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四代クドルケッド王は、孤独に慣れていた。
生まれた時から父が王であり、次期王になるものとして育てられた。兄弟はいたが、普段は別のところで暮らしていた。同じところにいれば、病気や襲撃によって共倒れになってしまうというのが理由の一つ。母親の身分が違えば同じ家では暮らせないという理由がもう一つ。
父ともあまり会わなかった。公務が忙しいうえに、活発的な人だった。船をこぐことや、剣を振るうこと、歩くことに議論、様々なことが好きだった。四代クドルケッド王が闇のお方と呼ばれるようになり、「三代は光のお方であった」とも言われるようになった。
少しでも身分差をなくしたかったのは、人々の方から自分に近づいてほしかったのかもしれない。王は、そう考えて苦笑した。いやしかし、一人だけ助かったのは、じぶんが王だからだ。もっとも偉大な魔法使いを犠牲にしてまで。自分も死ねばよかったとは思わない。孤独であろうと、生きたかったのだ。
孤独でなくなればいいと願うのは、贅沢なのだろう。
皆、不安の中にいる。竜たちが、山から下りてきた。先日までとは違い、明らかに人々を見ている。浜に近づこうとする者がいると、近寄ってきて低くうなり声をあげる。
島に囚われてしまった。
諸島の民にとって、海に出れないこと、島を渡れないことは由々しき事態だった。海産物は大事な食糧であったし、普段から島同士で足りないものを補い合って生きていた。
竜は、人々を根絶やしにするつもりかもしれない。
本当は、ずっとあった懸念なのだ。竜はずっとそばにおり、人間よりも力があった。彼らが本気になれば、いつでも人間に勝利できたはずである。
竜の逆鱗に触れてしまったのだろうか。
王は、部下たちさえも失ってしまった孤独の中で、何をすべきなのだろうかと必死で思案した。孤独を抜けるためにも、皆で生き抜かねばならない。
四代クドルケッド王は、心地よい夜闇を過ごせることを夢見ていた。
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