【書籍化&コミカライズ決定】何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった二人をガチ惚れさせてしまった件【リメイク版】
第85話 あっ、もしかしてこの機会に私達を性的な意味で襲おうとしてる?
第85話 あっ、もしかしてこの機会に私達を性的な意味で襲おうとしてる?
「なあ、もう少しだけ奥に詰めてくれないか……?」
「そうしたいのはやまやまなんだけどちょっと無理そうかな」
「狭過ぎてそんな余裕はない」
そもそも押し入れにこうやって人間が中に入るような想定なんてされていない作りになっているし、しかもそれが三人ともなれば狭いのは当然か。
だが二人の体の柔らかい色々な部分が密着しているのは少々不味い。万が一下半身が元気になってしまったらいくら二人でもドン引きする事間違いなしだ。
相変わらず密着したまま脱出方法を考える俺達だったが時間が経つにつれてだんだん背中が蒸れてきて痒くなってきた。だから自分の背中に右手を伸ばす俺だったが突如柔らかい感触がする。
「涼也のエッチ」
「ご、ごめん」
どうやら里緒奈の胸に手が思いっきり当たってしまったらしい。謝罪した俺は慌てて右手を引っ込めて今度は左手を動かそうとするがまたもや問題が起きる。
なんと今度は玲緒奈の太ももに左手が当たってしまったのだ。こんな時に限ってラッキースケベなんて発動しなくていいから。そもそもラッキースケベは俺のようなモブキャラBではなく主人公の特権だろ。
「涼也君、さっきから私と里緒奈に対してめちゃくちゃ大胆だね。あっ、もしかしてこの機会に私達を性的な意味で襲おうとしてる?」
「わざとじゃないからな、てかこんな絶体絶命な状況で襲おうとするわけないだろ」
「へー、って事はこんな状況じゃなかったら涼也君は私達を襲おうとするんだ」
「やっぱり涼也もしっかり男の子」
「い、今のは言葉の綾だから突っ込まないでくれ」
俺は自由に体を動かす事が出来ずかなり苦しい状態だというのに玲緒奈と里緒奈はそんな軽口を叩けるくらい元気だった。下手したらこの状況を楽しんでる説すらあるぞ。
そんな事を考えているうちに部屋の中ががやがやし始める。恐らく自由行動を終えて他のメンバー達も続々と帰ってきているのだろう。人が増えれば増えるほど脱出が難しくなるためこの状況は非常に不味い。
「……もういっそ俺だけここから堂々と出るってのはどうだ? 俺だけ一旦外に出て何か適当な理由を作って戻ってきた奴を部屋から追い出せば玲緒奈と里緒奈が安全に出られると思うけど」
「押し入れの中から突然涼也君が出てきたら間違いなく皆んなから怪しまれるよ」
「だからそれは絶対に辞めた方が良い」
一刻も早くここから出たい俺はそう提案したが一瞬で却下された。まあ、長時間押し入れの中に隠れていた時点で俺に何かやましい事があると疑われるのは目に見えてるし冷静に考えればこれはあり得ないか。
「ちょっとだけ襖を開けるから二人とも静かにしててね」
「ああ」
「分かった」
玲緒奈は音を立てないように静かに襖を開け、ほんの少しだけ出来た隙間から部屋の中の様子を見始める。そしてしばらく黙って隙間から部屋の中を観察していた玲緒奈だったが満足したようで襖を閉めた。
「部屋の中に今誰がいるのか分かったから後は私に任せて」
「どうするんだ?」
「友達に協力して貰って全員部屋の外に出て行って貰う事にする」
そう言い終わると玲緒奈はポケットからスマホを取り出して操作し始める。LIMEを使って誰かにメッセージを送っているらしい。それからしばらく待つとさっきまでがやがやしていた外が静かになる。
「もう大丈夫だから外に出よう」
「……マジで誰もいなくなってるじゃん」
襖の隙間から覗いてみると部屋の中は完全に無人になっており誰もいなかった。一時はどうなる事かと思ったが何とかなったようだ。
押し入れから脱出した俺達は部屋を出てそのまま三人でエレベーターに向かう。俺の部屋がある階は男子用となっているためこのフロアから脱出するまでは油断出来ない。幸いエレベーターには何の問題もなく乗る事が出来た。
「無事に脱出出来て良かったね」
「これで一安心」
「心臓に悪いからこれ以上は勘弁してくれ」
「うん、流石に全員を部屋から追い出すのはかなり大変だったからもうやらないよ」
そう言っている割にはかなり余裕そうな表情を玲緒奈は浮かべていたため少し心配だ。こんな事が二度や三度あったら流石に堪ったものではない。
「……スリルがあって楽しかったね」
「……かなりドキドキした」
玲緒奈と里緒奈は隣でひそひそと会話していたがよく聞き取れなかった。多分ろくな内容ではないと思うので別に聞かなくても良いだろう。その後は特に何事も無く過ごせたため色々あった修学旅行二日目も無事に幕を閉じた。
———————————————————
昨日投稿したカクヨムコン用の新作『俺を恋愛弱者だと揶揄ってくる義理の三姉妹からガチ恋されていた件』
https://kakuyomu.jp/works/16818093086422120550
がかなり好調です、ありがとうございます!
この同じ現実世界ラブコメジャンルの作品で本作を楽しめる方には刺さる内容だと思うので良ければ応援お願いします!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます