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 浜に降り立った人々を見て、目を丸くしたり、声を挙げたり、とにかく人々は驚いた。先に訪れていた通訳と名乗るスタンティムとは、全く違っていたのである。スタンティムには確かに、同じ祖先を持つかもしれぬという、島民との類似点が見られた。肌や髪の色、筋肉の張りなどが似ていたのである。しかし、彼以外の人々は根本的に異なっていた。肌や目の色は薄く、体は細い。筋肉質な者もいたが、それでも骨格から細いように見えた。鼻筋が通っており、髪の毛も細く、緩やかに波打っている。

「ナクィド、と呼ばれる西から訪れた者たちの子孫が島々にはいる。しかし彼らとは似ても似つかない。あなたとも、だ。いったい彼らはどこから訪れたのだ」

 族長はスタンティムに尋ねた。

「東の、太陽の方から。大きな島です」

「お前はそこのものではないのか」

「はい。私は何度か訪れる彼らから言葉を学びました。三つの言葉がわかるのです」

「彼らはこの島々のことを知っていたのか」

「知りませんでした。私たちの伝承を聞いて興味を持ったのです」

 族長は神妙な表情を崩さなかったが、客人たちに寝床と食事を用意させた。

「明日、お前と一人、代表が王と会うことができる。武器を捨て、決して冠をかぶるな。あと、決められた場所を出てはいけない。破れば死が訪れるだろう」

「承知しました」

 族長は客人たちが命令に従うのを見ると、王のいる館へと向かった。王のいる、と言ってもそこは族長の家である。王が訪れれば、偉い者は居場所を譲らねばならぬ。そして王と同じ屋根の下にいるわけにはいかないので、譲った者はまた別の者の家に行き泊めてもらう。

 「闇のお方」と呼ばれる現王が、この村を訪れるのは初めてである。 よって、族長が家を貸すのも初めてだった。

「お前、ついてこい」

 族長は、テレプに命令した。彼のことを知っているわけではなかったが、最も美しい光を灯していると思ったのである。

 すでに日は落ち、あたりは闇に覆われている。庶民は松明などを使うが、上流階級は魔法使いに光を灯させる。

「はい」

 テレプは、淡くて黄色い光を族長の頭上に生み出した。

「お前、どう思う?」

「え、僕ですか?」

「そうだ」

「彼らを、でしょうか」

「そうだ」

「人間離れしているように見えます」

「そうだな。神か、悪魔か。もし何か悪いものだとしたら、他の島に行かすわけにはいかない。お前たちで浄化してもらわねば困る」

「はい」

 テレプには浄化とはどうすればいいのかわからなかったが、族長に口答えすることなどできなかった。

 大きな家の前に来ると、族長はテレプの手の中にセカの種をねじ込んだ。セカは成長の早い重宝される木だったが、その種は通貨として使われている。もちろん植えることもできるが、他の多くの必需品と交換することができるのだ。

「これは……」

「何かあったときは役立てろ。何もなかったらお前のものだ」

 族長は言い残し、家の中に消えていった。

「何か……」

 テレプは、星を見ながら思索した。客人たちは見張りの下に置かれていて、人数も少ない。特別屈強な連中にも見えない。しかし、完全に信頼できる人たちでもない。「何か」は確かに起こるかもしれない。

 淡い光の下、テレプは一人で家路に就いた。

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