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 他の島まで正確な報告が届いたということは、あの場で無事だった者がいるということである。

「え、王だけが無事だった?!」

 テレプは思わず大きな声を挙げた。王が助かったのは吉報だったが、それ以外の者の消息が不明というのはあまりにも被害が大きい。

「では、私たちの方も……」

 スタンティムの肩が落ちる。来訪神は全員が宴に参加していたわけではなかったらしいが、それでも多くの者が行方不明になったということである。

「残りの人たちは?」

「スド・ルイテルドで出航の準備をしていたはずだ」

「そうですか……」

「気になるのはやはり女か」

「はい。そちらにいればいいんですが」

「お前には目的があるんだな」

「スタンティムにはないんですか?」

 スタンティムはまじまじとテレプを見ながら頭をかいた。

「正直、もうない。俺は奴らと契約しただけだ。もう契約料も払ってもらえないだろう」

「では、あなたには今後諸島で生きる運命が振りかかったということですね」

「……そう考えるものか。不思議な奴だ」

「仕方ないときは仕方ないですからね。どんでん返しでとても良くなる時があるかもしれません」

 スタンティムは口をへの字に曲げた。そしてテレプを、あきれるように、うらやむように見つめた。



「お前がこの地の長か」

 海竜が口を開いた。驚くべきことだったが、族長はなぜかすんなりと受け入れられた。海竜は、圧倒的な「理不尽」に見えていた。どんな理不尽にも驚かないようにしようと、族長は覚悟していた。

「そうですな。私がこの港の族長です」

「ここに、異邦の船がある」

「異邦……来訪神のことですかな?」

「神でもないし、神の使いでもない。彼らはわれわれを傷つけた。その彼らをお前たちは受け入れた」

「粗相があったのならば申し訳ありません。私たちはどうすれば……」

「それは今から考える。ただ、約束は破られた。今まで通りというわけにはいかない」

 それだけ言うと、竜は波の中に姿を消していった。死をも覚悟していた人々は一様にほっとした表情になったが、それもほんの少しの間だった。

「これまたなんということだ……」

 族長は頭を抱えた。何体もの竜が、港を取り囲んでいたのである。

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