第7話

「あと3日で卒業かぁ…」


涼がしみじみと言った。


「卒、業…か。」


私も今更ながら実感が湧いてきて、切なくなった。



「もう少しで卒業だねー」


「でもさ、どうせみんな雫中学にいくだろ?だからあんま変わんないよ」


と、クラスのみんなが言っているけど。


そうだよね。みんな雫中学校だもんね。


…クラスの中で、私以外。



「結南が中学受験するなんてな。」


涼に中学受験すると伝えた時はびっくりされたけど、「応援してるよ」と言ってくれた。



無事に第一志望に合格できて、嬉しかったけど。


みんなと離れるのは寂しかった。


「レモン中学だってな。すげえよ」


「そーかな?」


檸檬学園中等部、通称レモン中学は、県内でもかなり進学校で、可愛い名前であることからかなり人気だ。


制服も学校の名前の通りレモン色で可愛い。


私がそこを目指した理由は…


「部活でレモンを育てられるからね。」


「…ん?」


「レモン部があるから。」


「う、うん?」


まあ、驚くのも無理がない。


私の好きな食べ物は、レモン。


「唐揚げにレモンをかけるというより、レモンが唐揚げにかかってるという感じで、私の中ではあくまでレモンがメインなんだよね。」


「…?分かりづらっ…」


「そーかな?」


「まあ、でも…楽しんでよ、学園生活」



そして、卒業式当日。


「あの、結南…」


涼がなにかを言いたそうな顔をしてこっちをみたけど…。


「結南ちゃーん!卒アルにさ、メッセージ書いてくれない?」


あれから、かなり友達が増えた私。


私の周りに、たくさんの友達が集まってきた。



それでかな。


涼は、困ったように、だけど嬉しそうに私に笑いかけて、口だけを動かしてー。


『元気でね』


と、言った気がした。


ーーーーーーーーーーーー



と、まあここまでが小学校の話で。



今考えているのはー涼の好きな人について。


結局、6人の中で誰なんだろ?


私を抜くと5人。


あと少しだけヒントが欲しい。


『涼、もうちょっとだけ!ヒントちょうだい!』


涼に送ると。


『スポーツをしている人。』


と、きた。


ということは。


3人に絞れてしまう。







なぜまだ私がいる!?



あとの2人は、めっちゃモテる…。



七森こころちゃんと、

三堂陽葵ちゃん。


可愛らしい名前だけど、2人はスポーツ少女。


こころちゃんはバスケをしていて、陽葵ちゃんはバレーをしている。しかもとても上手。だから、めちゃくちゃモテてた気がする。


どっち!?あ、でも今の涼のクラスメイトはこころちゃんだから…。


『中学で同じクラス?』




最後のヒントが届いた。


『その人はね、





中学受験したから、同じクラスにはなれないよ』




『それって、私しかいないけど?』


『やっとわかったの?』



え。



やっと…わかったって…。



『あ、サッカーの練習始まる。またね』



もう、それ以降、既読がつかなくなってしまった。




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