意のセクシーポーズを決める。

「いや、私だ‥。私じゃないけど、私だ‥」

鏡の中の少女の動きは、私の動作と一寸の狂いも無い。

中学生くらいかしら‥?

鏡にびったり張り付いて、少女をよく観察する。ぱっちりした二重に、透き通ったスカイブルーの瞳。白くて長いまつ毛。ぽってりして色の無い唇と、すっと通る鼻筋、高い鼻。

「瞳の色と髪色もそうだけど、アジア系の顔立ちじゃないわね‥」

鏡から一歩離れる。

「貧相な身体ねぇ‥」

まあ、お子様だから仕方がないんだけど。それにしても、肉が無さすぎじゃない?

全体的にペッタンコね、顔以外の凹凸がほぼないわ。まあ、裕美様のナイスバディを見慣れていたから仕方がないか。

「ちがう、ちがう!そうじゃない!」

そんなこと、どうだっていいの!問題なのは今の、この状況よ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る