【書籍化&コミカライズ決定】何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった二人をガチ惚れさせてしまった件【リメイク版】
第88話 里緒奈も疲れてるみたいだし今回は許してあげるよ
第88話 里緒奈も疲れてるみたいだし今回は許してあげるよ
おみくじの結果を見て満足した俺達は先程休憩した四ツ辻を目指して下山し始める。四ツ辻で昼食を食べてからふもとに降りる予定だ。頂上に登った時とは違うルートを通っているが問題無く辿り着けるらしい。
「伏見稲荷を出たら後はもう帰るだけしさ、なんかちょっと名残惜しくない?」
「そうだな、京都なんて滅多に来れる場所じゃないから余計にな」
「この三日間は本当にあっという間だった」
「だよね、楽しい事は体感時間が短いってよく聞くけど本当だったし」
「普段の授業とかもこのくらい早く感じればいいのにって思うわ」
昨日も感謝の言葉を口にしたが玲緒奈と里緒奈のおかげで今回の修学旅行は今までで一番楽しかったので感謝しかない。まさか修学旅行をここまで楽しめる日が来るなんて夢にも思わなかった。
あまりにも楽しかったため土日を挟んだ月曜日からまたいつもの学校生活に戻るのが非常に憂鬱で仕方がない。今までは修学旅行の方がはるかに憂鬱だったため俺も感覚が変わったようだ。
そんな事を考えながら歩いているうちに四ツ辻まで戻ってきた俺達はそのまま茶屋の中に入りそれぞれ食べたいものを注文した。
「上りより下りの方が気分的には楽だけどやっぱり歩くと疲れるな」
「まだまだ先は長い」
「ここでしっかりお昼を食べて帰り道の元気を出そうね」
「だな、下まで降りれば後はバスと新幹線で移動して帰るだけだしそれまで頑張ろう」
俺達はそんな会話をしながら食事をする。案内された座席は窓のそばであり、そこから綺麗な景色も見えたためちょっと得した気分だ。
ゆっくりと食事を楽しんだ後、今度はふもとを目指して歩き始める。途中で休憩を挟んだり写真を撮ったりしながら下山したため結局本殿まで戻るのに一時間ほどかかった。
「まだ時間はあるけどもうこのままバスに戻るか?」
「あっ、その前にここで買って帰りたいお守りがあるから少し待ってくれない?」
「お姉ちゃんと伏見稲荷に来たら絶対買おうって話してたお守りがある」
「オッケー、まだ割と余裕もあるしそうしようか」
俺達は真っ直ぐに売り場へと向かい始める。そこで二人は命婦えんむすび守と書かれたカードタイプのお守りを手に取った。
「なるほど、縁結びのお守りが欲しかったのか。ちなみにえんむすび守の前に付いてる命婦っていう単語は聞き馴染みがないけど一体どう意味なんだ?」
「命婦っていうのは稲荷神に仕える狐って意味と妻って意味もある」
「命婦えんむすび守は良縁招来の効果がある最強のお守りだから、裏面に自分の名前と縁を結びたい相手の名前を書くんだって」
二人は俺にそう解説をした後命婦えんむすび守を購入し、そのまま準備されていたペンで裏面に名前を記入し始める。
そこまでして二人が縁を結びたい相手とは果たしてどんな人物なのだろうか。気になってしまう俺だったが流石に書いている名前を盗み見るような卑怯な事はしなかった。
二人から好意を寄せられているような男なんてどうせ陽キャなモテ男に決まっているので俺のような陰キャの天敵に違いない。リア充なんて全員この世から爆発してしまえ。
そんな事を考えながら集合時間の少し前にバスへと戻った。そして全員の点呼が完了したタイミングでバスは出発し、京都駅へと向かい始める。
「じゃあ朝に引き続き恋バナでもする?」
「ここ数日で散々付き合ったんだからそろそろこの辺で勘弁してくれ」
玲緒奈の言葉を聞いて俺はそう声をあげた。てか、よくこれだけ話してきて飽きないよな。もう俺はもうとっくの昔にお腹いっぱいなんだが。
「もう、しょうがないな。里緒奈も疲れてるみたいだし今回は許してあげるよ」
里緒奈は疲れに耐えきれなくなったようでいつの間にか俺に寄りかかり寝息をたてながらぐっすりと眠っていた。伏見稲荷を上っている最中も一週間分くらいは疲れたと言っていたので限界が来たのだろう。
ひとまず相方が不在という事もあって諦めてくれた玲緒奈だったが、先程の会話の中で一つ聞き捨てならない言葉があった。
「……今回はって事はもしかしてまた今後もやるつもりなのか?」
「勿論だよ、次回がいつになるかはまだ分からないけど楽しみにしておいてね」
「おいおい、マジかよ……」
玲緒奈がそういうのであればまた付き合わされるに違いない。そろそろ恋バナ恐怖症になってもおかしくなさそうだ。修学旅行中にはもうこれ以上はやらないだろうしそれだけが不幸中の幸いと言えるだろう。
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これにて第4章は終わりです
次話から学園祭の話に入るのでよろしくお願いします!
書籍版の発売までに★1000を超えたいなと密かに思っているため、もしまだの方がいればぜひ★★★評価をお願いします!!
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