第1話




ピヨピヨピヨ


うーん…。


私は重いまぶたを開けて、目覚まし時計を止めた。



さっきのピヨピヨは、目覚まし時計。中1でこんなの使ってるのはみんなに内緒。でも、これじゃないと起きられないんだよ。



って、もう6時半だ…!!


私が通う中学校は電車通学。だから、もう出ないと間に合わない!!



「いってくる〜!」


ドタバタしながら家を出て最寄駅まで走る。


そして改札に入り、ホームへ行くと、


「おはよー、結南」


同じ中学校で、最寄駅も同じである友だち、桃がすでに電車を待っていた。


「はぁはぁ…おはよ…桃…」


「にしても、今日も遅刻ギリギリですな。今、電車が2分遅れてるのが幸運だったね」


「う〜」



毎日こんなもんだから、桃にも呆れられている。


朝が弱いのに、なんで遠い所受験したんだよ!私のバカぁ…。


中学受験したこと自体に後悔はないけど。

ないんだけど…。



心残りは、あるもんだよ。


それは、ずっと片想いしていた、元同級生の一ノ瀬武尊。


武尊は地元中に行ったから、中学校に入学してから会ったことはない。


武尊はモテてたからなぁ。

もう彼女をつくってるかもなぁ。



「はあ…」


そんなことを思いながらため息をついた私をまたか、というように見つめる。


「結南、最近悩み事多そうだよね。うちはいつでも相談乗るよー。あ、あれか。今日サッカー部の練習無くなったからか。え、違う?」



「それもそーだけどさぁ…」



「あ、わかった。前に話してた…武尊?だったかな?その人のことでしょ」



な、ななな、なぜわかるんだ、この子。



「うわぁ、ドンピシャでしょ。」



「その通りでございます…。」


桃って、本当に鋭い。

私が部活の練習が無くなって凹んでることも気づいたし。


ちなみに、私はサッカー部に所属している。


武尊と出会ったのもサッカーのクラブ。

小1のときに、ちょっーと興味がわいて入ったクラブだけど、武尊と出会った瞬間、絶対に続けようと思った。


その時点でもう恋してたんだよなぁ、きっと。



「あ、電車きたよー。結局、5分遅れだね」


と、桃が言った。


ほんとだ。



私は武尊との思い出に浸ってたけど、心にしまって、電車に乗り込んだ。



ーーーーーーーーーーーー



「はあ…疲れたぁ…」


家に帰ってきて、私はベットにダイブした。


部活行きたかったなぁ。

部活に行かない日は、部活がある日より疲れる気がする。




ピロンッ




と、スマホにメッセージがきた。


誰だろ?


そう思いながらスマホを開くと…


心臓が止まるかと思った。



だって、だって、だって…





武尊からの連絡だったから。



なんと、「今から電話してもいい?」という連絡だった。



ええ、ええもちろん!!


何話していいかわからんし、何を話してくるのかもわからんけど!!



そう思いながら「いいよ!!!!!」



と返信した。


やば、びっくりマーク多いかな。



と心配したけど、スマホの画面が「武尊」という画面になったので、電話に出た。


『もしもし?』


と、どこか懐かしい感じがする武尊の声が聞こえてきた。



「も、もしもし?久しぶりだね…」


緊張しながら私も話す。



すると、武尊は急に


『単刀直入に言うね。』


と、言った。



?????なんでしょうか?





『好きだ。』






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