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 続々と船がレ・クテ島に到着した。多くの物が運ばれてきたのである。

 その大部分は、島民による貢ぎ物だった。はるか彼方から訪れた神の使い、もしくは神そのものに敬意を示し、気に入ってもらおうとしているのだ。

 伝承を知る者は、ナトゥラ諸島が神によって与えられたものだと思っている。かつて東の地から来た人々は、すぐに全ての島々に住めたわけではない。先に竜がいたからである。神は人間の知恵を借りるよう竜たちに命じて、最初ルイテルド島だけに人間の居住が許された。神の言葉がなければ、人間の住む場所はなかったのである、と伝わっている。

 神の姿はよくわからない。「神」以外の呼び名もない。漠然とした神聖に対して、人々はずっと崇拝し続けてきた。

 そこに、はっきりとした姿の「まったく新しい何か」がやってきたのである。いつか訪れると言われていた神の使い。ナトゥラ諸島の人々は、「来訪神が来訪神であること」を、どんどんと広めていった。

 美しい貝殻、できの良い芋や、新鮮な果実。美しく編まれた籠。珍しい渡り鳥の羽。クジラの骨を削った装飾品。火山から飛んできた珍しい石。様々なものが献上品となった。

「私よりも敬われちゃってるよね」

 王は嘆息した。

「それは仕方のないことですぞ」

 そう言ったのは、魔法使いの師匠である。今、部屋には二人きり。もちろん外には従者たちがいるが、時折王はこうして師匠に助言を頼むのである。

「まあ、返礼もある。うまく付き合わないとね」

「そう。それこそが大事です」

 来訪神たちは、自らも様々なものを差し出した。きれいな宝石。見たことのない形の芋。生きたままの、小さく肉付きのいい鳥。サメの歯で作った武器。そして何より、鉄。島民は鉄の加工技術を持っていなかったので、鉄製品は全て驚きの対象だった。

「彼らと約束すれば、あれらがもっと手に入るということだ。さて、どうしたことか」

 島々の外との交易というのは、これまで例がなかった。あったかもしれないが、伝承には残っていない。どのようにするのが正解か、誰もよくわからないのである。

「欲しいのですか?」

「人々が幸せになるならば。父ならどうしただろう」

「すでに皆殺しでしょう」

「確かに」

 四代クドルケッドは薄く笑った。彼の父に限らず、クドルケットの一族は皆勇敢で屈強だったと伝わる。欲しいものは、力で奪ったことだろう。

 幼い頃に見た祖父の背中。病に倒れた父や兄。王は、様々なことを思い出した。

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