第62話 もしかして涼也は自分の事だと思ったの?

 何はともあれようやく里緒奈が目覚めてくれたためこれでようやくお待ちかねの夕食だ。俺達四人はダイニングテーブルについて夕食をとり始める。


「そう言えばお兄ちゃん中々ダイニングに来なかったけど寄り道でもしてたの?」


「ああ、それは……」


 起こすのに苦戦をしたせいで遅くなった事を説明しようとする俺だったがその前に玲緒奈と里緒奈がとんでもない事を言い始める。


「涼也が激しく求めてきてその相手を私がしてたから遅くなった」


「うんうん、私がいてもお構いなしだったから流石にびっくりしたよ」


「えっ!?」


「何めちゃくちゃな事を言ってるんだよ!?」


 俺も澪も完全に予想外であり二人揃って変な声を出してしまった。いやいや、確かにさっきは里緒奈に覆い被さるような体勢にはなったが完全に事故だしそもそも玲緒奈のせいだ。


「……美少女な里緒奈さんに手を出す気持ちも理解出来なくはないけどさ、この歳で叔母さんにはなりなくないからそこは本当に気をつけてね」


「おい、俺は手なんて出してないぞ」


「さっきあんなに激しくお互いを求め合った仲なのにまさか涼也は全部無かった事にするつもり?」


「へー、涼也君ってそういう人だったんだ」


「流石にこれ以上は勘弁してくれ……」


 三人からいじられ過ぎた事によって精神的大ダメージを受けた俺のライフはゼロになっていた。流石に澪も俺が里緒奈に手を出した事は本気で信じてはいないとは思う。

 だがこの間の誕生日会以降玲緒奈と里緒奈の事を陰でこっそりお義姉ちゃんおねえちゃんなどと呼んでいる事を俺は知っているため色々と怖い。これ以上この話題を続けられたくなかった俺は話を変える。


「それにしても玲緒奈が料理出来るのは意外だったな」


「私ってそんなに料理とか苦手そうに見える?」


「まあ、ぶっちゃけそうだな」


「確かにお姉ちゃんより私の方がその辺りは得意そうって思う人は結構多い」


 こんな事を考えるのは失礼かも知れないが真面目キャラな里緒奈に対して玲緒奈はお馬鹿キャラなイメージを持っていたため家事や料理が出来るとは全く思っていなかったのだ。

 だから玲緒奈がその辺り得意で逆に里緒奈が苦手というのは正直かなり意外だった。実際にこの目で玲緒奈が家事や料理をしている姿を見るまでは信じられなかったと思う。


「そっか、ならもっと私が家庭的って事をアピールしていかないとね」


「もう俺はもう十分過ぎるくらい分かったから大丈夫だぞ」


 俺がそう言葉を口にすると玲緒奈はニヤニヤし始める。


「えっ、誰も涼也君にアピールするとは一言も言ってないけど」


「もしかして涼也は自分の事だと思ったの?」


「お兄ちゃん、それはちょっと自意識過剰過ぎるって」


 追加の精神的ダメージによりゼロになっていたライフがマイナスに突入したためもうそっとしておいて欲しい。それからしばらくして夕食を終えた俺は玲緒奈と里緒奈を家まで送り始める。

 玲緒奈と里緒奈は泊まりたいなどとふざけた事を言っていたが流石に男子の家に泊まって朝帰りにさせるのは二人の両親に悪いため断固として拒否をした。


「もう少ししたら修学旅行のホームルームかも始まるし楽しみだね」


「あっ、自由行動で行きたいところとかは全部玲緒奈と里緒奈に任せるから好きに決めておいてくれ」


「涼也は行きたいところ無いの?」


「ああ、ぶっちゃけ京都の観光地は有名なところしか知らないし」


 そして俺が知っている場所に関しては自由行動以外で大体行く予定らしいのでもうその時点で行きたいところがなくなる。


「なるほど、そういう事なら私と里緒奈でピックアップしておくよ」


「涼也が喜んでくれそうなところを選ぶ」


「ああ、頼んだ」


 こうして朝から色々と疲れる事が多かった夏休み明けの初日は終わりを迎えた。


———————————————————


これにて第1章は終わりです、ありがとうございました!!

第2章は修学旅行の準備編、第3章が修学旅行編で進行する予定です!


書籍版の発売までに★1000を超えたいなと密かに思っているため、もしまだの方がいればぜひ★★★評価をお願いします!!

文字付きレビューも大歓迎です♪

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