7-4

「大変です、崖が崩れていました」

 サ・ソデ島では、大風が通りた後の確認に追われていた。そして村の周囲を探索していた者の一人が、崩落を発見していた。

 道がふさがれ、畑や隣村へ行くことができなくなっている。村人たちは皆で復旧作業に向かい、テレプとスタンティムも同行した。

「これは予言できなかったのか」

 スタンティムがレアカに尋ねた。

「防げないことを教えてもらっても、仕方ないのでしょうね」

「それはそうだ」

 崖崩れの場所まで皆がたどり着いた。一日でどうこうなる様子ではなかった。だが、人々は慌てていなかった。嵐が何かを起こすのは、よくあることなのだ。

「あそこで何か動いているぞ」

 人々が向かうと、岩の下敷きになった小さな竜がいた。首を小さく動かしているが、胴体が動かせずにぐったりとしていた。

「あまりよくない状態ですね。僕は傷を見ます。スタンティムは岩を動かす手伝いをしてください」

「お前、俺にそれができるとわかっているのか」

「なんというか、そういう系統の魔法が得意な流れがあります」

「……合っている。わかった、そうしよう」

 皆が協力して、竜を助け出すために働いた。竜は時折寂しげな声を上げた。

「親の竜が助けに来たりしないのか」

 スタンティムがテレプに尋ねた。

「そういうのは見たことがないですね。そもそも親子で一緒にいる生物ではないかもしれないです」

 テレプが答える。

「そうか……そういえば卵生だったな」

 日が暮れる頃、なんとか岩をどかすことができた。竜は足を怪我していて、自力で歩けないようだった。

「この島では、弱った竜の子は助けるという習わしがありますが、レ・クテ島ではどうですか?」

 村人の一人がテレプに尋ねた。

「どうなんだろう。すみません、聞いたことがありません。ないのかもしれませんね」

「聡明なる星への経緯があるせいかもしれません」

 人々は、竜を村へと運んで帰った。



「なんとかしないとね」

 様々な報告を聞いた後、四代クドルケッド王はつぶやいた。

 嵐は予想以上に大きく、レ・クテ島内でいくつもの被害を生み出した。報告が入れない状況だが、諸島全体で被害があったはずである。

 それがわからないのが歯がゆい。

 王としての役割を果たせていない。諸島が国として機能していない。

 このままではいけない、と思った。

 竜だからどうにもできないはず、との思いを改めなければならない。

「でもどうすればいいのかはわかんないなあ」

 王は大きな大きなため息をついた。

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