1.耳鳴りの漣
人類の二足歩行を、進化と呼ぶのか、退化と呼ぶのか。そんなことをただ、
そんな風に思って見上げた天井に、規則正しく蛍光灯が並んでいる。
四角四面というのは、息が詰まる。ましかくの教室、ましかくの机、ましかくの椅子。角が落とされて丸くなっていようが何だろうが、やはりましかくはましかくだった。教室を出たって、どこにいたって、あちらこちらがましかくで、壁と壁と壁から逃げられもしない。
こんなことを
じっとりと、今日も空気はなまぬるい。含みきれないほどの水を含んだ空気の湿度は、今何パーセントなのだろう。じとりと
みんながみんな、同じ服を着た。きっちりと
四方に、壁が
別にここに、何があるわけでもないのだ。
来たくない理由などないけれど、来たい理由もない。ただ、それだけ。本当にただそれだけのことなのだ。ただ漠然としたものに押しつぶされて、そっと自分の喉に指を這わせた。
皮膚がある。この下には血管がある。そして更にその中に、きっと欠陥品のような
この
耳の中で何か遠く、耳鳴りのような音を聞いた。
しばらく行けば、川が流れている。橋の上からただ走る川を眺めて、ようやく呼吸ができた気がした。
これは境界線。ここが、境界。
交差する道も流れる川も、神社の鳥居も
ならば
けれど果てとは、
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