第66話 涼也君、女の子みたいな声を出してるね
それから脱衣所で服を脱いだ俺は体を洗ってから湯船に入る。広いお風呂に入るのは久々だったためかなりさっぱりした。女湯を覗きに行くというような愚行を行なわなかった事は言うまでもない。
そもそも男湯と女湯を隔てる壁が高すぎるため覗くことなんて不可能だ。ゆっくりお湯に浸かってから出た俺が個室の休憩スペースでコーヒー牛乳を飲んでしばらく待っていると玲緒奈と里緒奈も出てきた。二人の表情はやや不満げに見える。
「涼也君がいつ覗くのかずっと待ってたんだけど結局何もしなかったんだね」
「だから俺がそんな事するわけ無いだろ」
「女としてのプライドを傷つけられた気分」
「いやいや、もし仮に覗けたとしても玲緒奈と里緒奈以外から殺されるからな」
そう答えると玲緒奈はニヤニヤし始める。里緒奈も心なしか嬉しそうだ。あっ、これかなり面倒くさい絡み方をされる奴じゃん。
「涼也は私とお姉ちゃんなら良いと思ってるんだ」
「へー、ちょっとその辺りを私達に詳しく教えて欲しいな」
「ほ、ほらぶっちゃけ玲緒奈と里緒奈の裸はもう既に見てるからセーフかなと思ってさ」
風呂に乱入してきたりラブホに連れ込まれたりした時に二人の生まれたままの姿は見ている。同級生の美少女の裸を見た事がある奴なんて日本全国を探してもほとんどいないに違いない。
「私と里緒奈の裸を見た男の子は涼也君が初めてだから誇りに思ってくれていいよ」
「私達の大切にしてきた初めては涼也に捧げた」
「その言い方は色々誤解を招きそうだから辞めろ」
「どう誤解を招くのか私と里緒奈に具体的に教えてくれない?」
うん、これ以上何か言ったとしても全部そっち方向に話を持って行かれそうだからもう黙ろう。その後俺達は休憩スペースでまったりし始める。
「あっ、そうだ。私と里緒奈でマッサージしてあげようか?」
「急にどうしたんだ?」
「最近マッサージの動画を見るのにハマってるから誰かに試したかった」
「そうなのか、ならやって貰おうかな」
「オッケー、じゃあここに仰向けで寝転んで」
俺は玲緒奈の言うがままに寝転ぶ。そのままマッサージを始める二人だったがかなり上手かった。このまま寝れそうだなと思っていた俺だが予想もしていなかった場所に手が伸びてきたため思わず声を上げる。
「おい、ちょっと待て!?」
「急に声を上げてどうしたの?」
「股とか脇は大丈夫だから」
「でも動画ではここを重点的に責めた方が良いって言ってた」
いやいや、二人が見た動画ってどんな過激な内容だよ。絶対普通のマッサージ動画じゃないだろ。制止する俺だったが玲緒奈も里緒奈もお構いなしだ。
「ん、あっ!?」
「涼也君、女の子みたいな声を出してるね」
「これは私達のマッサージが効いてる証拠」
二人に責め立てられた俺は変な声を出してしまい恥ずかしくなるが辞めてくれそうな気配はない。幸いな事にここは個室のため周りからは見えないようになっているがあまり声を出し過ぎるとバレてしまう可能性がある。
もし今の状況を誰かに見られてしまったら果たしてどう思われるのだろうか。男女逆なら間違いなくセクハラだがむしろ受けているのは俺だ。
いや、女の子に公共の場でそういう特殊プレイを強要して一人で喘いでいるヤバい奴に見られる可能性もある。そうなったら終わりだ。
だから俺は玲緒奈と里緒奈からの激しい責めに対して必死に声を押し殺して耐えるしかなかった。ちなみに二人は恍惚とした表情を浮かべておりめちゃくちゃ楽しそうだ。
「雨もそろそろ止んだみたいだし帰ろうか」
「良い気分転換になった」
「……ああ」
マッサージという名の特殊プレイを受けたせいで来る前以上に疲れてしまった俺は短くそう答える事しか出来なかった。
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最後の一線は超えないけど、それ以外なら涼也君になんでもする模様…
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