第2話



『好きだ。』






え?




うん?





…は!?




「えっ…と…あ、サッカーがってこと?あ、はは、急にどしたの?」


私は自分でもびっくりするほど早口になって、動揺を隠すように喋った。



でも…。



『違うし。なんでそーなるかなぁ。

俺が好きなのは








"結南"だよ。』



好きな人にそう耳元でささやかれて鼻血を出さない人がいると思いますか?


私は鼻血を出した上、夜なのにも関わらず


「えっ!?ええええええええ!!!???」


と発狂してしまった。



『あー…ついに言っちまったわ。ていうか近所迷惑になるぞ。』


「え、いや、誰のせいですかこれ」



ピンポーン




『ほら、ベルなっただろ、今』




あーあ。誰が来たかはだいたい分かる。




桃だ。




実は、桃とはご近所さんで、最近はよくうちに遊びに来る。



『ほら。でなよ。詳しくは今度会って話させて。』



「うん…おやすみ」



『おやすみ』



うっわぁ。めちゃくちゃイケボでのおやすみは破壊力えぐいって。



そう思いながら「はぁーい」と、玄関のドアを開けた。



案の定、桃だった。



「ゆーなー。うるっさいんだけどぉ。せっかくアニメみてたのにぃ〜」



アニメオタクの桃は、毎日夜にアニメを観ることがルーティーンらしい。



「ごめんって。ちょっと電話してて…」


「ほう、それは武尊氏と?」


「うん、って、え?」


「あーーー、なるほどぉ」



ま、まってよ!?なんで知って…??



「いや、だって、顔にかいてるよ」


「か、顔…」



どこまで鋭いのこの子…。



「まあ、ちょっと上がらせてもらうよっと。今日結南のママパパいないんでしょ?」


「なぜそれも!?」


「いや、気配を感じないから」


「桃、何者ですか?」


「うーん、さあ?」


「まあ、とりあえず上がりなよ…。6月って微妙に寒いし。」


「ありがとっ。おじゃましまーす」



ーーーーーーーーーーー


「へーえ、つまりは両想いだったと。」


「うん…そうみたい?」



私は桃に今までのことを話した。



「それで、今度改めて話すと。」


「そうみたいです…。」


「それにしても、武尊氏はいつから結南のことを??」


「わからない。私は小1の頃からだけど…」


「おっも」


「うるさいなぁ」



後半は軽口大会になったけど、いろいろ雑談してから桃は帰った。


ーーーーーーーーーーー



そして、翌週の土曜日。



武尊とは近くの公園で話すことにした。


待ち合わせ時間の30分前に公園に着いてしまった私は…なぜか見ず知らずの小学生とサッカーをしていた。今は10ー0。私がいるチームが勝っていて、全部が私の得点である。



話せば長いけど、ベンチに座っていたら、小学5、6年くらいの集団が公園に来て、人数が1人足りないとかなんとか。それで、私が誘われたわけだ。




とはいえ、ど素人に見える私と一緒のチームになりたくはないみたいで、じゃんけんで負けた方のチームに入ることになった。



私はそれでおおいに傷ついたので、今、おとな気ない行為に出てるわけだ。



「はあっ、はぁ…」

「このお姉ちゃん何者!?」

「もしかして、サッカー部、とか…」

「でもさ、女子サッカー部なんて、ここらへんの中学校にはないよ?」

「それにしても、かっこよかったです!」


その後もめっちゃびっくりされながらも、尊敬するとかなんとか言ってくれて嬉しかった。



「え、結南?何やってんの?」



そんな時、武尊が現れた…


タイミング…が…














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